猛暑の影響でしばらく体調を崩して休養していた船長が回復。また元気に舵をにぎるというので、9月19日(木)、外房勝浦川津の喜美丸を訪れた。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 APC・大村隆)
喜美丸でスルメイカ狙い
当日は、イカ釣りが大好きな釣友の町田さんと伊澤さんを誘って、喜美丸で真沖のスルメイカを狙う。集まったのは我々のほかに3人。両舷に3人ずつ分かれて入り、タックルの準備に取りかかる。私の釣り座は左舷ミヨシだ。
5時、水平線にたなびく雲がピンク色に染まり始めるころ、渡辺美喜夫船長の舵取りで港を離れる。天候は薄曇りで、やや北東風が強く、海上は少し波っ気がある。
メリハリのある誘いがキモ
航程30分、小型の職漁船がちらほら操業するポイントに到着。潮回りの間に、船べりに円筒タイプの投入器を立てかけてスタンバイ。
やがて反応を捉えると軽く制動がかかり「はい、いいですよ。水深は150mです。底上15mまで探ってください」のアナウンス。
オモリを前方に思い切りよく投げ入れると、ツノはパラパラと勢いよく飛び出していく。竿先を海面に向けて、ミチイトとガイドの摩擦を極力低減。群れが去る前に、いち早くタナに到達させるよう心掛ける。底上20mからリールのスプールを親指の腹で押さえて、サミングしながら送り込む。落とし込みでの乗りを狙ったが、そのまま着底。
イトフケを取り、竿先を海面から目線の高さへ、さらに頭上まで2回に分けてシャープにシャクり上げる。時折、頭上まで一気にシャクり上げて派手に誘う。リール2回転ぶん巻き取りながら竿先を海面に戻し、再度、シャクり上げながら底上15mまで探る。スルメはヤリの誘いと違い、鋭くメリハリのある誘いをすることが肝要。
ピンクのツノに40cmスルメイカ!
3往復目、底上5mでグッと確かな乗りの感触。3~4m手巻きを加えてから、電動リールのスイッチオン。竿尻を小脇に抱えて、中速より1段落としたスピードで慎重に巻き上げる。船が波上に乗ると、グイーッと強い引き込みが訪れる。そのたびに竿先を海面に向けて下げ、引き込みに対応しながら巻き続ける。
やがてイカリングが見えてきたところで竿を立てて引き寄せ、リングをつかむ。プラヅノを投入器に戻しながら一手一手ゆるめずにたぐっていくと、最下部のピンクのツノに長い脚1本のみを引っ掛けた40cmの太いスルメが掛かっている。
船中で多点掛け連発!
「おっ、こちらは一荷だよ」の声に目を向けると、町田さんが良型をダブルで取り込み「引きが強く、スリル満点で楽しめたよ」と言いながら掲げる。
トモで竿を振る伊澤さんが湾曲した竿を抱えて真剣な面持ちで巻き上げている。「これは多点掛けかもしれない」と期待して見ていると、竿をロッドホルダーにセットして仕掛けをたぐり始める。
海中にはあめ色の塊が一つ、二つと連なっている。レギュラーサイズをトリプルで取り込んだ伊澤さんは「直ブラからブランコに交換したら、すぐに乗ってきたよ」と、してやったりの笑顔。
1尾ずつ確実に取り込みツ抜け
釣り座に戻って「早く皆に追いつこう」と、懸命にシャクリを繰り返す。
ダブル1回、あとは単発ばかりだが、何とかツ抜けは達成。船長はこまめに移動を繰り返し、次々に新たな群れを探っていく。
やがて風は止み、海上は穏やかになってくるが、反してイカの乗りは一段と渋くなってくる。タナの範囲を丹念に探ると、ツンと触りはあるが掛からず、時折、ゲソだけカンナに引っ掛かってくる。
右舷胴の間で、終始、直結仕掛けで奮闘していた井上さん(野田市)は「アタリはたびたびだが、乗ってこないよ」と盛んに首をかしげている。
このような時こそ「誘いの手を休めず丹念に誘い、追い乗りは狙わずに1尾ずつ確実に取りこもう」と心に決めて、ぽつりぽつり数を重ねて11時に沖上がり。