太平洋クロマグロに「個別漁獲割当(IQ)」導入へ 遊漁への影響は?

太平洋クロマグロに「個別漁獲割当(IQ)」導入へ 遊漁への影響は?

資源枯渇が懸念されている太平洋クロマグロの漁獲に関し、「全国近海かつお・まぐろ漁業協会」は、大臣管理分の太平洋クロマグロの大型魚(30kg以上)に対して、自主的な個別漁獲割当を導入する方針を固めた。

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個別漁獲割当(IQ)とは

個別漁獲割当【IQ(Individual Quota)】とは、漁獲可能量を漁業者又は漁船ごとに割り当て、割当量を超える漁獲を禁止することによって、漁獲可能量の管理を行う方式のこと。

この方式を採用することにより、「漁期の長期化などによる雇用における安定性の向上」、「自らの割当ての価値の最大化を図るため、より大型で価値のある魚の漁獲が見込める」、「市場での一時的な供給過多が回避され、価格や品質が向上する」などのメリットが得られる。

その一方で、「漁業者が納得できるような公平性のある割当てを行うことが非常に困難」、「漁業者ごとの漁獲量のモニタリングが必要となり、管理コストが増大する」、「投棄、虚偽報告等へのインセンティブが発生する」、といった点がデメリットとして指摘されている。

太平洋クロマグロに「個別漁獲割当(IQ)」導入へ 遊漁への影響は?遊漁で釣れてしまったメジマグロはリリース(提供:TSURINEWS編集部)

マグロ漁獲管理の経緯

マグロの漁獲規制に関して日本では、平成26年12月のWCPFCにおける国ごとにクロマグロの漁獲枠を設定する決定を踏まえ、平成27年1月から自主的な取組として、漁獲の管理強化に取り組んでいる。

しかし、第2管理期間(平成28~29年)で小型魚(30kg未満)の漁獲枠の超過が発生したため、平成30年の第4管理期間から(沖合漁業は平成30年1月、沿岸漁業は7月から)これまでの試験実施から「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律に基づく漁獲可能量(TAC)制度」に移行していた。

この制度の下では、漁獲可能量を漁業者に割り当てず、漁獲量の合計が上限に達した時点で、操業を停止させる非個別割当方式で管理してきた。

この方式は、「個別割当方式に比べ、管理コストが小さい」というメリットがある反面、「魚をより早く漁獲するための過剰な投資が行われ、漁獲コストが増加する」、「集中漁獲による魚価の低下などにより、漁業収入が減少し、雇用における安定性が低下する」、「漁獲の最大化を図るための競争が行われる結果、小型魚保護への関心が低下する」といったデメリットがあった。

気になる「遊漁」への影響

気になる遊漁への影響だが、こちらは今回発表のあった「大臣管理分」ではなく、「都道府県知事管理分」ということのため、直接の関係はない。

ただ、令和2年12月1日から新しい法律が施行されるにあたり、来年度(令和3年4月1日)からは報告の義務などを課す新制度への移行が検討されているとのこと。

クロマグロは遊漁に関して罰則があるので、しっかり確認して釣りを楽しんでほしい。

<TSURINEWS編集部>