7月2日は半夏生。関西では半夏生にタコを食べる人が多い。折しも、兵庫・明石漁場ではマダコ釣りが最盛期を迎えている。今回は釣ってきたマダコで絶品タコ飯を作ってみよう。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
干しダコで作るタコ飯が絶対
いわゆる「タコ飯」は、タコの身を入れた炊き込みご飯なのだが、作り方は大きく2つある。1つが生ダコを使用した物で、もう一つは干しダコを使ったタコ飯だ。明石ダコの本場、明石界隈はもとより、両方を食べたことがある人の大半は「干しダコで作ったタコ飯が美味い」という。
その主な理由としては、タコを干す事でうま味成分が凝縮され、それを炊き込む事で非常にいいダシが出る。考えてみれば、煮干しや昆布もそうだし、なんてことのない魚でも干すと絶品の味にかわるものも少なくない。そりゃ、干しダコを使ったタコ飯が美味いに決まっているのだ。
まずは干しダコ作り
さて、そんな絶品のタコ飯を作るにはまず、干しダコを作る必要がある。タコを干すには冷凍ではなく釣ってきたタコが必要だ。タコを釣ってきたら、まずは内臓を掃除しよう。きれいにしたら以前紹介した簡易洗濯機でタコ、塩と水、氷を入れて30分間回す。ある程度ヌメリが取れれば、最後に水洗いで残ったヌメリを完全に取ってしまう。
タコを干すには竹ひごで、タコをしっかりと広げてやると、市場などで売っているきれいな干しダコができるが、自宅なのでできばえよりも実用優先。脚と胴体部分を切り分けて、脚は1本ずつに、胴体は開いて1枚に広げた。これを軽く塩水で洗ってから、ホームセンターなどで売っている干し網に並べる。
脚を1本ずつに分解しているので、3段の干し網にきれいに並べると、500g前後のマダコが5尾分干せた。干し網を使うのは街中だとハエなどの餌食になるからここは絶対だ。
まるで「腐ってる」ニオイ?
さて、干してから2、3日経つと、けっこうなニオイがしてきて「もしかして痛んでるんじゃないか」と思うが、そこからもう1、2日すると非常に美味しそうな干しダコのニオイにかわるから不思議。何でも、タコは真夏の炎天下に干してもまったく腐らないのだという。驚きだ。
さて、水分が抜けるとタコの脚は硬くて薄っぺらく、そして小さくなる。なんか、木の枝みたいになっちゃったけど、ニオイを嗅ぐと実にいい。
これをジップロックなどに入れて冷蔵庫に保存しておけば数ヶ月は持つらしい。が、まずはタコ飯が食べたい!で、ここからは明石の遊漁船で教えて貰ったタコ飯の作り方。
干しダコでのタコ飯作りに挑戦
干したタコをキッチンばさみで5、6mmの幅に切っていく。切ったタコはボウルに入れていく。5合の米を炊くのに、今回は500gくらいのタコの脚10本を使った。案外少ない感じがするが、それでも干したタコなら十分うま味が出る。
タコを入れたボウルにしょうゆ、みりん、酒を同等くらいの割合で入れ、タコの身がヒタヒタになるくらいにして、冷蔵庫で身をふやかす。時間にして本来は一晩くらいとのことだったが、今回は時間がないので3時間程度で終了。
シンプルにニンジンと薄揚げのみ
今回はシンプルに少しだけ色合いが欲しかったので、タコの他はみじん切りにしたニンジンと薄揚げを入れてみた。
炊飯器に洗った5合の米と定分量の水を入れて少し置き、浸けダレに浸したタコをダレごと炊飯器へ。その上からニンジン、薄揚げとダシ昆布をカットして入れ込んで炊飯スタート。この時点で、分量としては5.5合くらいのボリュームになった。タコ、ニンジンなどを入れる分、分量が増えるので、炊飯器は少し余裕があった方がいいね!
炊き始めて少しすると、もの凄くいい香りが漂ってくる。もう食欲をそそるのなんの…。
味は薄めだがうま味がスゴい!
炊きあがって少し蒸らしてから炊飯器の底から混ぜると、とてもいいいタコの香りが広がって、美味いに間違いない…と言う感じ。
色合い的には「ちょっと薄味かな」と勝手に思いながら、お茶碗に入れて食べてみると、確かに少し薄味。
だが、ものすごくシッカリとしたうま味が出ていて、「これは余計な味を付けたらダメな食べ物」と直感。そのまま食べると、薄味である事を忘れるくらいうま味は濃厚なのだ。
で、友人にも食べさせてあげたいと考えたのが、手で握らないおむすび。お茶碗にラップを敷いて、その上にタコ飯を乗せ、ラップでくるんで、口をねじれば一応、おむすびのできあがりだ。
お裾分けしたタコ飯は皆さん「こんな美味いタコ飯を食べた事がない」と絶賛。釣り師としての株も大いに上がりましたとさ…。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>