仕事中に携帯のメールの着信音が鳴る。「イワシ、イワシ、イワシー?イワシ、イワシー♪鵜もいっぱい」一瞬スパムメールを疑う滅裂な文面ではあるが、発信者が鳥羽市相差・魚勘丸の誠司船長と分かってすぐに解読に成功した。
メールを解読し、予約完了。
「カタクチイワシが大量に接岸したぞ!イワシ五目するからな!ウミウもいるから早くしろよ」返す刀で「マジか?ステキなのか?トキメキが止まらないアレやれんのか?」と返信すると「何曜日?何人?」である。
2分で予約が完了してしまったが、往々にして急きょ決まった釣行の方が、あれこれ余計なことを考えないので好釣果に恵まれるものだ。
急ぎ準備を済ませ、早春のイワシ五目を楽しんできた。
2月8日は予報よりも風は強いが釣りには問題なさそうである。
集合場所の民宿に着くと早くも常連さんが待機していた。
今季初のイワシ五目とあって皆さん気合い十分、暖かいコーヒーをいただいたところで港に移動し船に乗り込む。
まずはエサにするイワシ釣りに向かう。
防波堤で使うような4号から5号のサビキをセットし、船長の合図に合わせて感度の真上に落とし込んでいく。
情報通り魚探は上から下まで真っ赤で、フォール中にバンバン掛かってくる。
半分はサッパだが、残り半分はエサに最適な10cm以上のカタクチとウルメである。
弱らせないよう、素早くカンコに落としながら数を稼いでいくと、ものの30分で必要十分な量を確保できた。
浅場のヒラメを狙う
いよいよタックルを泳がせ仕様に変更しての本番だが、まずは浅場でヒラメ狙いとのことでハリス6号、オモリ50号の胴つき1本バリで挑む。
水深は30mほど、オモリを底から1m浮かしてアタリを待っていると、1投目からトモの釣り人にヒット。
浅場だけに強烈な引きでロッドをブチ曲げながら浮かせたのは、70cmはありそうな大ビラメ。
後はタモに誘導するだけというときに最後の抵抗をみせ、ハリスを噛み切ってしまった。
バラした釣り人はがっかりだが、船中はヒートアップ。
次は俺だと力が入る。
しかし、ハリ掛かりはしないのだが、ヤリイカが盛んにちょっかいを出してくる。
まるでヒラメの居食いのようにグーンとモタれてくるので、紛らわしいアタリに船中はスカッ、スカッと空振りまくりである。
しばらく粘ったものの、全体で2尾のソゲサイズが上がったのみで、大型の活性はイマイチだ。
沖の魚礁へ向かう
ここで誠司船長は浅場に見切りをつけ、沖の魚礁へと向かった。
水深50mほどで、深場というわけではないが潮も効いているのでオモリを60号に変更して攻めると、1流し目からヒット。
30cmほどのガシラではあったが、最初の1尾に胸をなでおろす。
静かだった船上も入れ食い突入で賑やかになってきた。
白藤さんには40cmオーバーのマハタ、落合さんも同型のアコウと高級魚が次々と釣れ続く。
私と同行の河井さんにもマハタ、メバル、ガシラ、マトウダイの30~40cmが、投入ごとにロッドを絞り込んでくれたおかげで、クーラーはいっぱいである。
といっても、盛期のようにタナを高くとって大型だけを選んで釣る方法は、低水温のこの時期には効果がなく、低めのタナをていねいに根渡りさせて良型を交ぜていく方が効率がよかった。
夢中になっていると、あっという間に沖上がりの時間を迎えたが、そのころには皆さんお腹いっぱいの釣果である。
やっぱり魚勘、ステキでトキメキな釣りは誠司船長にお任せ。
<週刊つりニュース関西版 APC・峯卓/TSURINEWS編>