浜に打ち上げられたハマグリ拾ったら犯罪? 漁業権侵害しがちな魚介類

浜に打ち上げられたハマグリ拾ったら犯罪? 漁業権侵害しがちな魚介類

潮干狩りや釣りなどで手に入る食材の中には「一般人が許可なく採ってはいけないもの」があります。「知らなかった」では済まされないので、注意が必要です。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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その他 サカナ研究所

千葉でハマグリが大量打ち上げ

千葉県が誇る名勝のひとつ九十九里浜。ここで先日、大きなハマグリが浜辺に大量に打ち上げられ、話題になりました。

浜に打ち上げられたハマグリ拾ったら犯罪? 漁業権侵害しがちな魚介類九十九里のハマグリ(提供:PhotoAC)

これらのハマグリは打ち上げられはしたものの生きており、ニュースを見た多くの人が拾いに訪れました。また地元の漁師の方は、ハマグリを拾い集めて海中に戻す作業に追われたそうです。

打ち上げられた原因については水温の乱高下などがいわれていますが、はっきりしたことはわかっていません。(『ハマグリが大量発生 専門家も「極めて珍しい現象』テレ朝NEWS 2020.11.19)

ハマグリの漁業権に注意

今回、ハマグリが打ち上がった九十九里浜の地元漁協は、ハマグリを拾いに来た人々に対して「ハマグリを拾わないで」と呼びかけていました。しかし残念ながら聞き入れずに拾ってしまう人もいたそうです。

実は九十九里浜周辺にはハマグリの漁業権があり、一般人が許可なく採取することはできません。近隣には潮干狩り場が設けられるところがあり、そのようなところではハマグリを採取することが(有料ながら)可能なため、九十九里浜でも採っていいと思っている人が多いようですが、残念ながらそうではないのです。

浜に打ち上げられたハマグリ拾ったら犯罪? 漁業権侵害しがちな魚介類もちろん潮干狩りで採るのもダメ(提供:PhotoAC)

今回、ハマグリを持ち帰った人はシンプルに言うと「密漁」の罪を犯していることになります。違反者は20万円以下の罰金刑と規定されています。今回の件とは無関係に、九十九里浜周辺ではしばしばハマグリ密漁者が検挙されており、罰金刑が課せられています。

犯しがちな「漁業権侵害」

イセエビやアワビ、サザエなどを無許可で獲ると密漁になることは、比較的よく知られています。しかしそれ以外にも「これもダメなの?」と思ってしまいそうな生物に漁業権や漁業調整規則による規定があります。

例えば、多くの地域でワカメ・テングサ等の食用海藻類に漁業権が指定されています。三浦半島西岸では、ヒジキの密漁の検挙数が多いという話を当該管区の警察署の方から伺ったことがあります。テングサはちぎれて打ち寄せられたものを拾うこともルールに抵触する可能性があります。

浜に打ち上げられたハマグリ拾ったら犯罪? 漁業権侵害しがちな魚介類テングサ(提供:PhotoAC)

またアサリ・シジミ等の砂浜に棲息する貝、さらにイカ・タコなど釣りのターゲットになっているものも、地域によっては漁業権があります。イカやタコは「釣りならば大丈夫」と誤解されていることがありますが、針で獲ろうが網で獲ろうが関係はありません。

漁業権の指定状況は県のHP等で確認が可能になっています。潮干狩りや磯遊びをする際、あるいは魚以外のターゲットを釣りで狙うときは、当該の自治体の漁業権指定状況や漁業調整規則を予め確認することをおすすめします。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>