タチウオパターンの青物を攻略するには、タチウオを強く意識したジグ選択、ジャークを行う必要がある。今回、タチウオパターンの基本とともに、テイルウォークのフィールドスタッフ和田勝也さんと訪れた兵庫県明石沖での実釣を通し、同社から発売されたタチウオパターンに先鋭化された注目のロッドを紹介したい。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS編集部・五井)
タチウオパターンとは
小型のタチウオを模したジグ、アクションで青物を攻略する方法で、シルエットがタチウオに近いシルバーのロングジグが使用される。しかし、ジグの形と色は最低限の要素であって、その真髄はタチウオの動きをジグで演出することにある。
青物の捕食プロセスとジグ
青物など追跡型のフィッシュイーターは、ベイトが泳ぐ際に水をかき分けることで発する遊泳波動にまず反応し、標的に近づいたら視覚でシルエットや動きを捉え捕食する。
魚と会話ができない以上、ジグがどう見えているか断定的なことは言えないが、今追っているベイトに近いシルエットと動き(あるいは青物の捕食本能を刺激する動き)を見てエサと認識する。
このため、マッチザベイトとは、ジグのデザイン云々ではなく、青物が追っているベイトのシルエットと動きを、ジグにうまく擬態させることだ。
タチウオパターンのジャーク
低反発なロッドを使いゆったり大きくシャクリ上げる。ロッドを下げる際も、ジグの重みが抜けたあとラインスラックが大きく生じないよう、かつピンピンにラインが張らないよう、スマートにラインの弛みを回収する。
ジャークの過程で、海中のジグはタチウオのようにユラユラとゆらめきながら上昇し、ロッドを下げる瞬間には、おとなしめのスライドアクションか、短いサスペンド状態を経てゆらめきながらフォールする(ジグ自体のアクションで決まる)。
このゆったり&ユラユラしたアクションがタチウオの泳ぎを擬態することになる。
独特のジャークになる理由
タチウオは、細長いボディ全体をウナギのようにクネクネと動かして泳ぐ。上述のようなジグ操作を行うのはこのためだ。
一方、青物の代表的なベイトとなるイワシや小サバは、いわゆる普通の魚の泳ぎ方で、逃走時は尾部を激しく小刻みに振って速度を得る。
このため、タチウオが発する遊泳波動、体が発する反射光は一般的な魚とは大きく異なる。また、海中のタチウオは頭を上、尾を下にしてボディを縦向きにして泳いでいる。このような点から、ジグの横方向への派手な機動を抑えつつ、適度なインパクトを与えてジグを躍動させる操作がタチウオの動きのイミテーションとなる。
なぜタチウオを偏食するのか
タチウオは体を縦に向けて泳いでいるため、他の小魚に比べ体の側面に受ける潮の抵抗が大きい。海峡や水道などでは、小型のタチウオは下げ潮で生じた急流に翻弄され流されてくる。遊泳力に優れる青物にとって、これを食うことは赤子の手をひねるようなもので、食いやすいゆえ偏食するのだ。