日本は四方を海に囲まれた島国であり、季節や場所によってスーパーに並ぶ魚介類も様々。今回は、10月に旬を迎える西日本のサカナを紹介します。
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関西地方の旬『アマダイ』
アマダイが最も美味しい旬の時期については諸説ありますが、ここでは秋から冬にかけてが最盛期と言わせて頂きます。市場にも多く出回るのは8月~12月で、高級魚であるアマダイを比較的手軽に食べられるのも嬉しいポイントでしょう。
また、流通するアマダイはアカアマダイとシロアマダイの2種類が多いですが、より大型になる「シロアマダイ」は脂がのるので高値が付く傾向にあります。
京都の高級料亭の御品書きにも含まれることがある、超が付く高級魚です。少し高価ではありますが、ちょっと背伸びをしてでも食べて欲しい逸品です。
四国地方の旬『ウナギ』
四国を代表する川と言えば四万十川ですが、秋に獲れる天然のウナギは特に脂が乗っています。川魚特有のさわやかな香りがあり、アッサリしていて脂くどさを感じません。また、養殖物と比べても身に適度な弾力があり、小骨もやわらかくて気になりません。
8月頃からしだいに太り始め、冬眠を迎える前の10月から12月ころに脂が乗るピークを迎え、だんだんと身がやわらかく、よりジューシーになります。たっぷりと脂が乗ったこの時期が、まさに天然鰻の旬の時期と言えるでしょう。
中国地方の旬『ハタハタ』
秋田や北陸のイメージが強いハタハタですが、実は山陰地方でも漁獲量は多く、秋から春にかけて底引き船で水揚げされます。
魚醤の原材料としても使用されているため、食材としての認知度はあまり高くないかもしれませんが、身離れも良く、ホクホクとした食感と脂の乗りが良いのが特徴です。
生食は難しいですが、一夜干し、フライ、唐揚げなど、加熱することで旨味が格段にアップするのも特徴の一つ。焼いた時にあふれ出る脂もとってもジューシーなため、山陰地方では特に一夜干しがオススメのようです。
九州地方の旬『カマス』
カマスの旬は、夏と冬の2回あると言われており、漁獲される時期も長いことから旬の長いサカナです。
秋に獲れるカマスは、秋刀魚より早く秋の訪れを告げるとも言われ、『秋茄子は嫁に食わすな』と同様に、『秋カマスは嫁に食わすな』という諺もあるほど、秋になると脂が乗って白身の上品な味になります。水分が多いカマスは、干物にすることでよりおいしさが引き立ちます。
漁獲が多いと居酒屋などでも取り扱いが増えるので、もしメニューに載っている場合は絶対に見逃せない一品と言えるでしょう。
沖縄地方の旬『アバサー』
体中にトゲを持つハリセンボンは、沖縄では「アバサー」と呼ばれ、食材としても人気です。
スーパーや鮮魚市場では皮が剥がれた状態で売られており、お汁や鍋、唐揚げなど調理法を選ばないのも特徴の一つです。沖縄料理ではハリセンボンの内臓を使った「アバサー汁」という汁物としてよく食べられています。
他にも鍋に入れて「ちり鍋」にしたりと食用とはほど遠いイメージの魚ですが、美味な魚であり、一部の地域では好んで食べられているようです。沖縄を訪れた際は観光名物として注文してみるといいかもしれません。
<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>