冬に旬を迎える『寒ダラ』 知ってトクする3種の「切り身」の使い分け方

冬に旬を迎える『寒ダラ』 知ってトクする3種の「切り身」の使い分け方

代表的な冬の魚のひとつ・タラ。鍋物などの料理に最適な魚ですが、スーパーに行くといろいろな形で売られており、どれを買おうか迷ってしまうこともあります。

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「寒鱈まつり福興市」が開催

1月24日、宮城県南三陸町にある志津川仮設魚市場にて「寒鱈まつり福興市」が開催されました。南三陸町で年に数回行われるイベント「福興市」のひとつで、旬を迎えた地元産のマダラを購入しようとする客で毎年賑わうそうです。

冬に旬を迎える『寒ダラ』 知ってトクする3種の「切り身」の使い分け方マダラ(提供:PhotoAC)

メイン商品は地元に水揚げされた巨大なマダラの1本売りで、何本も並んでぶら下げられている光景は圧巻の一言。2021年はタラの水揚げが順調で、白子を持つオスもリーズナブルな価格で販売されていました。(『旬の寒ダラお待ちどおさま 宮城・南三陸で福興市』河北新報 2021.1.25)

流通している3種のタラ

東北日本の冬には欠かせない魚であるタラ。日本では主に大きくなる「マダラ」、あまり大きくないですが、卵巣が美味な「スケトウダラ」、大きくならず干物などで消費される「コマイ」の3種が漁獲されます。

冬に旬を迎える『寒ダラ』 知ってトクする3種の「切り身」の使い分け方「たらこ」「明太子」はスケトウダラの卵巣(提供:PhotoAC)

マダラは通常やや深場に棲んでいますが、低温期にはやや浅いところに上がってくるため、盛んに漁獲されます。産卵を控え卵巣や精巣が発達しており、この時期を旬とみなすことが多いです。

加熱すると柔らかくほぐれる身はクセがなく、鍋や汁物で賞味されるほか、フライ材料や干物などの加工品としても広く流通します。実は生食でも非常に美味で、水揚げ地近郊では刺身や寿司ネタにされることもしばしばです。

切り身の種類に注意

マダラは最大で1mほどにもなる大きな魚。鮮度落ちも早く、そのため流通するのは基本的には切り身です。しかしこの「タラの切り身」、一見すると同じようでも、商品名が異なっていることがあります。

切り身・すきみ・ぶわの3種

例えば関東地方でスーパーの鮮魚コーナーを覗くと、「切り身たら」「すきみだら」「ぶわだら」などが並んでいるのは普通の光景です。それぞれ性質が違うため、用途も異なります。

冬に旬を迎える『寒ダラ』 知ってトクする3種の「切り身」の使い分け方すきみたら(提供:PhotoAC)

オススメの用途

「切り身たら」は最もノーマルなもので、ただ切り分けただけのものを指します。それに対し「すきみたら」は皮が引いてあるものを指します。切り身たらは皮の美味しさを活かせる汁物や鍋物にすると美味しいですが、すきみたらはほぐれやすく食べやすいためフライやムニエルに向いています。とはいえ、この2つは混同してもそこまで問題にはなりません。

間違ってしまうとあまり良くないのが「ぶわだら」。これは塩蔵もののタラを指すことが多く、切り身たらやすきみたらと同じように調理してしまうとしょっぱくなってしまうことがあります。

冬に旬を迎える『寒ダラ』 知ってトクする3種の「切り身」の使い分け方ぶわだらは塩気を活かせる鍋が適(提供:PhotoAC)

タラは身に水分が多いのですが、水分を抜いて味を濃くし、保存性を高めたものがぶわだらです。良い出汁と塩気が出るので、塩気を生かした汁物にすると、その味を最もよく引き出せます。関東では古くから湯豆腐に入れることでも知られ、雪が降るような寒い日にぶわだらの湯豆腐で、一献傾けるのはなかなか乙なものです。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>