漁協組合長に聞く『一庫大路次川』でアユの遡上が多い3つの理由

漁協組合長に聞く『一庫大路次川』でアユの遡上が多い3つの理由

関西の都市近郊からアクセス良好なアユ釣り場である一庫大路次川(兵庫・猪名川町)は今年もダム湖産アユの遡上が非常に多い。今回はその秘密について、猪名川漁業組合長・鈴木啓祐氏にインタビューしてみた。

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(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・平塚悠介)

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淡水の釣り アユ釣り

アユの遡上が多い理由

なぜ一庫大路次川はダム湖産アユの遡上が多いのか?この川を管理している猪名川漁業協同組合・組合長の鈴木啓祐氏にインタビューをした。

「まず、ダム湖においてアユが生育する条件としては、水温が下がり過ぎないことと、エサが豊富なことです。水温が3~5度以下になるとアユは育ちません。また、アユは稚魚の時は動物性プランクトンを捕食しようとします。一庫ダムはこの2つの条件をクリアしているのでしょう。」

その他の理由はなんだと思われますか?

「主に3つ考えられます。それは1.産卵場の環境整備をしていること、2.ダム湖の外来魚を駆除していること、3.冷水病にかかりにくいことです。」

1.産卵場の整備

「一庫大路次川では、毎年“川の耕し隊”として、一庫ダムの上流・縄手橋付近などでアユの産卵場作りを実施しています。アユはこぶし大の石の裏に卵を産み付けるので、産みやすいように石を掘り起こしてやります。また、綺麗な川を保つための清掃活動も頻繁にしており、そういった努力もアユの住みよい環境作りに貢献していると思います。」

2.外来魚駆除

「一庫ダムでは組合員が普段からブラックバスやブルーギルなどアユの稚魚を食べる外来魚を駆除している他、毎年1回、外来魚釣り大会を実施し、ボート10艇ほどを貸し出して、参加者が釣り上げた魚を買い取ったりもしています。」

3.冷水病がない

「湖産アユから広まった冷水病ですが、一庫ダムのアユは元々は揖保川で育てられた海産のDNAを持っているので、耐性があります。また、川の水温自体がそこまで下がらないことも病気にかかりにくい要因かと思います。」

一庫大路次川のアユ釣り

なぜかあまり知られていないが、一庫大路次川は大阪市内、神戸市内から約1時間で訪れることができ、本格アユ釣り場としてはかなりアクセスがいい。サオ出しポイントは一庫大路次川県境から龍下トンネル南側までの約2.5kmで、足場もよくて釣りやすい。

漁協組合長に聞く『一庫大路次川』でアユの遡上が多い3つの理由アクセス良好で釣りやすい(撮影:TSURINEWS関西編集部・平塚悠介)

『ダム湖産』が遡上

一庫大路次川では、解禁前に100kgほど養殖アユが放流されるが、釣れるのは下流の一庫ダムから遡上してきた「ダム湖産」の天然アユが圧倒的に多い。解禁前後には足の踏み場もないほどのアユが川の中におり、シーズン初期は数釣りが大いに楽しめる。

漁協組合長に聞く『一庫大路次川』でアユの遡上が多い3つの理由一庫ダムで育ったアユ(撮影:TSURINEWS関西編集部・平塚悠介)

この「ダム湖産」だが、アユを育むダム湖というのは関西では他に京都の日吉ダム、奈良の布目ダムなど、数えるほどしかない。そもそも「ダム湖産」とはなんなのか、それをアユの生態まで遡って説明したい。

アユの生態と生育環境の違い

一般的にアユは、9~11月に河口で生まれ、海で成長し、2~3月に川へ遡上、秋ごろに産卵をして一生を終えるという「年魚」だ。

稚魚の間は海で育つのが一般的なアユだが、中には湖やダム湖で育つアユもおり、それらは「湖産」、「ダム湖産」と呼ばれる。※湖とダム湖が分けられている理由は、「湖産」というのは主に琵琶湖産のことを言うため。

また、これらの他に人工養殖で育ったものもおり、生育環境の違いによって主に、

・海産アユ
・湖産アユ
・ダム湖産アユ
・人工産アユ

以上の4つに分けられる。

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