「一夫一妻」制のサカナたちの奇妙な生態 オスがメスの代わりに出産?

「一夫一妻」制のサカナたちの奇妙な生態 オスがメスの代わりに出産?

ヒトと同様「一夫一妻制」を持つ魚たちがいます。彼らはそれぞれに面白い習性があるようです。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

コンビクトシクリッド

中南米原産で、日本でも熱帯魚としても人気の魚「コンビクトシクリッド」。先日、大阪市立大学などの研究チームが、この魚の面白い習性を発見し、科学雑誌「ネイチャー」に発表して話題となっています。

コンビクトシクリッドは一夫一妻制の魚で、実験では既にペアとなっているオスとメスが用いられました。まず水槽に2つの小部屋を設け、オスの魚が餌の時間になるとどちらかを選んで移動できるようにしました。そのオスがある部屋の餌を食べると、隣の水槽にいるパートナーのメスも餌を与えられますが、もしもう一方の部屋を選ぶと与えられないようにしたそうです。

「一夫一妻」制のサカナたちの奇妙な生態 オスがメスの代わりに出産?シクリッド類の一種(提供:PhotoAC)

9つのペアでその実験をしたところ、最終的には9割以上のペアでオスがパートナーのメスに餌を与えるような選択をするようになったといいます。

また、別の部屋に入ったのがライバルのオスだった場合、餌を与える選択肢を選ぶ確率は3割を切ったそうです。加えて、パートナーのメスが視界に入ると、別のメスに冷たくする様子も観察されたといいます。相手を見て行動を変える社会性の存在が伺えます。(『意地悪も思いやりもある魚心 一夫一妻制の魚で実験』朝日新聞デジタル 2021.3.21)

「一夫一妻制」の魚たち

一夫一妻制の魚は、全体の6%程度いると考えられています。そしてそのなかには、面白い習性を持つものが少なくありません。

アニメ映画で知られるようになったカクレクマノミもそのひとつ。彼らは生まれたときはすべてオスで、群れで暮らしています。

「一夫一妻」制のサカナたちの奇妙な生態 オスがメスの代わりに出産?カクレクマノミ(提供:PhotoAC)

繁殖期になると群れの中で最も大きなオスがメスになり、2番めのオスとペアになります。メスや最大オスが死ぬと、群れの中でそれぞれの個体の順位が繰り上がり、新しいペアが生まれます。

ペアになれなかったオスは、生涯交尾しないまま過ごすそうです。彼らは群れの中の強い個体たちに群れの将来を託すのだと考えられています。

オスが「出産」する?

魚らしからぬ見た目とユーモラスな動きで人気の「タツノオトシゴ」。一夫一妻制のものが多いことで知られていますが、この種のオスは「出産」をすることで知られています。

タツノオトシゴ類のオスは「育児嚢」という器官を持ち、パートナーのメスから卵嚢を譲り受け、自分の体内で孵化させるのです。このとき特定のメスだけの卵を育てることが知られ、また一度ペアになったパートナーとは100日以上も仲良く連れ添うそうです。

「一夫一妻」制のサカナたちの奇妙な生態 オスがメスの代わりに出産?タツノオトシゴの一種(提供:PhotoAC)

また、タツノオトシゴと近縁のイシヨウジという魚は一度ペアを組むと、産卵期以外でもそのペアを維持するといいます。パートナーと一緒にいないときに別の異性と出会っても、そちらに浮気することはないそうです。

人間の目から見ても「理想的」なカップルたちだといえますね!

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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