アオリイカが徐々に大きくなってくると深場へと移動し始め、船から狙うティップランの射程圏に入ってくる。11月5日は田辺・内之浦のサウスカレントへ、ティップランの名手・青木将晴さんと同行し、入門者にも優しい秋のアオリイカ攻略法を実演して貰った。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
エリアによりサイズに差が
アタリがなければこまめに移動を繰り返してくれる山本船長のおかげで、やや乗りが渋い中ではあったものの、船中ではポツリポツリとアオリイカが上がる。ポイントによって、アオリイカのサイズがいろいろあり、まだまだ新子クラスが多い場所や、いきなり1kgクラスが飛び出す場所など様々。深い場所ほど大型が…と言う訳ではなさそうだ。
横取り?もティップランの特徴
少しずつ深場へと移動しながら釣っていくと、青木さんの横で釣り座を構えていた早田さんのロッドにコツンとアタリ。それを掛け損なって「あ~やってしまった」と言った直後に、青木さんが大きくアワせる。まるで横取りのようだが、ティップランではよくある事なのだと言う。
実はこの日も、同じような現象が多々あり、アタリがあっても乗らなければ、船中で誰かにヒットする。出ているラインの距離も違い、エギは広範囲に散っているハズなのに不思議だ。ただ、グループ釣行では、誰かに反応があった時に「アタった」と一声出す事で、周りが構える事ができる。これも釣果を上げるコツだ。
船は徐々に移動しながら探っていくが、日が高くなるにつれ反応が悪くなってきた。と、同時に潮が止まり、渋さに拍車をかける。
パターンがかわる?
が、こうなるとイカの乗るパターンがかわるのか、それまでやや不調と言っていた胴の間の早田さん、佐藤さんの女性二人がロッドを曲げだした。青木さんいわく「この時間帯は女性らしいソフトなアピールが聞くのでは…。その時々で反応がかわるので、釣り手にとっては自分の釣り方にイカが反応する時間がやってくるからティップランは面白いんですよ」。
青木さんは基本的にシャープでキビキビとしたジャークでの誘いが多いが、女性二人はソフトにエギをユラユラと踊らせるような誘いを多用していた。
気になるのは青木さん始め、同行者間でしょっちゅう「今、何g使ってますか」と言う質問が飛び交う事。実はほんの少しの重量差でもアオリイカの乗りがかわってくるのだ。少しでも反応のあった人に合わせる事で船全体での釣果が伸びる事になる。
エギの重さが重要な理由
ドテラ流しの場合、風を受けて船が流れるのに対して、船の上からエギを引っ張る、いわばトローリングのような状態になる。風が強く吹けば流されるスピードが増し、無風なら潮の影響で流される事になる。悪条件としては無風であったり、風と潮が同じ方向にいっていて、船の後方でエギを引っ張れない状態だ。
そして、エギの位置を船から離して斜め横へ引っ張る事でアオリイカと出合うタイミングが長くなる。釣りにくいのは、ラインが垂直になる事で、エギをシャクると最短距離でタナを抜けてしまうからだ。
船の流されるスピードに応じて、エギの重さをこまめに変更していくのもティップランのキモであると言う。青木さんも流しのたびにエギの重さやカラーをローテーションしてアオリイカの反応を探る。
重さの目安は?
目安としてはまず、確実にエギの着底が分かる重さが必要。シャクり上げてステイさせアタリがなければ、再び着底させるのだが、この時には、船が流されるので最初よりもラインが出る。これを数回繰り返して、あまりエギが離れすぎれば回収する。回収の目安としては「感覚で」と青木さん。
つまり、エギが離れる=ラインが出過ぎると小さなアタリを取りづらくなるし、ラインが垂直に近くなると探る距離が短くなって確率が下がる。その距離感をエギの重さで調節してやる。この日は2、3回の底取り直しで回収するくらいのパターンで釣っていた。
エギのカラーチョイス
もう一つ気になるエギのカラーチョイスについてだが、青木さんは「パープルなど定番と言われているカラーはありますが、基本的にはあまりカラー傾向が明確ではないのがティップラン。なので、こまめにカラーをローテーションして探っていき、反応があったカラーがその時の正解ではないか…と思います」と話す。
実際、この日もグリーンベースにアタったかと思えば、ブルー、パープルと流すたびに反応の出るカラーがかわり、ピタリと合った人がイカをヒットさせる。この反応を探るのもティップランの醍醐味であり、アオリイカと出合うための近道だ。
アオリイカと出会うために
最後にこの冬こそティップランを始めてみようと言う人に、アオリイカと出会うためのアドバイス。
・シャクリとステイはメリハリを効かせる
・ステイ時の安定感を大切に
・小さな反応も即アワセ
・アワセは大きく
・エギの重さはこまめにかえる
・カラーローテーションに偏見は不要