9月6日(金)、東京湾金沢八景(漁港内)の鴨下丸から出船し、浅場のタチウオとの駆け引き、ハリ掛かり後の強い引き込みを存分に楽しんだ。釣果の秘訣はアタリのリーディングスピードの試行錯誤。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 APC・大村隆)
鴨下丸でエサタチウオ釣り
集まった16人が右舷7人、左舷9人に分かれて乗り込み、私は右舷胴の間に入る。7時20分、店前で手を振る大船長と女将に見送られ、高山将彦船長の操船で出船。
天候は朝から快晴。かなり日差しが強く、暑くなりそうだ。快調に飛ばして航程30分で富津沖の釣り場に到着。すぐに反応を捉えると軽く制動がかかり、「はい、始めてみましょう。水深は15、16m、底上12mまで探ってください。水深が浅いから、小刻みに誘い、アタリがでても手を止めずに同じペースで誘い続けて」とアナウンスでスタート。
エサの付け方と当日のタックル
配られたコノシロの切り身の端をハサミで直角に切り、皮側の切り口から3mmほど内へ入った中央にハリ先を刺し反転させ、皮か身側へと刺し戻し、ハリ軸上部へとこき上げ、再び反転させて皮から身側へと刺し抜く。
エサの中心線に沿ってまっすぐになるよう、ていねいに装餌することが肝心。バランスが崩れると、水中でエサがクルクルと回ってしまい、ハリスがヨレて具合が悪い。
90㎝級本命を手中
まず、エサの付いたハリを流し入れ、竿の弾力を生かし前方へ振り込む。水深が浅いのでアッという間に着底。イトフケをとり、ハリスの長さぶん2m巻き上げ、竿先を海面からキュッと30cmほどシャクり上げる。リールを4分の1巻き取りながら竿先を海面へ戻し、再びシャクる。これを繰り返し、テンポよく海面近くまで探ってくる。
1投目からトモに座る常連の鈴木勇二さん(相模原市)が手慣れたフォームで巻き上げにはいり、少しかわいいサイズながら美しい本命を抜き上げた。「後に続け」とばかり、底からシャクり上げてくると、ジワッとモタれるようなアタリがでた。
これを無視し、同じ速度で誘い上げると、グイと食い込みのシグナル。ここで竿を大きくあおると、一瞬根掛かりのような衝撃。直後から強烈な引き込みが始まり、スリル満点。サキイトが見えたところで竿を立てながら引き寄せ、魚に近いハリスをつかんでドサッと90cm級のタチウオを抜き上げ。
アタリを察知し、食い込みにいたるまでのやりとり、ハリ掛かりの後巻き上げまで続く、強烈な引き込み。たまらない釣趣だ。
アタリあるもハリ掛かりせず
朝の時合いを迎え、船中のあちこちで銀刀が次々に舞い上がる。誘い上げの幅、速さが合致し、ツ抜けを達成するまで順調そのものだったが、強い日差しが降り注ぐころ、潮の流れも停滞してくると、魚は気難しくなり、くせ者ぶりを発揮してきた。
投入すると必ずアタリはくるが、同じテンポで誘い続けても食い込まず、巻き上げて見るとエサがかじられ、こじんまりと丸まって上がってくる。新しいエサに付け替え、「今度こそは」と気合を入れるが、またも空振り。右隣の藤沢士郎さん(横浜市)も盛んに首を傾げている。
そんな状況下でも、着実に釣果を重ねている人もいる。ミヨシ2番に座る兼子丈人さん(川崎市)。誘い方を見ると、竿先を海面から水平までキュッと長めに強くシャクり上げ、上で一拍ポーズをいれ、リールを半回転巻き取りながら竿先を海面に戻して、また長く強くシャクる。
折しも取り込んだレギュラーサイズをカメラへ向けてくれた兼子さんは、「誘いかたをアレやコレやと工夫しています。今はこの誘いがマッチしているようです」とコメント。研究熱心さに頭が下がる思いだ。
魅力満点のタチウオにほれぼれ
船長はタチウオの食いっぷりを見ながら、小移動し、さらに食い気のある群れを探ってくれるので、試行錯誤を繰り返しながらもなんとか20尾超え。
トモ2番で竿を振る紅一点、内田美和子さん(台東区)も順調に釣果を伸ばしている。「釣って面白く、食べても美味しいから大好きですよ。」と、笑顔で話す。
トモの関本甫次さんはタチウオ初挑戦だが、平均サイズを立て続けに取り込み、「アジやカワハギはやってきたが、タチウオは初めて。こんなに面白い釣りならもっと早く始めればよかったよ。これからも度々やりたい。」と心底惚れ込んだ様子。