いよいよ今シーズンも待ちに待ったアユのトモ釣りシーズンが開幕する。初心者が初めの1尾を手にするためのポイントを解説しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 武田英敏)
まずは小規模河川にエントリーしよう
初心者だけに言えることではないが、まずはトモ釣りを楽しむことにおいて一番大事なことは、ケガに注意し安全第一で自分の体力で楽しめる河川を選ぶこと。
小規模河川から釣行計画を立てた方が良く、川幅が狭く透明度の高い河川ならアユの動きが目視できるポイントも多いしサイトフィッシングも楽しめて勉強にもなる。根掛かりしても立ち込んで外しやすく、オトリの回収も比較的容易に行える。
おすすめ河川は三重県の宮川上流や大内山川。両河川とも初心者が入門するのに最適の河川だ。宮川上流は放流オンリーの河川だが放流が多く、今シーズンは人工産4500kgを放流予定。大内山川は天然遡上もあり終盤まで楽しめる。
オトリを川にナジませる
実釣だが、まずは釣り始めは養殖オトリからスタートがほとんどのため、動きが悪いと思い引っ張ったり、キツイ瀬から始めたりするのではなく、オトリが自力で泳げるポイントや、オトリに負担がかからないポイントからスタートする。それと万が一根掛かりしても回収できるポイントを選ぶのも大事だ。
養殖オトリは川にナジむ(慣れる)まで数分かかるため、むやみやたらに引っ張らずに我慢してオトリ任せにすることが大事だ。この作業ができるかできないかが、一日の釣りを左右する。
良い循環をつくり出そう
トモ釣りは循環の釣り。時合いやオトリの動きがいい間はアユがアユを呼んできてくれるが、反対にパターンが崩れてしまうと他の釣りにはない負のスパイラルに陥る。それはオトリという生きたモノでの釣りのため、難しさがあるが面白いところだ。
そのため元気なオトリがないと釣りが成立しない。一般的にオトリ購入は2匹が普通で、この2匹を大切に扱って釣りを展開していくのも勉強のうちだが、私的には数匹オトリを購入してどんどんオトリを交換することもいいと思う。大会でもあるまいし、2匹スタートといったルールも存在しない。
釣れたアユのストックに余裕ができてくると、狙えなかった深場のポイント、流れが強いポイント、根掛かりしても回収しにくいポイントを狙うのも面白い。同じポイントで5分を目安に、掛からなければ自分の立ち位置を変えたり、オトリを泳がせるラインを変える。オトリを回収して逆バリの状態、ハリを点検する。それで掛からなければ、自分に釣れるアユがいないと判断してポイントを変わっていく。
目標を持った釣りを心掛ける
慣れてくれば背バリ、オモリを使用すれば、ノーマル仕掛けとは違うトモ釣りの世界が見えてくる。私自身にも言えることだが、釣りは釣りたいが先走ったり釣果が欲しいが先走れば、ステップアップはしないと釣りの大先輩から言われたことがある。
その日その日に自分なりの目標を持って、「今日はオトリを大切に弱らせない釣りをする」、「今日は瀬のポイントを中心にも釣る」、「今日はポイントをいろいろ移動する」など意識することも、自分なりの引き出しが増えると思う。
何の釣りでも言えることだが、釣りは体力、気力、集中力などかなり消耗する。釣り始めのパワーのままで最後まで釣り続けることはまずできない。適度な休憩を取り、再開することも釣果につながる。
トラブルや冷水病に注意
それと他の釣り人とのトラブルもなきにしもあらず。近年川は台風などの影響で砂地が多くなり、小河川は特に狭いポイントに釣り人が集中することが多い。先行者がいれば必ず声をかけて入川する。他の釣りとの間隔は、最低上下サオ2本以上空けよう。
それとどこの漁協も心配し力を入れている、アユ疾病まん延防止(冷水病対策)についても注意が必要だ。釣ったアユ、オトリアユは必ず持ち帰る。他の河川でのオトリアユとして購入したアユ、釣ったアユはオトリアユとして持ち込まない。使用後の釣具は、十分に乾燥消毒する。
敷居の高い釣りと思われがちだが、今シーズンはトモ釣りにチャレンジしてみては。
<週刊つりニュース中部版 武田英敏/TSURINEWS編>