6月17日、福井市大窪町の鷹巣釣船センターの徳吉丸に乗船し、解禁2日目を迎えた玄達瀬の様子を取材した。
いよいよ本命ヒラマサ登場
そして当日4匹目の獲物が大きくサオを曲げた。
先ほどまでと異なるスピード感あふれる引き。
距離が詰まったところで相手は一気に船下へ向かう。
どうやらお目当てのあの魚のようだ。
しばし攻防が続いた後、取り込まれたのは106cmの良型ヒラマサ。
釣り開始から1時間半で意外とあっさり立派なサイズの本命が釣れて少し拍子抜けしてしまった。
早々に紙面を飾る「顔」が撮影できたので、「あとは心ゆくまで自分の釣りを楽しんでください」と告げたが、直後にこれが序章に過ぎないことを知ることになった。
化け物クラスがお目見え!
30~40分が経過しただろうか。
良型マダイが追加された後、前日から一睡もしていない私は、撮影に成功した安心感からウトウトしてしまった。
すると突然船上を走る足音とともに「化け物級のヒラマサだ!」と船長の大声が聞こえてきた。
ふと我に返ると、橋本さんのサオが極限まで曲がり、『シーボーグ500MT/DAIWA』のモーターが悲鳴を上げている。
船長に状況を聞くと、最初はゆっくり寄ってきたが、残り30mほどで一気に走りだし、何十mもイトを引き出した後に左隣の船の方向へ一直線。
あわやオマツリかと思われたが、向きを変えて逃走し、今は船の右舷側でファイトが行われているとのことだ。
「リールが熱い!モーターが焼けるぞ」と続いて橋本さんの声が響く。
大自然が生み出した怪物対人間が生み出した最新鋭のリール、そして橋本さんの体力が組み合った死闘が繰り広げられたが、軍配は人間側に上がった。
ギラギラと光る巨体が見えると、小林船長の手がハリスをつかみ、右手に携えたギャフが一撃で怪物の頬を捉えた。
「上がらん!」と船長がほえる。
私はすぐにカメラを置き、2人がかりで船上に引きずり上げた。
「やったな橋本さん!」船長の声が響き、橋本さんも安堵(あんど)の表情を浮かべる。
取り込みの一部始終を見ていた隣の船からも驚きと喝采の声が聞こえてきた。
仕留めたのは145cmの巨大ヒラマサ。
帰港後に聞いた話では、鷹巣漁港の遊漁船で釣り上げられた中では最大のものだった。
昔ほど大物が釣れなくなったと言われる玄達瀬だが、まだまだ巨大な夢がこの釣り場には潜んでいる。
大物師の皆さん、怪物は今年も玄達瀬であなたが来るのを待っている。
解禁直後が華と言われるが、超巨大サイズのヒラマサは梅雨明けごろにも実績が高い。
一生の思い出になる大魚を狙って足を運んでほしい。
<週刊つりニュース中部版 編集部・五井貴矢/TSURINEWS編>
鷹巣釣船センター