釣りエサの不思議:チヌフカセ釣りのまきエサに『押し麦』を多用するワケ

釣りエサの不思議:チヌフカセ釣りのまきエサに『押し麦』を多用するワケ

クロダイ(チヌ)狙いのフカセ釣りにおいて、まきエサ(コマセ)は必須アイテム。様々な材料を配合していますが、ほぼ確実に入っているのが、海には存在しないはずの「押し麦」。その謎を調べてみました。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・杉本隼一)

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Shunichi_Sugimoto

静岡在住の釣り好きです。季節ごとその時に釣れているターゲットを狙って一年中釣りを楽しんでいます。解説記事をメインに釣果レシピや釣行記も執筆中。

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まきエサに必須の押し麦

チヌフカセ釣りを楽しむ上で必要な「まきエサ・コマセ」ですが、よく見るとたくさんの押し麦が入っています。

釣りエサの不思議:チヌフカセ釣りのまきエサに『押し麦』を多用するワケチヌ用のまきエサ配合例(提供:WEBライター・杉本隼一)

市販のチヌ用配合エサには、ほぼ確実に押し麦が含まれており、中には麦にフォーカスを当てた製品もあるほどです。

釣りエサの不思議:チヌフカセ釣りのまきエサに『押し麦』を多用するワケムギを名称に使った配合材(提供:WEBライター・杉本隼一)

釣り人によって、まきエサの好みの配合や入れる材料に違いはありますが、ほとんどの場合、押し麦が含まれていることだけは共通しているのではないでしょうか。また、米ぬかや砂などをブレンドして自作の格安配合エサを作る場合も、押し麦を入れることが多いです。このように押し麦はチヌフカセのコマセに欠かせない材料となっています。

釣りエサの不思議:チヌフカセ釣りのまきエサに『押し麦』を多用するワケエサ用の押し麦(提供:WEBライター・杉本隼一)

押し麦でアタリが増加

筆者の師匠は市販の配合エサを使う場合でも、追加の押し麦を用意しており、気になった筆者が理由を聞いてみると「押し麦をたくさん入れた方がたくさん釣れるよ」と教えてくれました。

それ以降、筆者自身もまきエサにたくさん押し麦を混ぜてチヌを狙ってみたところ、明らかにアタリの数が増えて「押し麦を増やしただけでこんなにかわるのか」と驚いた経験があります。

釣りエサの不思議:チヌフカセ釣りのまきエサに『押し麦』を多用するワケ押し麦でアタリが増えた(提供:WEBライター・杉本隼一)

しかし、チヌのまきエサと押し麦の関係について、様々な疑問もあると思います。そもそもチヌは押し麦を食べているのか、ニオイや味がする訳でもない押し麦が、なぜアタリの数に影響しているのか、押し麦を入れるとどのような効果があるのか・・・など不思議だらけです。

まきエサに押し麦を入れる理由4選

ここからはまきエサに押し麦を入れる理由を解説していきます。

1. チヌの視覚にアピール

押し麦は水中で抵抗を受けやすく、ヒラヒラしながら落下していきます。チヌは落下してくるものに良く反応する習性があります。ヒラヒラと落ちてきた押し麦はチヌの興味を引くため、広範囲にチヌが散っている場合でも気づいてもらいやすく、チヌの捕食スイッチを入れる効果が期待できます。

釣りエサの不思議:チヌフカセ釣りのまきエサに『押し麦』を多用するワケチヌの視覚にアピール(提供:WEBライター・杉本隼一)

2. チヌが好んで食すことがある

チヌは何でも食べてしまう雑食性の魚で、釣りエサでは押し麦以外にもコーンやサナギなどが使用されています。釣ったチヌを捌くと腹から大量の押し麦が出てくることも多く、詳しい理由は不明ですが、まきエサに含まれている押し麦を好んで食べているようです。前述の通り、ヒラヒラして目立つことや、一口で食べやすいことが理由であると思われます。

3. 海底にチヌを寄せやすい

チヌ狙いのフカセ釣りでは、比重が重くてまとまりがあるまきエサで、海底に魚を寄せることが基本です。押し麦はある程度の自重があるため、潮流に流され過ぎずポイント周辺の海底に溜まります。チヌを押し麦へ釘付けにすることで、寄ったチヌが散りにくくなる効果があります。

4. さしエサへの警戒心を薄くする

ポイントに溜まった押し麦を食べるのに夢中になり、さしエサに対する警戒心が薄れ、カムフラージュ効果が期待できます。夢中で押し麦をついばんでいたら、うっかりさしエサを口にしてしまった……というようなイメージです。

警戒心が高い大型のチヌにも効果があり、さしエサを見切られにくくなるため大物狙いのときはたっぷり押し麦を入れてみてはいかがでしょうか。

<杉本隼一/TSURINEWS・WEBライター>