伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「より良型を狙えるペレ宙」。盛期の共エサ釣りの1つのカテゴリーであるこの釣り。魅力は普通の両ダンゴではなし得ない良型ヘラブナが狙えることだろう。初回はペレ宙が成立しやすい条件を考える。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース 伊藤さとし)
千葉・野田幸手園で『ペレ宙』実釣
今回の実釣取材は、千葉県野田市にある週刊つりニュース協定・野田幸手園で8月19日(水)に行った。入釣場所は3号竹桟橋の事務所向き。竿12尺タナ1.3mのペレット系両ダンゴ。
アタリは多いが型は上がらず
朝から納竿の15時までほぼほぼアタりっきり。途中数回の休憩などを挟みつつ70~80枚の釣果だったが、これぞペレ宙と呼べるような魚には数枚しか出会えなかった。やはり空いていると、両ダンゴとの違いを見出すのは難しいようだった。
ペレ宙は型を狙える
そもそもペレ宙とはどんな釣りなのか。普通の両ダンゴとの違いは?
「おもに盛期にやってみたい共エサの釣りだから、ほぼ両ダンゴと差異はないよね。大きな違いといえばエサにペレットを使う。ただそれだけだね」
ですが、あえてペレ宙という名称がつくくらいですから、特殊な釣り方ではあるんですよね?
「そうだね。あえて言うなら、数釣りではなく良型を狙う釣り方と言えばいいかな。たとえば同じ50kgの釣果を目指すとして、両ダンゴは枚数で重量を稼ぐけれどペレ宙では型の良さで勝負をかける」
そんなに型に違いがでるのですか?
「条件がそろえばね」
釣り場の混雑度が型に影響
条件とは?
「まずは釣り場、それに混雑度かな。できればペレ宙が効く釣り場で竿を出し、なおかつ日曜日などの混雑時こそペレ宙の威力は発揮しやすいだろうね」
と言うことは今回、実釣取材を行った野田幸手園もそのうちの一つに入るわけですね?
「そういうこと。さまざまな型が混在し、しかもそれぞれの魚影が抜群に濃い。これに加えて地形も理想的だから、なおさらペレ宙が効く」
なぜ混雑時がいいのでしょうか?
「釣り人が多く入れば、それだけ中小ベラが分散しやすいからね」
なるほど。分散しないと、型の釣り分けが難しいということですね?
「そういうこと」
地形や給餌もファクターに
では、地形とは?
「たとえば夏の日曜日に野田幸手園に釣行したとしよう。すると、たいていの釣り人はどこの桟橋でも事務所向きに入るよね。すると対岸の桟橋寄りが安全地帯になる。より警戒心の強い良型は、そういうエリアを好む傾向があるから、そこを長竿の浅ダナで狙い打ちする」
なるほど。エサ打ち点の偏りがあればあるほど、そういうエリアが形成されやすくなるわけか。ということは、釣り座の前面が広い釣り場が理想的だとも言えますよね?
「まあ一概には言えないけど、そういう傾向はある。あとは養殖ベラをメインに放流していて、なおかつ通常の給餌に固形ペレットを与えている釣り場がいいよね」
要はペレット慣れしていると?
「そういうこと」
今回は平日取材で空いていたから、ペレ宙と両ダンゴの差がほとんど出ませんでした。ですが、それでもあえて長竿を振れば違いは現れたのでしょうか?
「やってないから何とも言えないね。きょうは12尺竿だったし」
条件を見極めて使いこなそう
なぜその長さを?
「多くの人が8~9尺の短竿だったから、それよりちょい沖めを狙ったんだけど、空いているとこの長さでもレギュラーサイズが多く寄ってしまったよね」
つまり混雑さえしていれば、12尺竿でも多少は良型が交じった可能性はあるということでしょうか?
「仮定の話だから何とも言えないけど、魚が分散さえすれば竿の長さとタナ、それにエサの違いで釣り分けることはできたかもしれないよね」
つまりペレ宙のコツをまとめると、第一は釣り場が混雑していること。第二に人と違うエリアを狙うこと。第三はペレット配合エサを使うこと、でしょうか?
「そうだね。あとは天候なんかも関係あるかな。できればすべての魚が高活性な状態のほうが、釣り分けはしやすいはずだしね」
たしかにそうですね。中小ベラの活性が低くて良型のほうが活性が高いなんて、あまり聞いたことがないですからね。では次号では伊藤さんが実釣で使用した”ペレ軽”について話を聞かせてください。
<週刊へらニュース 伊藤さとし/TSURINEWS編>