秋の磯は釣り物多彩。
グレなど上物(うわもの)はもちろん、磯の王者といわれるイシダイなど底物(そこもの)も食いが活発な最高のシーズンを迎える。そこで今回はこの磯の底物釣りをピックアップ。
解説はこの釣りひと筋の週刊つりニュース関西版APC・木村俊一さん。
初心者向けの基本を解説してもらったので、ぜひつり作戦を参考にしてこの好機に磯のイシダイ&イシガキダイ釣りに入門しよう!
幻の魚と言われたイシダイも今は昔のこと
秋磯シーズンが本格化を迎えた。
磯釣りには大きく分けて、ウキ釣りなどで魚を狙う上物釣りと、海底に仕掛けを投げ入れて魚を狙う底物釣りがある。
今回取り上げる石物は底物釣りの中でも最も人気が高い、イシダイやイシガキダイなどが主たる対象魚。
イシダイは姿の美しさや引き、食味など、どれをとっても「磯の王者」と呼ぶにふさわしい魚だ。
昔はなかなか釣れないことから、磯釣り師の間では「幻の魚」と呼ばれ、憧れの魚だった。
だいたい釣り人というのは釣れない魚ほど価値を見出す傾向にある。
磯のイシダイは釣れない魚の代表とされてきた。
だから潜在的な人気の高さは相当なものだ。
近年はイシダイ用タックルの飛躍的な発展に加えて、釣り新聞、釣り雑誌やインターネットなどの情報があふれている。
だから、磯のイシダイ釣りはグッと身近になってきたような気がする。
このように、釣り情報の過密している現在では、イシダイは年中狙える魚というのが分かってきたようだ。
昔は5月、八十八夜が終わってから年内いっぱいが、イシダイ釣りのシーズンだと言われてきた。
ところが現在では冬場は南の離島へ出かけてみたり、近場の一級ポイントで狙ってみたりする磯釣り師が多くなってきたのだ。
秋磯は好シーズン
今回は秋磯が対象だ。
秋磯は春の乗っ込みシーズンと双璧をなす好シーズン。
これから磯のイシダイ釣りを始めてみようと考えておられる人には、願ってもないタイミングではないかと思う。
磯へ出ても快適な気候だ。
これに加えてイシダイのアタリも多いとくれば、このシーズンを見逃す手はない。
人間の世界でも秋は運動会やお祭りなどの行事の多い季節だ。
魚の世界でも最も活発に動く季節になる。
秋磯シーズンはイシダイが年間で最も力強い季節。
言いかえれば年間で最もイシダイの引きが強いシーズン。
アタリも大きく、引きも強いとくればこれに勝ることはない。
磯のイシダイ釣りに出かけてみようではありませんか。
関西圏で狙うならここ
関西は日本列島のちょうど中心に位置している。
だから東西南北どこへでも出かけられるいいポジションだ。
紀伊半島や四国東岸、山陰などは関西からなら数時間で日帰り釣行が可能だ。
さらに足をのばせば四国西南部や離島の南西諸島や関東の伊豆諸島など数え上げればきりがない。
遠くに行かなくても、近場の釣り場もたくさんある。
これから磯のイシダイ釣りを始めてみようという方には、阪神間から2時間足らずで釣行できる場所があるのだ。
関西圏からだと体も疲れずに経費も安上がり、その上に魚の釣れる確率も高いのが、和歌山県の中紀地方だ。
一番近いところでは有田川河口西側に位置する初島・沖の島や南側の矢櫃などだ。
潮通しがよく、南紀の荒磯にも負けない雰囲気の由良町・大引や、どんな天候にも強い衣奈・黒島など目移りするほど釣り場に恵まれている。
これからイシダイ釣りを始める人たちには申し分のない釣り場が目白押しだ。
また、中紀地方のイシダイは食味にも定評がある。
私たちの釣り仲間でも「おいしいイシダイ釣りに行こうか」という人もいるぐらいだ。
さらに、離島へ遠征して天候や釣果に恵まれなかったとき、「〇〇へ行ったほうがよかったな」などと近場の釣りを思い出すこともある。
このように、恵まれた釣り場環境を大いに活用して、磯のイシダイ釣りを始めてみようではありませんか?