「魚の骨が刺さった」を甘く見たらダメ 大量出血で死亡した例も

「魚の骨が刺さった」を甘く見たらダメ 大量出血で死亡した例も

サカナ好きなら避けて通れないトラブル「骨が喉に刺さる」。よくあることと気軽に考える向きもありますが、ときに非常に深刻な事態に陥ることもあります。

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魚料理の頻発トラブル

この記事を読んでくださっているあなたはきっと魚がお好きだと思いますが、もし「食べるのが好き」な方ならきっと、「魚の骨が喉に刺さる」というトラブルを一度や二度ならず経験したことがあるかと思います。

魚の骨は御存知の通り鋭く尖っているものが多く、タイやイサキなど骨が太くて硬い魚を食べているときに、歯茎や喉に突き刺さってしまうことがあります。よく噛んで食べれば防げるものではあるのですが、炊き込みご飯などを食べているときなど、混入した骨に気づかず飲み込んで刺してしまうことは少なくありません。

「魚の骨が刺さった」を甘く見たらダメ 大量出血で死亡した例も鯛の焼き魚(提供:PhoteAC)

そして「喉に魚の骨が刺さった」ときの対処法として、様々な方法が知られています。皆さまの中にも、喉に骨が刺さったときに「ご飯を噛まずに飲み込め」「味噌汁を飲め」などのアドバイスを貰ったことがある人は多いと思います。しかし、これらの対処法はより大きなトラブルを招く原因になってしまうことがあります。

ほんとうは怖い魚の骨

魚食が中心的だった日本では、この「魚の骨が刺さる」というトラブルは古くから一般的なもので、古くから「魚の骨を喉に刺して死んだ人」の伝承が残っています。例えばイサキのことを「カジヤゴロシ」、スズメダイのことを「オセンゴロシ」と呼ぶ地域がありますが、これはそれぞれ「骨を喉に刺して亡くなってしまった人」の名前を関した地方名です。

「魚の骨が刺さった」を甘く見たらダメ 大量出血で死亡した例もイサキは骨が硬いことで有名(提供:PhoteAC)

「魚の骨で死んだ」と聞くと「大げさな、ただの伝承でしょ?」という反応をされる方もいるかも知れませんが、実は医療の発達した現代でも、魚の骨で死に至る例はあります。

実際の死亡例も

1980年代のとある日、「魚の骨を喉にひっかけたような感じ」を訴えて病院を訪れた男性が、10日後に突然強い胸の痛みを訴え、更に翌日に大量に吐血し、そのまま死んでしまうという事故が起こりました。

調べてみると、飲み込まれた魚の骨が食道を貫通し、更に大動脈を傷つけた結果、出血多量で亡くなってしまったのだということがわかりました。食道は大動脈と隣接しており、食道の壁を貫通した異物が出血をもたらす事故は少なくないといいます。(『魚骨誤飲 により大動脈穿孔を来した食道ろう孔の1例 』「心臓」及川仁元,渡辺坦,伊勢忠男,本良いよ子,小田島秀夫,大藤高志)

このほか、飲み込んだ骨が消化管の中を傷付けてしまった例や、うまく排出されずに肛門を傷つけてしまった例なども報告されています。たかが魚の骨であっても、人の臓器と比べると遥かに硬く鋭いため、丸のまま飲み込んでしまうのは極めて危険だと言えます。(『魚の骨を飲んではいけない。医師が警鐘を鳴らす「魚骨性膿瘍」の恐怖』MAG2NEWS)

素人診断は禁物

このように危険な「魚の骨」、喉に刺してしまったら放っておかずに対処する必要があります。とはいえよく言われる「ご飯を噛まずに飲み込む」「水分を飲む」というのはあまり良くない方法だそう。うまく骨が引っかかればよいのですが、運が悪いとより深く刺さり、どうしようもなくなってしまうことがあるそうです。

もっとも安全な対処法はまずうがいをすること。小さい骨ならそれでとれることがあるそうです。しかしそれでもダメなら、自分でなんとかするのは難しいでしょう。箸や指などで取ろうとすると喉に傷をつけてしまうことがあるので、耳鼻科に行って摘出してもらうのが良いです。(『魚の骨が刺さったらごはんの丸飲みはNG?適切な処置方法と子どもに多いのどにまつわる事故』あだち耳鼻咽喉科HP)

「魚の骨が刺さった」を甘く見たらダメ 大量出血で死亡した例も魚の骨を甘く見てはいけない(提供:PhoteAC)

子供や嚥下力の落ちた高齢者だけの問題と思われがちな「魚の骨」ですが、魚好きで魚を食べ慣れた人ほど、骨を丸呑みしてしまうリスクも高まります。喉に刺さらなかったとしても、消化器内で悪さをする可能性があるので、どれだけ歯に自信があっても魚の骨はできるだけ口に入れる前に取り除くことをオススメします。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>