大ヤマメの住む川辺川
5月に二日続けて熊本県の川辺川本流(球磨川水系)へ釣行した。今年の川辺川は解禁からまともな雨が降らず、過去に見たことないぐらいの渇水続き。今シーズンの評判は決して高くない。多くの釣り師が例年にないほど釣果に結びつかず、厳しい釣りを強いられているようだ。ただ、まれに40cm級の大ヤマメが姿を現して、釣り人を驚かせている。
考えられる原因は主に二つ。それは、ヤマメの稚魚放流と川鵜被害。昨年は一部を除いて本流域への放流はほとんど行われておらず、魚影も想像がつく。
川辺川の本流(五木村~相良村)は他河川の本流よりも冷水で、水生昆虫も豊富であり、大ヤマメが育つ。また、特筆すべき点として、尺(約30cm)ヤマメの魚体だろう。本流系のヤマメは幅広な個体が多いが、他河川を凌駕するような厚みのある魚体と引きは、釣り人を一気に虜にしてしまう。
よって、多くの人が尺ヤマメを狙いに連日サオを出し、場荒れするのも早い。本流域やその周辺へ流れ込む種沢になる支流へのヤマメ放流をすれば、ヤマメも釣り人も増え、警戒心の強い川鵜を寄せ付けない効果もあることだろう。
夕マズメの本流域をチェック
初日は夕方だけサオ出し。現地に着くと、いつもの川辺川の力強い水量も見られない。サオは本流用のスーパーゲームライトスペックZYM80‐85、水中イトはシーガー渓極0.25号、オモリは4号~2B、ハリは硬い上アゴを貫通できるタフワイヤーの、刺さり抜群な忍ヤマメ5号。エサは、ヒラコ・クロカワ虫・ピンチョロの川虫を用意。
本流域とはいえ、基本的に渓流域の釣り方と変わらない。手前から丁寧に仕掛けを流す。流れの緩い淵のヒラキから、徐々に流速のある流れ込みへと攻略していく。仕掛けには生命反応も見られず、異常なし。
大淵から30cm尺ヤマメ浮上
すぐ上の水深5mはありそうな大淵を攻めてみる。時間は夕刻の午後6時ごろ。淵の緩い流れのヒラキでは時折小型のヤマメのライズが見られた。この下に良型が回遊していると見て、深い大淵にしては軽量のオモリG2で、目印との間隔を1.5mとし、イトフケを出して上層を流すように努めた。エサはルアー効果のあるピンチョロ。
仕掛けをうまく流していくと、目印が小さく反応。タイミングを見計らってアワセを入れると、良型と分かる魚体が反転。獲物も淵底へ潜水し、必死に抵抗。サオのパワーを信じてしっかりとタメると、水面下に浮いてきた。頭から誘導し、タモ入れ。
メジャーを当てると30cmの尺ヤマメ。写真を数枚撮り、リリースした。大物釣りは大オモリで下層を流すことに意識したイメージであったが、固定観念を捨てることも大切だと感じた。