キングオブ大衆魚「アジ」が40年ぶりの大不漁 原因はなにか?

キングオブ大衆魚「アジ」が40年ぶりの大不漁 原因はなにか?

イワシ、サバなど食卓を支える大衆魚の不漁と価格高騰が伝えられる昨今、ついにキングオブ大衆魚といえるアジまでもが深刻な不漁に陥りました。一体何が起こっているのでしょうか。

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庶民の味方・アジ

安価で美味しい家計の味方、アジ。「アジとは『味』である」とも言われ、食味の良い身近な魚として古くから愛されてきました。イワシ、サバと並び「青魚御三家」とも呼ばれ、最近の健康志向の高まりによってより一層注目を浴びる存在になっています。

キングオブ大衆魚「アジ」が40年ぶりの大不漁 原因はなにか?日本の食卓に欠かせないアジ(提供:PhotoAC)

刺身やフライ、塩焼きなど、どんなジャンルの料理でも美味しく食べることができるアジは年間を通して高い需要があります。一般的なスーパーマーケットで丸のままのアジが安価で売られることも多く、全国における世帯ごとの年間平均消費量の魚種別ランキングでは、マグロ、ブリに次ぐ3番手となっています。(『消費が多い「さば」「いわし」「あじ」「たい」』農林水産省)

40年ぶりの大不漁

そんなアジですが、実はここ最近、不漁が続いています。平成初期にはコンスタントに30万tほどの水揚げがありましたが、ここ数年は10万t台で推移。とくに2019年はひどく、水揚げ量合計は大台を割って9万7千tまで落ち込みました。これは実に40年ぶりの低水準とのことです。

キングオブ大衆魚「アジ」が40年ぶりの大不漁 原因はなにか?内容量を少なくして販売する店舗も(提供:PhotoAC)

この不漁に伴い浜値も上昇、産地での価格は2年で36%も上昇したといいます。鮮魚の価格が高騰するのはもちろんのこと、干物などの加工品もアジの場合は国産原料が用いられることが多いため、今後の高騰が予想されている状態です。(『アジ干物、40年ぶり不漁でピンチ ホッケが王座狙う?』日本経済新聞 2020.8.1)

不漁の原因は不明

これまでイワシやサバなどの大衆魚が不漁による値上がりを繰り返してきた中で、アジだけは比較的安定した水揚げがあり、安価な魚であり続けてきました。なぜ、今になって不漁が恒常化してきたのでしょうか。

原因の一つとして、こちらも不漁が続いているカツオやマグロと同様「黒潮蛇行」が挙げられることがあります。日本の南岸を流れる黒潮(日本海流)には、定期的に沖寄りに蛇行する現象が起こるのですが、これによって回遊魚の接岸量が減り、不漁が起こる、というものです。

しかし我が国におけるアジの水揚げ量の実に4割が東シナ海~日本海沿岸地域である長崎県で占められており、黒潮蛇行だけでは原因としては不十分と考えられます。そのため、温暖化や天候不順が根本的な要因であるとする考え方も出ているのですが、残念ながら現時点でははっきりしたことはわかっていないようです。

キングオブ大衆魚「アジ」が40年ぶりの大不漁 原因はなにか?アジフライがごちそうになる日が来るかもしれない(提供:PhotoAC)

国内での水揚げが減った分を輸入で補おうにも、世界的な健康志向の高まりによる魚介類需要増の煽りで外国産アジも価格が高騰しているそうで、需要が減りつつある日本の購買力では買い負けてしまうことも増えているといいます。

今後も美味しいアジを食べ続けていくことができるかどうか、現時点では非常に不透明な状態がつづています。引き続き、関連のニュースに注目していきたいと思います。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>