貝柱の王様『タイラギ』が旬 潜水漁は日本屈指の過酷さと話題

貝柱の王様『タイラギ』が旬 潜水漁は日本屈指の過酷さと話題

大きくて美味なことから高級食材となっている「平貝の貝柱」。その本体であるタイラギは、他の魚介とは全く違った方法で漁獲されています。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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タイラギ潜水漁は過酷

香川県の瀬戸内海沿岸で、今が旬のタイラギ漁が佳境を迎えています。代表的な産地である丸亀市の沿岸部では、伝統的な「タイラギ潜水漁」が実施されており、度々マスコミの取り上げるところとなっているようです。

潜水漁を行う漁師たちは重厚な潜水服を身にまとい、水深10m以上もある海底に潜り、漁を行います。潜水服の頭部はドーム状のヘルメットになっており、さながら宇宙服のようです。

貝柱の王様『タイラギ』が旬 潜水漁は日本屈指の過酷さと話題潜水服のヘルメット(提供:PhotoAC)

日本屈指の過酷さ

タイラギ漁師は一度潜ると半日ほど潜水し続けるといいます。瀬戸内海の早い潮に流されないよう、およそ50kgもの重さがある潜水服を背負い、泥で濁った海底でタイラギを探すのは至難の業で、経験の差で漁獲量が大きく変わるそうです。ときに海中で毒魚に刺されるなどの事故が発生することもあるといい、タイラギ潜水漁は日本屈指の過酷な漁であるとも言われています。

タイラギとはどのような貝?

タイラギはハボウキガイ科というグループに含まれる大型の貝で、殻長30cmに迫るものもあります。その大きさに対し殻は薄くて脆く、縦に長い三角形をしており、尖った頂点を柔らかい泥の海底に刺して固定し生息します。

貝柱の王様『タイラギ』が旬 潜水漁は日本屈指の過酷さと話題タイラギ(提供:PhotoAC)

タイラギは水深10~50mほどの泥底に生息しているのですが、国内ではそのような海底は沿岸部の内湾に多く存在しています。そのような海の代表である有明海では、かつてタイラギが大量に漁獲されていたのですが、環境が悪化し激減。今では漁獲よりも再生のための対策が取られている状況です。

現在国内の市場では、三河湾や瀬戸内海、韓国産のものが多く流通していますが、いずれも環境破壊の進んでいる内湾のため、漁獲量は漸減しているようです。

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