サビキ仕掛けにイワシやアジを食わせ、これをそのままエサにして大型魚を狙うタテ釣り。この釣りでは食わせることと魚を制御することを両立したサオが必要になる。今回、船ザオでお馴染みのアルファタックルを展開する株式会社エイテックの下地さんと訪れた福井県三国沖での実釣を通し、高いポテンシャルを持った同社の新ロッドを紹介したい。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS編集部・五井)
本命の青物が登場
そしてこのあとの流しで、下地さんがベイトが食った仕掛けを沈下させている最中に、一気に持っていく魚がヒット。ガンガンと首を振る様子から間違いなく青物だ。相手は鋭いダッシュを繰り返すが、今回下地さんが手にしているサオ、アルファタックルのHEAD QUARTER BLUE BOUT(ヘッドクォーター ブルーバウト)210は、10kg前後までの青物に対応したモデル。ワラサクラスなら難なく寄せてしまう力がある。サオを脇挟みしたまま余裕のファイトでキャッチしたのは、60cmを少し超えるハマチだった。
ヘッドクォーター ブルーバウト
今回、下地さんが使用しているヘッドクォーター ブルーバウトは、大型青物をメインに各種底物にも対応したモデル。ブランクスは同社が誇る注目素材『MPG』100%から成る。当モデルにはこの210と、今秋新たに加わった240MHがあり、前者は10㎏前後までの青物に対応し、後者は玄界灘のヒラマサを軸に置いた10㎏超の青物にも対応したモデルだ。
ガイドにもこだわり
両モデルとも穂先側はイト絡み低減のFuji KWSGガイド、バット部分は耐久力に優れる同HBSGガイドを装備。
対大物抜かりなし
さらに、トライアングルリールシートやギンバルなど、グリップ周りもフラッグシップモデルにふさわしい作り込みが施された対大物仕様になっている。
注目の素材『MPG』とは?
このサオに使われている素材MPG(マグナム・パワー・グラス)とは、わかりやすく言うと、グラス素材とカーボン素材の良いとこ取りをしたような素材。ソリッドではなく中空(チューブラー)で強度の優れたブランクスを製作できるため、同強度であればグラスソリッドのサオに比べ、ずっと軽く仕上げることができる。
もう少し突っ込んだ話をすると、高品質素材の代表格Eグラスと比べても、繊維の引っ張り強度は4割増し、一般的なカーボンと比較するとその伸縮率は3倍以上と、まさにバネのような粘り強さを備えている。
この優れた伸縮率により、サオの高い復元力(曲がった状態から元に戻ろうとする力)を実現し、抗う魚をサオが自動的に浮かせる作用を発揮してくれる。すなわち、MPG素材のサオは、一般的なグラスソリッドのサオでは実現できないリフティングパワーを備えているのだ。
同時に、穂先周辺もグラスならではの柔軟さに仕上げることができるので、タテ釣りにおいてはベイトの掛かりが良く、前アタリも大胆に現れるので把握しやすい。おまけに捕食者の食い込みの良さも抜群。MPGはまさにグラス素材のMVPなのだ。
キダイ連打で食い込みの良さ実感
すっかり日が昇り切ると、活発だったベイトも捕食者も小休止。
ベイトは底付近に張り付いているため、下地さんは仕掛けをボトムバンプさせ、サオひと振り分上下させる誘いで対応。タテ釣りでベイトが底付近にいるときはこの誘いが有効だ。
この間、25~35cmのキダイをコンスタントにキャッチ。サオは魚に対して完全にオーバースペックだが、体も口も小さいこれらの魚のアタリも食わせてしまう穂先の柔軟さを体感することができた。