新たな素材の登場などで、釣り業界に度々起こる技術的革命。なかでも『PEライン』の登場は相当なものだったようです。今回は、長年ジギングを嗜んできた筆者が、同釣りにおけるPEライン登場のインパクトや恩恵を説明します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター堀籠賢志)
PEラインとジギング
PEラインの登場で釣りはかわりました。中でもジギングはPEラインによって大きく進化した釣り物の一つだと思います。現在のジギングシーンになくてはならない必需品となり、ジギングの様々なメソッドもPEラインの特性があってこそ活かされるものだと思います。
ナイロンライン全盛期からPEラインへ移行してきたジギングを体験したアングラーから見たPEラインのあれこれを考えてみたいと思います。
PEラインの特徴
PEラインの登場は確か1990年代だったように思います。PEラインが発売された当時は、釣りイトといえば、ナイロン製モノフィラメントが主流でした。ルアーキャスティング、ジギングももちろんナイロン製ラインが使用されていました。
ジギングでは、9ftのロングロッドで大きくジャークするようなメソッドなどが主流だったように思います。伸びのあるナイロンラインでは、ロッドを大きく振ることがジグにアクションを与えるために必要でした。
2000年代になるとPEラインが主流になって、より軽いチカラで効率よくジグにアクションを入力可能となり、ワンピッチジャークなどが一般的になりました。ラインの進化が釣り方そのものを変化させてきました。
PEラインの「原糸」
PEラインは様々なメーカーから、実にたくさんの商品が発売されています。それぞれ違う商品でも、元を正せば同じものだとご存じの方は多くないでしょう。PEラインの構造は細い糸を束ねた組糸を複数本組み合わせて製造されています。細い繊維を複数本束ねたモノを原糸と呼びますが、この原糸は各メーカーほぼ同一なのです。
PEラインのパッケージに「イザナス」と印刷されているものを見たことがあると思いますが、この「イザナス」こそが原糸と呼ばれるものです。「イザナス」は東洋紡さんが製造販売する原糸で、PEラインの多くが「イザナス」を採用してPEラインを製造しています。
重要工程の「糸組み」
ではPEラインのメーカーごとの商品は同じ原糸を使っているから、商品も同じような商品で名前だけが違うのか?と言えば、これは違います。原糸からPEラインを製造するメーカーはイザナスの原糸を複数本束ねてPEラインを製造しています。実は原糸を束ねて組み合わせてラインを製造するには、技術が必要であり、簡単にできることではありません。
この糸組みこそがPEラインの性能を決定する重要な製造工程なのです。だから、同じ原糸を使っていても同じ性能のPEラインとはならないのです。