伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「秋のチョウチン釣り」。野釣り場を主体にこの釣りの魅力や攻略法などを伊藤と共に考えてみたい。テーマ初回はこの釣りで使用頻度が高いと思われるグルバラについて。なぜこのエサが向いているのか。利点などと合わせて考察してみよう。実釣は静岡県伊豆市にある早霧湖。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース 伊藤さとし)
チョウチン釣りのエサ使いは?
今月のテーマは秋のチョウチン釣りです。釣り場は野釣り場。エサ使いは限定しませんが、この点について何かお話いただけますか?
「そうだなぁ。近年は温暖化の影響か初冬になっても両ダンゴを追う釣り場があるけど、たくさん釣ろうと思ったら釣況(水温・天候・混雑度・魚の活性)にあったエサ使いが不可欠だよね。それはチョウチンに限らずだけど」
つまり両ダンゴだけでなくセットもあり得るわけですよね?
「そういうこと。ただし10月限定ならば、スタートは両ダンゴでいけるだろうね。ただし月の終盤は微妙かなぁ」
つまりセットも意識しろと?
「そうだね。日に日に寒くなる(水温低下)のは間違いないから、エサバッグにグルテンは必ず用意しておきたいよね」
つまりグルテンセットということですか?
「野釣り場に限るなら、食わせはグルテンでいい。べつにウドンセットでも釣れるけど、そうなると寒期はずっとウドンしか使わないってことになっちゃうでしょう?それでもいいって言うならいいけど、やはりグルテンセット特有の面白みもあるからね」
グルバラをベースエサとして使う
でもセットと両ダンゴを同時に準備するとなると、バッグの中身がかさばりませんか?
「グルテンならそうでもないんじゃない。両刀使いができる銘柄もけっこうあるしね」
具体的には?
「グルバラだね。これ一つ持っていれば、セットでも両ダンゴでもベースエサとして使える。そもそもグルテンセットの場合は、ウドンのようにバラケを抜くってことはあまりしないから、両ダンゴに近いタッチで通用することが多いからね」
グルバラの特徴は?
「まとまり感と重さだね。グルテン成分が麸同士をつなぎ合わせる役目をするから、練らずともエサがまとまってくれるんだよね」
重いエサなんですか?
「麸系では重めってことで、ダンゴの底釣り夏みたいな重さじゃないよ。でも、練るとそれなりの重さが付いてくる。だから使いやすいんだよね」
練る回数によって比重をコントロールする
なぜ使いやすいと?
「では聞くけど、なぜ練るの?」
エサを持たせたいからですよね?
「そうだね。ではなぜ持たせたいの?」
それは持たなくなったからですよね。
「なぜ持たないの?」
それまでよりも魚がたくさん寄って、エサが入りにくくなったからじゃないですか?
「その時、軽いエサを練るのと重いエサとでは、どちらが練る回数が少なくて済むかな」
それは後者ではないですか、理屈から言って。
「練る回数が少なくて済むと言うことは、重いエサのほうが練れる余力を残している、とならないかな」
なるほど。そういう一面もたしかにありますね。
「つまりグルバラを使えば、練る練らないによる比重のコントロールがしやすくなるから、狙うタナの深さの違いにも対応しやすくなる。ここがグルバラ最大の特徴かな」
例の格言、秋はタナを釣れですね。
「そういうこと。昨日は中尺ダナで釣れたのに今日は長竿。いや一日のあいだであっても気温変動とかでタナが大きく変わるのが秋の特徴。格言はつまり、そのことを指しているわけだよね」
次回も「秋のチョウチン釣り」です。
<週刊へらニュース 伊藤さとし/TSURINEWS編>
早霧湖