「釣り文化振興モデル港」とは? 地方創生や魚食離れ問題解決にも期待

「釣り文化振興モデル港」とは? 地方創生や魚食離れ問題解決にも期待

国土交通省港湾局が指定した「釣り文化振興モデル港」。まだ年数は浅いですが、釣り人だけでなく地域振興にも関係する取り組みなんです。その内容と今後の展望についてご紹介します。

(アイキャッチ画像提供:photoAC)

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「釣り文化振興モデル港」指定の背景

釣り文化振興モデル港を指定するに至った経緯は、大きく分けて2つあります。

地方創生

まず1つ目の理由が、国の政策として推進されている「地方創生」を推進するため。釣りは多かれ少なかれ移動が前提の趣味です。港を観光資源として整備すると、釣り客は増加するでしょう。

釣りが地域に与える経済効果の一例として挙げられるのが静岡県の熱海港。同港では防波堤を釣り施設として一般開放しており、平成28年には年間約36,000人の利用客が来訪。近隣の飲食店や旅館への経済波及効果が大きくなっています。

平成18年度と比較すると熱海市の収益は約3倍に増加、近隣の飲食店等の収益も約2割増加しているとのこと。(引用:『国土交通省「既存の港湾施設を活用した日本の釣り文化の振興」』港を中心とした経済活動を支援し、地方創生を推進していくことが取り組みの大きな目的と言えます。

釣り文化振興の促進

堤防からの転落事故、ゴミの不法投棄といった釣り場での問題は後を絶ちません。危険性の周知や釣りマナーの定着化は、未来の日本の釣り文化を守る上では命題と言えるかもしれません。

健全な釣り文化を守っていくためにも、釣り文化振興モデル港が活用される見込みです。

釣り文化振興モデル港の概要

釣り文化振興モデル港が初めて指定されたのは令和元年3月29日。国土交通省が観光資源として港湾部の釣り施設や既存の防波堤等の利活用を進めています。

指定条件

① 釣りによる地域創生・地域活性化を図るという地域の意向があること
② 釣り客の需要が一定程度見込まれること
③ 釣果が見込まれる防波堤等の港湾施設があること
④ 地元関係者からなる協議会等が組織されていること

(引用:『国土交通省「釣り文化振興促進モデル港の募集を開始」』

「釣果が見込まれる」という点においては、地方都市にある港の方が指定条件を満たしやすいのではないでしょうか。

一覧

令和元年に指定されたのは以下の13港です。

青森港(青森県)
秋田港(秋田県)
小名浜港(福島県)
相馬港(福島県)
新潟港(新潟県)
直江津港(新潟県)
熱海港(静岡県)
清水港(静岡県)
高知港(高知県)
下関港(山口県)
北九州港(福岡県)
芦屋港(福岡県)
別府港(大分県)

全体的に地方都市にある中~大規模の港が指定されていることが分かります。

具体的な取り組み

各港では地方整備局等による協議会等の効率的な運営に関する技術的な支援や(公財)日本釣振興会と連携し釣り教室、釣り場の清掃活動、放流事業等が予定されています。

いずれの取り組みも「地方創生」「釣り文化振興の促進」を目的としたものであり、各港の運営母体と外部団体がいかに連携できるかがキーポイントとなりそうです。

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