極上の大自然。渓流の世界を攻略【タックルとポイント選びのヒント】

いよいよ春がきた。雪が溶け、梅がほころび桃が咲き、桜が散って新緑を迎えるころ、流れの中には夢がいっぱいにあふれ立つ。アマゴたちの狂おしいばかりの抵抗を体全体に受けるまであと少し。「今年こそっ!」。メモリアルフィッシュを胸に抱く日を夢見る読者諸兄の皆さん、しばしの間お付き合い願いたい。

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TSURINEWS編集部 TSURINEWS編集部

淡水の釣り 渓流釣り

点の釣りと線の釣り

小さめの本流域でサオを振る。

渓流釣りほど、自然を密接に感じる釣りはないと思う。

奥山に分け入り、ほとばしる水しぶきの中から躍り出るイワナたちの清冽(せいれつ)。

岩をかみ、底をえぐる流れの中を閃光のごとく突き抜けるアマゴたちの躍動。

悠久の時をとうとうと刻むかのような穏やかな流れを割り、どう猛かつ暴力的な野性を見せつける白銀のサツキマス……。

渓流釣りはどれもこれもみな楽しいし、渓魚たちはみな可憐(かれん)で美しい。

そんな渓流釣りの範囲を乱暴にサオの長さで分断し、ざっくり7~8mより長いサオを振るカテゴリーを指して本流釣りと呼んでいるようだ。

イワナの潜む小落ち込みにミミズを落とし込むような点の釣りに対し、大岩や沈み石、底の起伏など複雑な流れの変化を読んで、アマゴの口元へエサを送り届ける線の釣りが本流釣りだ。

前者は頭上に障害物が多く、狙いがピンポイントであることもあって、下流からそっと忍び寄り確実にエサを落とす必要からチョウチン仕掛けという釣り方が発展した。

一方後者は、仕掛けを流すコントロールのしやすさから自分のスタンスよりも下流を攻める必要があること、また少しでも広範囲にポイントを流して探ることが要求される釣り方であり、攻略のための長ザオが考案されたのである。

本流釣りのタックル

参考タックル図。

極端な対比であるがイメージは伝わっただろうか。

渓の攻め方の基本が釣り上がりなのは、魚からの発覚を防ぐため、対する本流では自分より下流にターゲットはおり、こちらが丸見えとなる位置にスタンスを取るためどうしても長ザオが必要なのである。

本流域の攻略の第一歩は、まず長ザオに慣れること。

これに尽きると私は考えている。

【サオ】

さて長ザオだが、ひと口に言ってもさまざまだ。

軽くて華奢(きゃしゃ)なもの、重くて強いもの、いずれにも用途があり、自分の目標とするターゲットに合わせてチョイスすればいいのだが、尺前後までのクラスを獲るのなら、軽くも重くないものを選ぼう。

0.3~0.8号までのハリスが使用できればOK。

本流ザオは高価である。

初期から終盤まで、また数釣りも大物狙いにも満遍なく使用できるものが経済的だ。

【仕掛け】

ハリスはやがて出会う尺クラスを考えると、せめて0.4号程度は張っておきたい。

緩流ではイトの太さも流れを受けて仕掛けを運ぶ動力源となる。

本流に立つほとんどの釣り師がいまだ見ぬ大物との出会いを夢見ているはず。

太めの仕掛けに慣れ、できる限り違和感なく流せるテクニックを一日も早く習得すべきである。

【ハリ】

ハリは袖・キツネなど好きなタイプでいいが、できるだけ刺さりのいいものをチョイスしたい。

『がまかつのナノシリーズ』は抜群の刺さりと節度ある細軸が魅力のハリで、ここ数年来私の釣りの相棒である。

番手は対象魚のサイズよりも使用するエサの大きさに左右される。

ミミズなどは相当大きめを選ぶ必要があるし、私は使わないがヒラタの小サイズなどはエサに与えるダメージも考えて極細小バリの使用が望ましいはず。

渓魚の口は基本的に大きいと理解しよう。

コッパアマゴでも8号程度は平気でのんでいることを誰でも経験しているはずだ。

【オモリ】

オモリはぜひともゴム張り仕様をお勧めしたい。

オモリの調整・交換はこの釣りのキモである。

目印もできるだけ大きめでよく見えるものを。

両岸でサオを出すケースでは相手からも見える大きさがトラブルを避けてくれる。

また、後述するが緩い流れを流すときの水先案内の役割も持つ。

私は極太の毛糸目印を笑われるほど大きく切って使用している。

ポイント選択のヒント

本流で見事な釣果。

どこの河川にも有名ポイントは存在する。

釣具店のホームページや同好の士らのSNSなどでも見る機会は多いはず。

そういう場所を訪ねたら、なぜその場所が有名ポイントとなり得たのかを考えてみよう。

本流域に生息する渓魚たちは、水量・水温・季節など、さまざまな要件に応じて実に頻繁に移動する。

ひと口に移動といっても、そのプール内の浅深、エサの有無、溶存酸素量などの違いによる着き場の移動から、ソ上魚に代表される大幅な引っ越しまで、さまざまな移動を繰り返しながら生活をしている。

その際に共通するキーワードが、「隠れ家の有無と急激な流れの変化」だ。

渓魚の天敵は古今東西言うまでもなく鳥である。

上からの攻撃を避けるためには、水底深く潜むか、大岩や護岸などの下に潜る、張り付くことが必要になる。

ソ上を阻害する堰(せき)を除けば、有名ポイントの見た目に共通しているのは、大岩・沈み岩の点在、橋脚や護岸の有無、青々とした深い淵への流れ込みなどの存在である。

これらは全て渓魚らに隠れ家を提供し、流れを変化させてさまざまな生命を育んでいる場所という点で共通である。

淵への流れ込みを例にとると、池のような緩流域には昆虫類も多く、それらを常食とする稚魚が群れていることが多い。

これを狙って小型の渓魚が住み着き、さらにそれを狙う大型のアマゴも周りをうろついている。

朝夕は流れ込みで流下するカワムシをあさり、日の高い日中は水底深く沈んで隠れる。

大場所のポイントとなるエン堤。

見た目に変化のない下流域の流れ、いわゆる本流らしい本流域でも、底石の周りでは少なからず流れは変化しており、その緩流帯はどこもみな渓魚の着き場となり得るのだ。

場所の成り立ち、そこで過ごす渓魚たちの習性、季節によるエサの変化などを予想して攻めることは、攻略のための非常に有効な手段であると私は考えている。

ポイントへ立ったら、サオを出す前に少しだけアマゴの気持ちになって、攻め方を組み立ててみよう。

初めは外れていても構わない。

行動が論理的であることは後々あなたの味方になるはずだ。

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<週刊つりニュース中部版 APC・冨田真規/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2018年2月23日号に掲載された記事を再編集したものになります。