青森・八戸港ではサバの水揚げが本格化しています。同港でこの時期に水揚げされるサバは「八戸前沖さば」というブランドに認定されています。
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八戸港でサバの水揚げが本格化
青森県八戸市にある日本屈指の漁港・八戸港で、サバの水揚げが本格化しています。
20日には今季初のまとまった数量となる823tの水揚げがありました。八戸沖から三沢沖にかけて操業した船団の運搬船など10隻での漁獲で、大半がマサバだそうです。
そして、その翌21日朝には巻き網船団が今期最多のサバ914tを水揚げしました。ここ数日、まとまった量の水揚げが続いており、港の周辺は活気づいています。(『青森・八戸港でサバ水揚げ、ハマに活気/今季初のまとまった量』デーリー東北 2020.10.21)
サイズや質にはまだばらつきが
21日は、八戸沖で操業した青森県外の大・中型巻き網船団の運搬船など計13隻が、1隻当たり30~160tを積んで入港したといいます。水揚げされたマサバはおおむね300~400gほどのサイズのものですが、加工用に向く500g以上の良型も交じりました。
浜値は10kg当たりの高値が805円、安値が629円となりましたが、これは本格的な漁期のスタートとしては、例年より抑え気味の価格だそうです。これはサイズがやや小ぶりだったことや、新型コロナウイルスによる需要減も影響しているとみられています。
八戸港でのサバの水揚げが本格化するのは年々遅れる傾向が出ており、特に初期はサバの身の質も魚体によってばらつきがあるといいます。今後、海水温の低下に伴い脂の乗りが向上していくそうです。
ブランドサバ「八戸前沖さば」とは?
八戸港でのサバの水揚げは例年7月頃からスタートしますが、本格化するのは秋の深まる11月以降。そしてこの時期に八戸で水揚げされるサバは、「八戸前沖さば」というブランドに認定されています。
認定期間が定められている
この「前沖さば」は名前の通り、八戸港に近い三陸沖以北の日本近海で漁獲し八戸港に水揚げされたサバです。そして定められるのは漁場だけではなく、水揚げ状況、脂肪分、重量等を参考に、協議会が毎年「認定期間」を定めており、その期間内に獲れたものでないとブランド名を名乗ることが許されないそう。昨年令和元年の認定期間は、11月22日~12月10日とやや遅めでした。
脂の乗りが良い
前沖さばが美味しいのは、ともかく脂の乗りが良いから。トップシーズンに八戸前沖で漁獲される600g以上のサバには、脂肪分30%に達するものがあるそうです。400g程度の小さい魚体でも脂肪分15%以上になるといい、他の産地とは一線を画します。サバは海水温が18度になると脂肪分が高くなると言われており、サバ漁場の北限とも言われる八戸前沖のサバが美味しい理由もここにあります。(『八戸前沖さばの豆知識』8saba.com)
今年も「認定期間」の訪れを多くの人が待っているそうです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>