東京湾で狙う冬のフグ釣りの定番になった通称・アカメフグ(正式名はヒガンフグ)。使用するタックルやエサはもちろん、カットウ仕掛けもショウサイフグと同じなので、「湾フグ」と、ひとくくりに扱われることが多い。アカメは浅い岩礁帯や藻場に生息、ときに40cm以上の大型に成長するフグで、繊細なアタリにアワセが決まったあと訪れる鈍重な引きの強さはまさにパワフル。さらに食べてもとても美味で、トラフグに匹敵する……と言われ、近年人気がとても高まっている。その魚を狙って1月13日(土)、鶴見にある新明丸に釣行した。
総勢8名が乗船
フグ船の担当は高橋英夫船長。
近況をうかがうと「年明けからスタートしたけど、風が強く海況の悪い日が多かったので、出船した日はまだ限られています。それでも顔を出してくれているので、例年同様という感じ。狙うポイントは、近場の本牧から中の瀬の水深10~20m前後。きょうもその辺りを狙っていきます」とコメントしてくれた。
出船時間の午前7時半までに集まったのは総勢8人。
弟を誘い、午前5時すぎに宿に到着したが、両舷ともミヨシ寄りは席が埋まっていたので、右舷トモから並んだ。
両舷4人ずつで定時に出船。
鶴見川を下り、本牧ふ頭の南側、横浜シンボルタワー脇の護岸横で開始のアナウンス。
水深は10m。
海底は岸壁を支える基礎の部分からつながるゴロタ場で、根掛かりが激しいポイントだ。
エサの赤エビをていねいに装餌して第一投。
北寄りの風がそよそよと吹き、船はミヨシ側を岸壁側へと向け、右舷側を潮先に流していく。
開始すぐにミヨシ寄りで数尾キャッチ
開始早々、ミヨシ寄りでアタリが続いたようで、ポンポンと数尾キャッチされた。
茨城県古河市の横山正人さんは、この釣りに魅了された一人。
「湾フグ釣りが好きで、小さいアタリを取って掛けていくスタイルが楽しいし、食べても本当に美味しいですからね」と、本命を手に笑顔がこぼれていた。
弟もこの流しでアタリを捉え、アワセがバッチリ決まってリーリング。
竿が叩かれ、無事に取り込んだ。
「誘ったあと、ゼロテンションの時間を長めに待っていたら、コンッと小さくアタリが出たので、反射的にアワせた」とのこと。
私も早く本命を手にしたいという気持ちから焦りもでたが、ていねいな誘いと仕掛けコントロールが大事。
エサのエビが海底でチョンと動く程度に小さなシャクリを入れ、オモリの重さに任せて落とすのではなく、そのエビエサをゆっくりと着底させる。
アタリは着底直後にでるケースが多く、この誘ってから着底までの時間の質が魚へのアピールにつながると考えており、この釣りでもっとも重要視している部分。
そのため、この誘いの基本動作を確実に繰り返していった。
ふた流しめまでに半数以上が本命を手にする好模様で、釣れていないのは私を含め3人。
まめな誘いと竿先の変化に注視する。
すると、ゆっくり落とし込む中で、竿先がわずかに不規則な動きをしたように感じられた。
そのままのスピードでオモリを着底させたあと、スッと小幅の聞きアワセを入れると、ズンッという重みが伝わる。
追いアワセを入れてから、リーリング。
力強い抵抗を見せ、弟にタモ取りしてもらったのは後検量で38cmの良型アカメ。
この1尾で気が楽になったのか、続けざまに2尾連釣。
サイズがいいので、足元のバケツが一気ににぎやかになった。
船中全員本命キャッチ
同場所を流し変えながら約3時間狙って5尾まで数を伸ばし、船中全員が本命をキャッチ。
型見ずで終わることが少なくないこの釣りだけに好調と思ったが、船長は「潮が流れてないからアタリが小さいでしょ。もう少し流れがあれば、活性が上がると思うんだけど……」と、この場所に見切りをつけ、船を中の瀬へと走らせる。
狙う水深は17m前後。
釣り方などは変えずに、同じ基本動作を繰り返していく。
魚の活性が上がることを期待したものの、このポイントもほとんど流れず、エンジン流しで船をこまかく操作しなが探っていく。
忘れたころにポツポツという展開で、サイズもまちまち。
フグだけでなく、ベラなどが多いようで、エサの消費が激しかった。
そのあとも、あまり展開は変わらなかったが、終了の午後3時までに4尾を追釣し、計9尾で沖上がり。
船中釣果は18~40cm3~9尾。
弟は3尾だった。
下船後、船長に今後の展望を聞いてみると「ポイントは近場で、まだまだ攻めていない場所がたくさんあるし、これからポイントを増やしていきますよ。
寒い時期だけど、釣りにきてください」と締めくくった。
10号程度の軽いカットウ仕掛けを操り、わずかな変化を察知して1尾、1尾と向き合っていく東京湾のアカメフグ。
この釣趣の奥深さに加え、アフターフィッシングも魅力的。
釣った直後ならテッチリ。
身の弾力が強いので、テッサにするなら、冷蔵庫で一週間ほど熟成させてからがお勧め。
<週刊つりニュース関東版 APC・田中義博/TSURINEWS編>
新明丸