臭い魚の代名詞「ボラ」がイメージ回復中 高い適応能力で養殖事業化も

臭い魚の代名詞「ボラ」がイメージ回復中 高い適応能力で養殖事業化も

海面をはねるサカナ「ボラ」。どこにでもいるサカナではあるものの、実はよく知らない人も多いのはず。今回は、必要以上に嫌われているボラについて調べてみました。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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ボラの生態

釣りをしたことがある人ならほとんどの人に馴染みがあるサカナと言えば「ボラ」。

臭い魚の代名詞「ボラ」がイメージ回復中 高い適応能力で養殖事業化もボラ(提供:野食ハンマープライス)

日本では北海道より南の地域で広く生息しており、稚魚・幼魚のときは、河川の上流域まで生息域を伸ばすことが知られています。淡水と海水の混ざった汽水域を好んで生息域にしているのが特徴です。

食性は雑食性で、普段は藻類や「デトリタス」などを食べています。デトリタスというのは生物の遺体や生物由来の物質の破片、微生物の死骸、あるいはそれらの排泄物を起源とする微細な有機物粒子のことです。そのため、微生物を求めて生活排水が流れ出るような小規模水路でも生息することが出来ます。

ボラと言えば、水面をよくはねているイメージがありますが、なぜはねているのかその理由は実は良く分かっていません。

「体についた寄生虫を落とすため」と言われることが多いですが、寄生虫説以外にも水中の酸欠などにより跳ねると言われていたり、別の魚に追われて跳ねるや、驚いて跳ねるなどの説があります。

多彩な別名

様々な地域に生息しているボラには「別名」が沢山あります。

例えば佐賀県ではクロメ、石川県ではシロメ、三重県ではナヨシと続き、ここでは紹介しきれないほどの別名があります。

他にも、ナタネボラ・イセゴイ・マボラ・ツクラ・クチメ・エブナ・メジロ・ハク・マクチなどと、かなりの数が存在しますが、どれもニックネームのようなもので、「ボラ」と言えばどこでも伝わるのも面白いところでしょう。

こう見えて出世魚

ボラは実は出世魚で、成長するにしたがって名前が変わります。

出生魚と言うとブリやスズキをイメージする人も多いと思いますが、ボラの場合は【オボコ→イナ→ボラ→トド】と成長するにつれ、名前が変化します。

「結局のところ、物事の終わり、行き詰まり、成長が止まる」といった意味を表す「とどのつまり」という言葉がありますが、これはボラの成長の最後に呼ばれる名前「トド」が由来となっていて、成長の終わりのこと→「トドの詰まり」となったそうです。

「寒ボラ」は脂ノリ抜群

ボラの旬は10~1月で、今がまさにピークと言えるでしょう。海水の温度が低い時期に漁られるボラは「寒ボラ」とも呼ばれ、脂のノリがよく、特においしいとされています。新鮮なボラは身全体に張りがあり、色が黒々としているのが特徴です。

味は淡白ですが、コリコリとした歯応えがあり甘みも強めで、刺身にすると、鮮やかな血合いと透き通った身の色がとてもきれいで、真鯛のような味がするとも言われています。

日本三大珍味「からすみ」

身が美味しいボラですが、実はボラの卵巣は、日本三大珍味の一つである唐墨(からすみ)なのです。

臭い魚の代名詞「ボラ」がイメージ回復中 高い適応能力で養殖事業化もからすみ(提供:photoAC)

唐墨は1kgあたり7,000~20,000円ほどするので、決して安価ではありませんよね。隣国の台湾ではお土産の定番商品にもなっており、日本以上にボラは愛されているようです。

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