静岡県興津川は静岡と山梨県境の田代峠に源を発し、静岡市清水区内を南流し駿河湾へと流入する流程22kmの二級河川。主な支流として、黒川、布沢川、中河内川、小河内川がある。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース特別版 APC・藤崎信也)
興津川の概況
清流として知られ、流域には茶畑が広がる茶の産地。解禁日には、遠く東北や関西からも釣り人が訪れる名川。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で6月1日に解禁。
中規模で穏やかな川相で、川沿いに道路が通っており入川が容易。バーベキューの盛んな土地柄なので、駐車スペースは多い。ただ、川沿いにコンビニがないので、昼食や飲み物などは事前に購入しておくこと。
釣り場紹介
アユ釣りが楽しめるエリアは、上流の大島橋から下流は東海道新幹線鉄橋までの15km強の区間。やや規模は小さいが、支流の中河内川でも釣り可能。
初期は上流域から中流域で放流魚を狙い、盛期から終期には中流域から下流の遡上アユを狙うのがここの釣り方。天候にもよるが、魚は上流へと上がる傾向。解禁前に大水が何度か出た年は上流域が、渇水の年は放流地点が有利。
大島橋、八幡温泉、片瀬の最上流部は、大石が点在する渓流相。水深20~50cmのチャラ瀬や浅トロの流れで初期の放流魚狙いの釣り場。盛夏にはアブに注意。瀬エン堤から豆腐石底の瀬が続き、深沢島橋の下流からはトロ場、その下は水深30~50cmの長い瀬になる。その後、黒川が合流しトロ場が続く。
山彦橋を挟んで上流には西里キャンプ場、下流には土村キャンプ場がある。駐車場所には困らないが、夏休み期間になると平日でも川遊びが多くなる、そんな時は早々に見切りを付けて移動が賢明。
西里上流で支流の黒川が流入し水量が増えるので、段々瀬や荒めの瀬が出てくる。西里吊り橋下流の段々瀬、西里エン堤下の瀬、山彦橋下流の瀬、土村エン堤下のトロから段々瀬にかけては特にお勧め。
適度な水深があり、流れが変化に富むのが大網の吊り橋周辺。橋の上流は短い瀬からトロになり、駐車場の前で水深40cmほどのチャラ瀬、吊り橋周辺から大石の点在する瀬になる。石が大きく、ポイントが分かりやすいためビギナーでも数釣りが楽しめる場所。
同川のきっての「トモ釣り銀座」と言える場所は漁協事務所のある中流域。茂野島橋上流は長い浅トロ、下流は荒瀬、瀬、大トロ、瀬と流れが続く。
和田島堰堤下からはチャラ瀬、瀬、トロと続き、瀬とトロが繰り返される流れ。
高瀬は中河内川が合流する場所で、上流は瀬とチャラ瀬の流れ、下流は深瀬から出合淵へと落ち込む。ここまで来ると、水深1m前後のポイントが増える。
清地は、水源地前のトロ、チャラ瀬、吊り橋周辺は上下に淵のある長い瀬、それより下流は水深のある瀬と淵が連続する。
漁協周辺は、宮島橋下流の早瀬、一ノ瀬堰堤下のチャラ瀬、その下の荒瀬と続く。
このエリアは、梅雨が明けから終盤まで数釣りが楽しめる。また、ゴトロから小河内川合流点にかけては、ブッツケの淵や岩盤底のトロ場があり、泳がせ派には最高だ。
小河内川合流点より下流は、但沼大橋、丸淵、梨の木エン堤、承元寺エン堤と続く。いずれも、瀬とトロ、チャラ瀬が連続する流れで岩盤底の流れもある。遡上アユが多く、非常に魚影が濃い場所だが、初期には小型に悩まされることもあるのでお勧めしない。中期から終期の釣り場だ。
竿は、本流筋では9m、最上流域と支流は7~8mがお勧め。また、吊り橋や電線が多いので、長竿は危険。長くても9mで十分。大場所は少なく、小さなポイントが多い川なので、オールラウンドの先調子。
鼻カン周りはノーマル仕掛けを基本に、強めの瀬を釣る場合は脱着式の背バリやオモリを使う。水中イトはどの流れでも対応できる複合ラインがいい。
<週刊つりニュース特別版 APC・藤崎信也/TSURINEWS編>