いよいよマダイの乗っ込みの最盛期突入である。今回は産卵を意識したマダイの動きをまず理解してもらい、その行動に合わせたタックル説明、釣り方、今後の動きと話を進めたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版APC・宮崎晃)
乗っ込みマダイの特性
毎年この時期を待ち遠しく思っているが、釣り人の休みの具合とタイミングは思うように魚の気分と一致せずに時が流れ去ることが多い。マダイの乗っ込みは個体の育ち、成熟具合と水温の変化に左右されやすく、本来の捕食行動と違った動きをするので、その行動とこの時期の特性を理解しながら釣りを展開すると、より楽しい釣りが可能になる。
マダイの習性は雑食・獰猛・繊細・利口・大胆……と、いろいろなことが噂され、大胆ながら繊細?と、相反する行動の広さを持つ魚であり、人間は古来よりマダイに合わせたさまざまな釣法でマダイを釣ってきた。今回の乗っ込みのマダイも「乗っ込み特有のマダイの行動」に合わせた釣り方を加えて考え、釣り人の工夫でマダイに近づきたいと思う。
マダイの産卵行動
マダイの産卵行動は成熟して卵を産むことの出来る個体が主体なので、それなりに大きな個体をメインに狙うが、個体により産卵成熟は多少の差があり、産卵のためのグループも時期をズラして集まる。産卵のタイミングのズレは1か月ほどあり、そのズレの期間が乗っ込みを狙える期間、釣季にもなる。
産卵のタイミングは水温の上昇が早い南側から始まるので九州でも鹿児島地方から季節は始まり、水温の上昇とともに北上する。
毎年、鹿児島から乗っ込み情報が入ってから北部九州に来るまで約1か月ほどのタイムラグがあり、その北上してくる水温が毎年17度になると産卵、乗っ込みが始まる。
この産卵・乗っ込みサインを釣りで確認出来るのが「ラインに付くゴミ」このジャマなラインゴミが付き始めると毎年マダイの季節を感じる。
私のお客様を案内する船の行動範囲の中では宗像・沖ノ島が最初の乗っ込み案内のスタートとなり、沖ノ島から山口県の川尻、萩沖までマダイを北上しながら釣って行くことになる。
マダイの状態に合わせて様子を見ながらポイント選択をするが、ポイントといっても、あまりに広い範囲を流れに乗って移動する群れが多く、群れを探すことが言葉では伝えにくい。
タックル
乗っ込みマダイのタックルを紹介しよう。
ロッド
現在のカーボン製作技術で魚が掛かって折れるような粗悪品は少ないので、普通にタイラバ用と明記されている6ft後半の長さであれば、後は金額範囲の選択、使い手の好みで選んでよい。選ぶ時は好み・趣味・気分・デザイン・メーカーで選んでよいが、初めて選ぶ時の基本として極端に軟らかいものや極端に硬いもの、極端に短いものは避けた方がよい。
マダイは頭をゴンゴン振るので衝撃が大きく、衝撃吸収のためには軟らかく長いロッドはバレ難い。逆に硬いもの、短いものほどバレやすくなる。
リール
ハンドル1巻きの巻き取り距離はメーカー説明にも記載されるが、スプールのイト巻き量で半分以下まで落ち込む上に、ラインが減るに比例して魚が掛かった時のラインの引き出されるドラグ、テンションは強くなる。ラインが出るほどスプールの芯が細くなるのでリールは性能が落ちる。
高性能リールもその性能はリールに適正キャパまでラインが入ってからしか発揮出来ない。必ず、リールにはいっぱいまでラインを入れてほしい。
ライン
比較的水深があり、時折、大型青物などもアタってきて楽しめるのでラインは多めに巻ける中型リールがよいし、巻き上げの楽なのは小型の電動リールも選ぶ範疇となる。
ラインの号数は浅場と変わらずPEラインの0.8号から1号でよいが、巻くラインの量が最低300m巻いていると理想的である。注意したいのは必ずリールにはスプールいっぱいまでラインを巻くこと。使う部分は300mで足りるが、リールのスプールには外径と芯径で外周が大きく違いがでるのでラインは300m巻いてもスプールにまだ余裕のある時は、下巻きとして価格の安いPEラインを巻いて底上げしてリールのキャパまで巻き込みたい。