魚の王様として名高いマダイは引きの強さはもちろん、食味の良さから釣りのターゲットとして大人気の魚種だ。マダイを釣ったら是非食べてもらいたいのが、アラ(頭や中骨)を使った「アラ汁」。今回は釣り場での下処理や持ち帰り方を含めてレシピを紹介。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・杉本 隼一)
人気釣りターゲットのマダイ
マダイはコマセ釣りや一つテンヤなどの餌釣りからタイラバやジギングなどのルアーフィッシングまで様々な釣り方で狙う事ができる人気の釣りターゲットだ。大きなものは70cm以上にもなり、引きが強いことも人気の理由だろう。そして、言うまでもなく食味も抜群で、クセのない上品な白身はまさに高級魚。
その食味の良さから高級料理店などでも刺身から焼きや煮物など幅広いジャンルの料理が提供されてる。自宅で食べる時もその淡泊な肉質から、お刺身から煮付け、鯛飯、ムニエルなど幅広い料理に適しており、おいしく頂ける。
釣り場での下処理方法
マダイに限らず、先ず魚が釣れたら、血抜きをすることで身体から血液が抜け、細菌が増殖することを抑制したり鮮度を維持しやすくなる。また血を抜くことで、魚独特の生臭さも軽減できるので、必ず血抜きはしておきたい工程だ。
血抜き
魚のエラと尾びれの付け根付近をナイフで切り、水を汲んだバケツなどに頭から入れる。目安として3~5分ほどで完全に血が抜ける。確認方法としては、血抜き後の魚のエラから赤色が抜け、白っぽいくなっていれば、上手に血が抜けている証拠だ。
内臓とエラを取る
できれば釣り場で内臓やエラを取っておくと鮮度を保ちやすい。内臓からの臭いも軽減できる。また魚種によっては、内臓にアニサキスなどの寄生虫がいる場合もあり、内臓を取り除くことで、魚の身に寄生虫が移ることも防ぐことができる。
持ち帰り方法
釣れた後、クーラーボックスに入れた氷水や保冷剤にそのまま魚を入れてしまうと「氷焼け」してしまい、逆に魚を傷めてしまう場合がある。そのため釣れた魚を袋や新聞紙などで包んでから入れるか、氷や保冷剤を袋などに入れてから魚と一緒にクーラーボックスに入れると氷焼けを防ぐ事ができる。
自宅での下処理方法
帰宅後、魚をさばく前に、真水で洗い魚の汚れを落とそう。
1.ウロコを落とし、軽く水洗いをする。
2.エラと内臓を取り除き、血合いを綺麗に洗い流す。内臓を取り除いた後は、一旦、内臓のにおいが身に移らないように、まな板を洗う。
3.三枚におろす。
後は、お刺身はもちろん様々な調理法に使えるので好みの料理で美味しく食べよう。お刺身にする場合は、柵取りをし、皮を引けばOK。
アラの下処理
三枚おろしにした後、頭と中骨(アラ)が残る。このままでは大きすぎるのでアラも切り分けていく。
1.頭と中骨を切り離す(キッチンばさみを使用すると安全。)
2.中骨を半分に切る(キッチンばさみを使用すると安全)
3.頭を立てて包丁でなし割りにする(頭は骨が硬いのでケガをしないように注意。濡れ布巾などで抑えながら切ると滑りにくい)
『マダイのアラ汁』レシピ
以下マダイのアラ汁の作り方。
[材料]
・マダイのアラ 1匹分
・出汁昆布 1片
・水 1500cc
・塩 小さじ1.5~2
・醤油 小さじ1.5~2
(お好みで)
・長ネギ
・豆腐など
[調理手順]
・マダイのアラを軽く洗って多めの塩(分量外)を振り、10~30分程度置く この間に湯を沸かしておく(分量外)
・氷水を用意してアラを水洗い後40~60秒沸かしておいた湯に入れる。その後氷水に入れて冷ます。(この作業を霜降りという)
・冷ましたアラに付いている血合いやウロコを軽く洗い流す
・鍋に水と出汁昆布、マダイのアラを入れて火にかける。沸騰直前に昆布を取り出す。
・グツグツさせすぎないように弱火~中弱火にかける。灰汁(あく)が出るのでしっかりと取り除く
・灰汁が出なくなり水が透き通ってきたら塩と醤油、お好みの具材を入れ、一煮立ちさせたら完成。
マダイのアラは旨味の宝庫
一口飲むと最初は薄味だが後からマダイの旨味が一気に押し寄せてくる。一度飲むと病みつきになる旨味だ。このアラ汁にご飯を入れて雑炊にしても美味しく食べる事ができる。マダイを釣ったら頭や中骨を捨てずにアラ汁を作ってみてほしい。マダイの持つ旨味の濃さに驚くはずだ。
<杉本 隼一/TSURINEWS・WEBライター>