海藻専用の『陸上養殖』施設がオープン予定 あえて陸で行うワケとは?

海藻専用の『陸上養殖』施設がオープン予定 あえて陸で行うワケとは?

近年脚光を浴びる、魚介類の「陸上養殖」。サバやサーモンなど様々な魚の養殖に活用されていますが、この度そのラインナップに「海藻」が加わる予定です。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

海藻の陸上養殖施設

三陸海岸南端近くにあり、太平洋に面する岩手県陸前高田市。東日本大震災の際には津波で壊滅的な被害を蒙りましたが、10年の歳月を経て徐々に復興が進んできています。

そんな陸前高田市に、このたび大手食品メーカーの子会社が、とある「養殖施設」を作ることが決まり、その地鎮祭が実施されたことがニュースとなっています。その施設はなんと「海藻専用の陸上養殖」のための施設。

海藻専用の『陸上養殖』施設がオープン予定 あえて陸で行うワケとは?海藻の養殖?(提供:PhotoAC)

陸前高田には波の小さく養殖に向いた環境を持つ湾があり、カキなどの養殖が盛んに行われています。しかし今回の施設はもちろん海上ではなく完全な陸上に作られます。

開設は来年10月を予定しており、はじめに養殖される海藻は「スジアオノリ」になる予定となっています。(『陸上でノリ養殖!?陸前高田市で施設起工式【岩手】』岩手朝日テレビ 2021.5.19)

「青のり」代表種スジアオノリ

スジアオノリはいわゆる「青のり」の最も代表的な種です。青のりと呼ばれるものにはアオサ、ヒトエグサなどいくつかありますが、その中でももっとも味が良いとされるものです。

海藻専用の『陸上養殖』施設がオープン予定 あえて陸で行うワケとは?粉物には欠かせない(提供:PhotoAC)

海藻とはいいますが、水質の良い川の河口域など淡水の影響のある場所に生息するために「カワノリ」と呼ばれることもあります。御存知の通り、たこ焼きや焼きそばなどには欠かせない存在で需要は高く、炙ったときの香り高さはまさに高級さを感じさせます。

「陸上で養殖」するワケ

実は、スジアオノリはかつて、全国で普通に見られる存在でした。しかしここ数年、急激な温暖化のために海水温が上がり、各地でスジアオノリの生育不良が著しくなっています。

2015年は国産スジアオノリはおよそ100tの水揚げがありましたが、現在はその5分の1程度まで落ち込んでしまっています。大型台風が頻発し、洪水が繰り返されたことで、河川河口部の環境がスジアオノリの生育に適さなくなってしまったことも生育不良の原因とされます。

海藻専用の『陸上養殖』施設がオープン予定 あえて陸で行うワケとは?海藻の養殖には静穏な環境が必要(提供:PhotoAC)

このように海藻類は生育環境の悪化が生産量の減少に直結してしまうのですが、その点陸上養殖は水温・水質管理が容易で天候に左右されず、海藻類の養殖に最適と言えます。加えて海藻は魚類のように広い養殖池を必要としないことも陸上養殖に向く理由です。

温暖化による海藻の不漁は全国的な問題となっており、今後はより多くの種類が陸上で養殖されるようになるかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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