これからの日本に【新しい魚種を食べる取り組み】が必要なワケとは?

これからの日本に【新しい魚種を食べる取り組み】が必要なワケとは?

地球規模の温暖化の影響で漁獲される魚種が各地で変わってきています。鮮魚店に行くと「食べ慣れた魚」に手を伸ばしたくなりますが、それだけだと未利用魚が増えてしまう結果にも。今後は新しい魚種を積極的に食べていく姿勢が重要になってくるかもしれません。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

北海道で「アンチョビ」の製品開発

イカ漁などが有名な北海道を代表する漁業都市・函館市。ここで今「イワシ」を使った新たな名物を作ろうという取り組みが始まっています。

昨年12月には、有志が集まって立ち上げられた「ハコダテアンチョビプロジェクト」によって函館の新たな名産として発案された「ハコダテアンチョビ」が開発されました。

これからの日本に【新しい魚種を食べる取り組み】が必要なワケとは?ハコダテアンチョビに使われるマイワシ(提供:PhotoAC)

アンチョビは我が国ではカタクチイワシで作るのが一般的ですが、ハコダテアンチョビは函館でとれた「マイワシ」を使って作られています。

市民や函館市の担当者人を招き、完成したアンチョビの試食会も実施したそうで、その評判は上々とのことです。

漁獲される魚が変化

近年日本近海は海洋温暖化が著しくなっていますが、その影響をとくに大きく受けているのが北海道の漁業です。ほぼ南端に位置する函館では、これまでメインの漁獲物であったイカやサンマ、ホッケなどの北の海の漁獲種が大きく減少し、それに変わり近年大きく漁獲を増やしているのがイワシです。

函館ではここ数年、特にマイワシの漁獲量が増えている一方、函館周辺ではもともとあまり穫れない魚であったため、現地にはあまりイワシを食べる習慣がないそう。

これからの日本に【新しい魚種を食べる取り組み】が必要なワケとは?北海道の人はイワシを食べ慣れない(提供:PhotoAC)

市場のセリでも買い手がつかず、多いときには数百kgものイワシが廃棄されてしまうこともあるといいます。そのイワシに目をつけたのが今回の「ハコダテアンチョビプロジェクト」なのです。

「新しい魚」に目を向ける動き

なお北海道では、イワシと同様にブリも近年になって穫れ始め、今では毎年のように豊漁となっています。サケのために仕掛けた定置網にもブリばかりが入ってしまうということもしばしばです。

当地ではブリももともと食べる文化がなく、そのため道はブリを使ったレシピのコンテストを開催するなどして、食材としての知名度アップに尽力しています。

イワシもブリも他の地域では人気の食用魚であり、このような話を聞くと「なんて贅沢な、そんなワガママを言っていたら魚が食べられなくなるぞ」と思ってしまうこともあるでしょう。

しかし魚という食材は、他の食材と比べても地域性・偏食性の強い食べ物です。とある地域でどんな魚を食べるかは、その地域の食文化と密接に関係しているため、どんなに美味しい魚であろうと、その食文化のないところでは需要がない「未利用魚」となってしまうものなのです。

これからの日本に【新しい魚種を食べる取り組み】が必要なワケとは?関東の「新しい魚」アイゴ(提供:PhotoAC)

ただそうはいっても、海洋温暖化を止める手立てが現時点で見つかっていない以上、今後も温暖化は進行し、漁獲可能な魚種は変わり続けるのは間違いありません。サンマやイカの幻を追い続けた結果、北海道の漁業ごと崩壊してしまっては本末転倒。そしてこれは北海道だけでなく、日本全国における問題ともいえるでしょう。

今こそこのイワシやブリのような「新しい魚」に目を向け、先入観なくその美味しさを楽しむというのが、我々日本の魚好きに課せられた使命なのではないでしょうか。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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