暖かくなると発生する「春濁り」の原理 生態系を回す起爆剤の役割も?

暖かくなると発生する「春濁り」の原理 生態系を回す起爆剤の役割も?

春になると海は驚くほど茶色く濁ることがあります。それを「春濁り」と言いますが、いったいこの春濁りはどうやって起こるのでしょうか。調べてみました。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

TSURINEWS編集部

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春になると海が濁る?

暖かくなったし週末は海に釣りでも行くかと意気揚々と出かけたはいいものの、いざ海につくと海が抹茶色に濁っていた経験はありませんか?

俗にいう「春濁り」と呼ばれるこの現象ですが、いったいどのようなメカニズムで起こっているのでしょうか。

「春濁り」はなぜ起こる?

陸上と同様、冬になると海水もぐんぐん温度が下がります。

海面付近の水は冷やされることで密度が増し重くなるため沈んでいきます。

これにより上層と下層の水が循環され、栄養塩類という養分を豊富に含んだ海水が海の上層にも供給されたところで、春になって水温が上昇し、植物プランクトンが一気に増殖します。

さらに、海藻類が水温の上昇と共に溶け出すことで、海の中に浮遊物が多く発生します。

これにより海の透明度は失われ、茶色く緑がかった色で濁っていくのです。

また、地域にもよりますが、この時期になると中国大陸からは「黄砂」が飛んできます。

この黄砂にも栄養分が含まれており、それが海に溶け出すことで、植物プランクトンや海藻類が活発に育つ原因となっているとも言われています。

年によってずれはありますが、毎年3月中旬頃から5月ごろまでがこの「春濁り」の季節だと言われています。

池では「ターンオーバー」

ちなみに、バス釣りをする人がターンオーバーと言っているものもこれとほとんど同じ現象で、「春濁り」の池や湖バージョンと思ってもらえれば大丈夫です。

この時期を境に池や湖では藻が大量発生します。

豊富な栄養と太陽の光で水中の藻たちはグングン成長していくのです。

暖かくなると発生する「春濁り」の原理 生態系を回す起爆剤の役割も?春になると豊かな水場に(出典:PhotoAC)

栄養塩って何?

ちなみに栄養塩というのは、ケイ酸塩、リン酸塩、硝酸塩などを指し、植物プランクトンや海藻などの成長に必須なものと言えます。

ワカメやアワビなどの養殖ではこの栄養塩が非常に重要な存在となっています。

様々な養殖が行われているリアス式海岸があるような地域では、山も近くにあることからこれらの栄養塩が多く海に溶けだすのです。

赤潮の原因にも?

この「春濁り」ですが、あまりに植物プランクトンが大量発生すると海や池にはよくない赤潮へと変わってしまいます。

天気の良い、無風の日が続いてしまうと、水中の植物プランクトンや、それを捕食する動物プランクトンが増殖し、プランクトンが異常に繁殖することで水が濁り、最終的に真っ赤な赤潮がなってしまいます。

こうなると、水中への酸素が供給されにくくなってしまい、水中にいる生物たちは酸欠になり死んでしまいます。

また、増殖するプランクトンのも有毒なものがおり、これらによる赤潮は、サカナや貝類を死に至らしめることもあり、養殖業者を困らせてしまうことも多々あるようです。

春のにごりから始まる生態系のサイクル

この時期だけを切り取ると、「春濁り」は害ばかりに感じてしまうかもしれませんが、植物プランクトンの増加はそれを捕食する動物ブランクトンの増加を促し、さらにはその動物プランクトンが増えると小型の魚が増えていきます。

海や池の中に小さなサカナが増え、にぎやかになっていくのもこの春の時期を過ぎてからです。

そして、小型のサカナが増えるとより大型のサカナも活発になるのです。

「春濁り」は海の生態系をサイクルさせるための起爆剤といえるでしょう。

<近藤 俊/サカナ研究所>

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