兵庫県は6月24日、赤穂市の沿岸で採取した養殖アサリから規制値を超える麻痺性貝毒を検出したと発表。関係漁業協同組合に出荷自主規制を要請し、近隣の漁業協同組合に注意を喚起しています。
(アイキャッチ画像提供:photoAC)
兵庫県で貝毒が発生
兵庫県は6月に相次いで県内各地のアサリから規制値を超える「麻痺性貝毒」が検出されたと発表しました。
詳しい内容について兵庫県の農政環境部 農林水産局 水産課 資源増殖室 漁場整備班に取材しました。
貝毒の検出エリア
規制値を超える麻痺性貝毒が検出された地域は、兵庫県の赤穂市と姫路市。麻痺性貝毒の単位はMU/g(マウスユニット)で表され、規制値の【4.0MU/g】に対して、赤穂では【最大11MU/g】、姫路東部では【最大6.8MU/g】の数値が検出されました。(6/26時点)
※1MU・・・貝類の肉1gから取り出した抽出液を体重20gのマウスに注射して15分で死に至らしめる毒量
アサリから貝毒検出
麻痺性貝毒が検出されたのは赤穂市、姫路市ともに「アサリ」。日本人の食卓にもなじみ深く、夏場の潮干狩りを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
なお、たつの市新舞子と姫路市的形町にある管理された潮干狩り場では、採れた貝を安全な貝と交換することができるそう。安全に潮干狩りを楽しむためにも、管理された潮干狩り場の利用を心掛けましょう。
注意すべき点
それでは、私たち消費者が注意すべきことは何なのでしょうか。
兵庫県では、6月10日以降、播磨灘全域で二枚貝を採取しないよう看板等による周知を続けています。現時点で周辺海域では規制値を超える貝毒は検出されていませんが、今後貝毒汚染が広がる恐れは十分にあります。兵庫県では引き続き、播磨灘全域の各海岸で採取した二枚貝は食べないよう注意喚起をしていくとのことです。
貝毒の検査体制
それではどのような経緯で貝毒が検出されたのでしょうか。
兵庫県では冬から夏に向けカキ、アサリ、岩ガキなど、多くの種類の貝類が養殖されています。安全な貝を消費者に届けるため、県では月に1回の定期検査を行っているとのこと。
姫路市で貝毒が検出されてからは毎週の検査体制に切り替えており、貝毒が検出されなくなるまでは市場に貝が流通しないように対策を続けていくそうです。
過去の発生事例
播磨灘では平成30年に初めてアサリを中心とした貝類から貝毒が検出されたそう。隣接する大阪湾では平成18~19年頃から貝毒が発生しており、平成30年度はそこから原因となるプランクトンが、播磨灘に流れ込んだ可能性があるとしています。
貝毒の発生要因や長期化には「栄養塩不足」や「温暖化」といったものが考えられていますが、科学的な立証および具体的な対策を打つまでには至っていません。
今後の展望
兵庫県によると、対策としては貝毒が規制値を下回り安全が確認されるまで検査を継続し、その間漁業者は出荷を控えるとのことです。同時に県では、「貝毒の発生要因」を の調査するようです。とはいえ、貝毒発生の分析を続けていくとのことですが、分析と解明には時間が必要。
瀬戸内海ではイカナゴの不漁、養殖海苔の色落ち、といった他の問題も発生しており、兵庫県だけでなく国や周辺自治体の連携も必要と言えます。すぐに解決することは難しいかもしれませんが、今後の動きにも注目です。
取材協力:兵庫県 農政環境部 農林水産局 水産課 資源増殖室 漁場整備班
<田口/TSURINEWS編集部>