とても寒かった冬、各地でやっと春のバスフィッシング「スタート!」の声が聞かれ始めた。シーズンインは地域や標高によってかなり左右され、一概に「いつ」とはっきり言うのはむずかしいが、簡単な目安が一つある。梅の開花である。梅の花が開くころ、ブラックバスは浅場を目指して移動を開始し、ポイントは次第に浅場へとシフトしていく。
萩尾溜池へ
2月25日、やっと開き始めた梅の花を見ながら熊本県宇城市の萩尾溜池を訪れてみた。
午後2時、現場に先に来ていた釣友たちに状況を聞く。
弱い雨が降り続き、気温が上がらないせいか、遠くで1尾釣り上げたのを見たのみだと言う。
たぶん状況はそう悪くはない。
雨によるササ濁りはバスの警戒心を解くし、少なくとも水温を下げるほど冷たい雨ではない。
むしろ池の水よりは微妙に高い。
この時期、増水傾向となればバスは浅場へと移動を開始する。
萩尾溜池(略図)
思いきって南ワンドの奥まで上がってみる。
ルアーは自作渓流用スローシンキングミノー。
本当はサスペンドの方が釣れるが、とりあえずこれで代用は効く。
ミノーを岸ギワに投げ、短いストップアンドゴーで探る。
1ピッチ5cm動かすつもりで細かく刻んで、1~2秒ポーズを入れる。
スレが進行している有名ポイントでは、ロングポーズを入れると往々にして見切られてしまう。
さっそく小バス登場!
すぐに小バスが釣れる。
小バスは岸から伸びる木の枝の下にいくらでもいるようだった。
枝の下には枯死して落ちた枯れ枝が沈んでいるのだ。
午後4時、そろそろバスが回遊しはじめるころである。
南ワンド入り口にある小さな岬に移動した。
底質は硬い赤土。
水通しも良く、バスが産卵床を作るのに適した場所だ。
同じように短いストップ&ゴーで探ること30分、ピッチを刻むロッドに微かな生命感が宿る。
そのまま履くように巻きアワセを入れる。
この時期は外掛かりが多く、極めてバラシが多い。
掛かったらドラグを緩めて、テンションが急変しないよう用心して引き寄せ、ハンドランディングした。
サイズは30cmあるかなしか、この池のレギュラーサイズ。
唇が赤くて色白の春らしいバスがきてくれた。
今後、萩尾溜池はどんどん水位を上げ、南ワンドは岸から釣るのがむずかしくなっていく。
しかし、そうなったら堰堤の方もバスの回遊ルートになってくるので、同じような狙い方が4月末まで通用するだろう。
<週刊つりニュース西部版 APC・吉永慎二/TSURINEWS編>