岐阜県郡上市は、アユやアマゴで有名な地域だが、コイも昔から釣りのターゲットとされていた。アユほどの人気はないが、私が学生のころは「釣り」と言えば春はアマゴ釣り、夏と秋はコイ釣り。コイは地元の子供にとっては入門魚のような存在だった。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 APC・松森渉)
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川の王者『コイ』
コイは日本全国に生息するなじみ深い淡水魚だ。田舎の川であれ、都会のど真ん中であれ、たくましく生息している。環境への適応能力が高く、水質の良くないドブ川でも生きていられる。寿命も他の魚より長く、10年以上生きるコイもいる。
そのためか大型に育ち、地域によってはメータークラスもおり、「川の王者」とも呼ばれている。そんな大物を釣り人が見逃すわけがなく、古くからコイ釣りは親しまれている。
また、コイは食べられる魚との認識も高く、釣ったコイは「洗い」「コイこく」「コイの唐揚げ甘酢あんかけ」などにして食用していた。
長良川のコイ釣り
岐阜県郡上市の長良川では、私が学生のころは「釣り」と言えば春はアマゴ釣り、夏と秋はコイ釣り。コイは地元の子供にとっては入門魚のような存在だった。しかし、近年は長良川でコイ釣りをする人はあまり見かけなくなった。
私もアユにのめり込んでからはコイ釣りから遠ざかっていたが、昨年から長良川の郡上管内で大ゴイが釣れるとの情報があり、昨年からコイ釣りを再開している。
郡上地区のコイ釣りシーズン
10月に入って落ちアユシーズンになると、郡上の釣り人は元気がなくなる。アユが終わって気が抜ける。しかし、私は待ちに待ったコイ釣りが始まるとワクワクしていた。ましてや秋はコイが冬に向けて荒食いするベストシーズンだ。
郡上大和「杉ケ瀬の大淵」でコイ釣り
10月中ごろ、まずは岐阜県郡上大和の通称杉ケ瀬の大淵に釣行した。
エサは練りエサ、これをダンゴ状にして吸い込み仕掛けに付ける。食わせエサは自家製の角イモだ。
50㎝白ゴイをキャッチ
最初は外道のアブラハヤやウグイばかり。外道を回避するためにハリを大きくして投入すると、待つこと30分、穂先に付けていた鈴が「チリン」と小刻みに鳴る。
そして次の瞬間、穂先がグーン、グウーンとひん曲がる。すかさずアワせると確かな重量感。コイだ。やり取りを十分に楽しんでから取り込んだのは50cmほどの白いコイで、丸々と太っていた。
郡上八幡・中元橋
そして10月下旬。今度は八幡町の中元橋に来た。
ここは昨年80cmほどの大ゴイが釣られたポイントで、私も学生のころに70cmほどのコイを釣ったなじみ深いポイント。
まずは橋から川見すると小~大のコイが確認できた。色の付いたコイもいる。寄せエサを打ち込み、午前10時に本エサを打ち込む。天気は快晴、風もなく気持ちのいいコイ釣り日和だ。
60cmマゴイの強引堪能
エサを打ち込んですぐに穂先はプルプルと揺れている。早速コイがエサに反応してくれているようだ。そして30分ほどで勢いよく穂先が曲がった。きたー。サオをあおって大アワセ。乗った!
ここからはコイとの格闘だ。穂先はひん曲がり、イト鳴りが止まらない。大きそうだ。ようやく姿を見せたのは体高があるコイだ。何度か息を吸わせて弱ったところでタモ入れに成功。タモに横たわった魚体はきれいなマゴイ(黒いコイ)で、長さは60cmほどだが重量は結構ある。秋なのに汗でシャツがびしょぬれだ。
色ゴイ追加
1時間後にこれより少し小さい色ゴイを追加して昼食を取る。静かな河原で川を見ながらカップラーメンを食べる。気持ちが落ち着く時間だ。
11月になれば紅葉も見ごろになりそう。午後からは40cm級のマゴイと色ゴイを追加して納竿とした。
今後の展望
長良川にはまだまだ手つかずのポイントがたくさんあり、そこには大ゴイが潜んでいる。冬になって気温が下がると食いが悪くなるので、それまでがチャンスだ。春はアマゴ、夏はアユ、秋はコイと、長良川をとことん楽しみたいと思う。
<週刊つりニュース中部版 APC・松森渉/TSURINEWS編>