【西日本編】7月に旬を迎える美味しいサカナ5選 『スク』はなんの魚?

【西日本編】7月に旬を迎える美味しいサカナ5選 『スク』はなんの魚?

日本は四方を海に囲まれた島国であり、北と南、東と西では海の中の様子は全く異なる。その恩恵として、日本ではどこに行っても美味しい魚介類を食べることができる。美味しく食べられる季節を【旬】として、日本各地の旬の魚介類とその代表的な食べ方を紹介していく。今回は西日本~沖縄編をお送りする。

アイキャッチ画像出典:PhotoAC

アバター画像 TSURINEWS編集部

サカナ研究所 その他

7月の関西地方の旬『マダコ』

明石海峡周辺の潮流の速い海域で漁獲されたマダコのことを「明石ダコ」と呼び、ブランド魚として様々な料理に用いられている。

明石海峡周辺では複雑に潮が流れ込んでいるため、良質のプランクトンや、小魚、エビ、カニ等の甲殻類が集まりやすい。

これらの贅沢なエサを沢山食べているので、明石だこの身は上質な甘みと、噛むほどに海の香りが溢れ出るような濃厚な味わいが生まれる。

また、明石ダコの特徴は「足が太く短い」ことである。

複雑に入り組んだ海底では、海峡部を通過する潮流はとても速くなる。そこで育つ「明石だこ」は激しい潮流に流されないようにふんばるため足が太く短くなるのである。

特に、梅雨のころから7月下旬は産卵に向けて体力と栄養を蓄えようと活発に餌をとり、歯ごたえがありながら、柔らかく、甘みがあり、かみしめるほどに味が出ます。

この時期の明石ダコは「麦わらだこ」と呼ばれ親しまれている。

地方での代表的な食べ方

明石ダコを使った料理で有名なのは【明石焼き】である。関東や東日本の人間にはあまり馴染みのない料理かもしれない。

なんとなく「出汁で食べるたこ焼き」のようなイメージがあるかもしれないが、これは大きな間違い。

たこ焼きと【明石焼き】の大きな違いはなんといっても生地。

小麦粉に卵を混ぜる:たこ焼き
卵に小麦粉を混ぜる:明石焼き

生地を作る際のイメージはこのような感じ。

明石焼きの生地は卵がメインであり、地元の人は「あかし玉子焼き」と呼ぶほどである。

プルプルふわふわで優しい出汁の効いた本場の明石焼き=あかし玉子焼きを一度味わってみることをおすすめしたい。

【西日本編】7月に旬を迎える美味しいサカナ5選 『スク』はなんの魚?明石焼き(出典:PhotoAC)

7月の四国地方の旬『ウルメイワシ』

高知県の土佐である漁法で漁獲されるウルメイワシは【一本釣りうるめ】と呼ばれている。

大きなまき網漁業ではなく、その名の通り一本釣りによってウルメイワシを釣りあげることにより、繊細で弱いイワシも傷つくことなく水揚げされる。

また、特殊な自動針外し装置を使い、釣り上げから5秒で氷の水の中へ。

鮮度の良さを徹底的に追求された魚と言える。

夏は脂のりもよく、甘みも増すウルメイワシ。

エネルギー生産に関わるコエンザイムQ10や、コレステロール値を下げたり、血流を促進したりするDHAやEPAなど、夏にうれしい栄養もたくさん含まれている。

地方での代表的な食べ方

鮮度を追求しているからこそ、【ウルメイワシの刺身】【カルパッチョ】などの生食がおすすめ。

口の中で溶ける質の高い脂を堪能してほしい。

また、港に近い店では、朝釣り揚げたウルメイワシをお昼に味わうこともできる。

南蛮、フライ、パスタなど、様々な料理を楽しんでみてほしい。

【西日本編】7月に旬を迎える美味しいサカナ5選 『スク』はなんの魚?イワシのお刺身(出典:PhotoAC)

7月の中国地方の旬『ちりめんじゃこ』

豊富な栄養で生まれ育ったカタクチイワシの稚魚。

小さくデリケートなカタクチイワシの稚魚を二隻の船で傷つけないように特殊な漁網、漁法で、引き揚げる。

そして、鮮度の高いうちに2〜3分塩茹でにし、乾燥させる。

関東では、ちりめんじゃこと呼ばれているものはしっかりとは乾燥させきらず、生乾きで出荷するのが主流。

しかしこれは中国地方では「しらす干し」と呼ばれており、西日本では、さらにしっかりと乾燥させたものを「ちりめんじゃこ」と呼んでいる。

このちりめんの方が日持ちがよく、風味が豊かになることが特徴である。

地方での代表的な食べ方

カリカリになるまで干したちりめんじゃこは潮の香る、風味豊かな味わいなのが特徴です。

そのちりめんをこれでもかとご飯の上に乗せ、大根おろしと小ネギ、醤油を一回しかけた【ちりめん丼】は一度食べ始めたら、お腹がいっぱいになるまで箸が止まらなくなるほどの逸品。

見た目は小さくとも、食材が持つパワーをしっかりと感じられるだろう。

【西日本編】7月に旬を迎える美味しいサカナ5選 『スク』はなんの魚?ちりめんじゃこ(出典:PhotoAC)

7月の九州地方の旬『マコガレイ』

別府湾で漁獲させるマコガレイは「城下かれい(しろしたかれい)」という名で、江戸時代から民衆に親しまれてきた。

別府湾の海中には清らかな湧き水が湧き出す場所がいくつもあり、その影響から泥臭くなく淡白でありながらも、上品な甘味を持つ味わいが特徴。

『城下かれい』は、江戸時代は殿様しか食べることができず、参勤交代の折には干物を将軍様に献上していたこともある品である。

非常に貴重で、美味な味わいの魚であることがこの情報からでも伺える。

地方での代表的な食べ方

カレイと言えば「カレイの煮付け」や「唐揚げ」など。

泥臭さのあるカレイにうってつけの調理方法だが、「城下かれい」は泥くさくないので、刺身で食べるのがおすすめ。

【マコガレイの薄造り】などがメニューにあれば、絶対に外してはいけない料理である。

ぜひ、3〜4枚一気に掴んで贅沢に食べてみてほしい。

個人差はあるが、マコガレイの刺身はヒラメよりも美味しいと言われることもあるほど。

【西日本編】7月に旬を迎える美味しいサカナ5選 『スク』はなんの魚?薄造り(出典:PhotoAC)

次のページで本土にも馴染みのある沖縄の魚