美味しいけど毒も強い『ヒガンフグ』 食べると「彼岸」に行ってしまう?

美味しいけど毒も強い『ヒガンフグ』 食べると「彼岸」に行ってしまう?

3月20日は春分の日、春の彼岸の中日です。彼岸といえば「あの世とこの世が近くなる」日として知られますが、「あの世が近づいてしまう」魚に「ヒガン」の名が冠せられています。

(アイキャッチ画像提供:茸本朗)

TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

今年の彼岸は3月17日~23日

昼と夜の長さが同じになる春分の日。今年は3月20日とちょっと早めで、それに伴い「3月17日~23日」が2021年の春の彼岸となります。

春分の日を中心にした1週間が春の彼岸ですが、その期間にはぼたもちを作り、精進料理を食べて身を清め、墓参りや法事などを執り行います。

美味しいけど毒も強い『ヒガンフグ』 食べると「彼岸」に行ってしまう?春の彼岸に食べるぼたもち(提供:PhotoAC)

彼岸の時期はしばしば「あの世とこの世が近くなる」と言われます。そのため、お盆と合わせ「海の事故が増える」とされる時期でもあります。釣りや漁などの際には気をつけよ、と注意喚起の言葉をもらった人もいるのではないでしょうか。

実際、春分の時期まではいわゆる「春一番」やそれに準ずる強い風が吹きやすく、それに伴い海が大きく荒れることがあります。ポカポカ陽気に誘われて海に行きたくなる時期ですが、天気予報には常に気を配ったほうが良いでしょう。

食べると「彼岸に行く」魚?

この「彼岸」という言葉ですが、そもそもの意味は「極楽浄土」のことです。我々が暮らす現世を「此岸(こちらの岸)」と呼び、それに対応してあの世のことを「彼岸(あちらの岸)」と呼ぶわけです。

このことから連想し、死んでしまうことを「彼岸に行く」と婉曲的に表すことがあります。そしてさらにそこから転じて「死ぬような毒」を持つものに「彼岸」の名をつけることがありました。ヒガンバナなどがその例です。

美味しいけど毒も強い『ヒガンフグ』 食べると「彼岸」に行ってしまう?ヒガンフグ(提供:PhotoAC)

さて、毒魚といえばフグですが、この例に関連し、そのものズバリの「ヒガンフグ」と名付けられたフグがいます。フグの中では比較的大きい種類で、皮や内臓に強毒を持ちます。特に肝臓は300MUを超えることもあり、これは一般的な成人男性なら100g未満で死に至ることがあるほどの毒性となります。

でも「高級フグ」のひとつ

一方でこのヒガンフグは、特にプロの間で評判の高い高級フグのひとつ。地域にもよりますが、特に関東周辺では「赤目ふぐ」と呼ばれ人気が高く、トラフグに次ぐ評価を受けています。

ヒガンフグの魅力はそのしっかりした身質。寝かせば寝かすほど旨味が増し、薄造りや寿司ネタで非常に珍重されます。サイズも40cm近いために歩留まりがよく、1匹あれば造りから鍋まで一通り楽しむことができるでしょう。

美味しいけど毒も強い『ヒガンフグ』 食べると「彼岸」に行ってしまう?身の味はトラフグに準ずる(提供:茸本朗)

しかしこのヒガンフグ、厄介なことに一般的な食用フグと異なり、筋肉以外はすべて毒とされています。肝臓や卵巣はもちろん、一般的に食用部位とされる精巣や皮も有毒となっており、例えばひれ酒なども作ることができません。不注意で筋肉以外の部位を食べると、本当に彼岸に行きかねないので注意が必要です。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

現在、一部都府県に緊急事態宣言が発令中です。外出については行政の最新情報を確認いただき、マスクの着用と3密を避けるよう心がけて下さい。一日も早く、全ての釣り場・船宿に釣り人の笑顔が戻ってくることを、心からお祈りしております。