かつて本流の釣りといえば消波ブロックのポイントが人気で、数々の有名「テトラ」釣り場が存在した。現在も茨城県潮来市を流れる北利根川・水郷北斎公園は「牛堀のテトラ」とも呼ばれ、今でも昭和の趣を感じさせる。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース 加賀三義)
北利根川の概要
霞ヶ浦水系とは西浦、北浦、外浪逆浦、北利根川、鰐川、常陸川の各水域の総体だったが、河川法で河川形状の範囲を「常陸利根川」という利根川の支川にしてしまった。
釣り人としては「霞ヶ浦間の排水路として外浪逆浦で北浦と合流し、利根川に通じる牛堀から外浪逆浦の全長10kmを北利根川と言うが、最近は外浪逆浦より利根川合流間の常陸川も合わせて常陸利根川と呼ぶようだ(昭和50年、小谷鮒夫氏)」と承知で、便宜上そのまま北利根川と呼んでいる。
同河川は千葉県と茨城県を跨ぐ川幅200~250mの大河川。霞ヶ浦本湖、横利根川、外浪逆浦ほか、釣り場として有名な水路と接続しているので魚影が薄いわけはない。
水郷北斎公園
今回推薦するポイントは、人工的な北岸沿いに約1km続く緑地公園の水郷北斎公園だ。施設名は、葛飾北斎が描いた『常州牛堀』にちなんでいる。そのため同公園は大正時代末に水運された米俵を貯蓄した蔵を利用した、地場野菜販売と貸ホール、食事のできるカフェといった複合施設・北斎遊学館が隣接している。
毎年8月中旬に水郷潮来花火大会の会場になる。市の公式ホームページに〝消波ブロックの上に整備されているので、釣りの絶好のポイント〟と掲載されているとおり、釣りが楽しめる公園でもある。
水際は転落防止柵として、チェーン柵が設けられている。前述したように、釣りのできる公園であるうえ注意看板などもないので、自己責任で入釣したい。
ポイント
「牛堀のテトラ」と呼ばれるポイントだけに、消波ブロックで台地を造成してある。しかも沖にゴロタ石が入っている場所もあって、せっかく竿18尺以上で手前のブロックから逃げても根掛かりは避けられず、なかなか手強い。
船着き場
駐車場前に公共桟橋とされる、10基のクリートが設置された舟着場がある。こうした舟着場にブロックが入っていたら船体を傷つけてしまう。そのため、舟着場周辺の浅場にはブロックはないので、これを目安に釣り座を決めるといい(ただし本来の目的は船の係留だから、釣り人よりも船が優先される)。
底釣りをするなら流れ対策で長尺竿ドボンとなるが、ワンド形状の場所で宙釣りをするのが無難。消波ブロックにはアメリカナマズが居着いており、水面近くでもアタってくるほど貪欲だ。
牛堀水位観測所の脇
現在は駐車場になっている旧潮来市商工会の裏で、水中からそびえる牛堀水位観測所の脇は竿12~13尺いっぱいの水深がある。しかし、ここで底釣りをしようものならブロックの隙間に仕掛けが入って根掛かりすることが多い。しかも、ブロックの高さなのかハリから2mくらいのところで、何かに擦れたと思った瞬間、道糸が切れてしまう。
そこで、タナ2本くらいの宙釣りをすることになる。宙にすることでいくらかはアメリカナマズ除けになるのだが、それでもたくさんハリ掛かりしてしまうのは覚悟したい(ハリ外しに、長めの先細ラジオペンチ必携)。北利根川は、流れの緩いポイントに入れたなら、宙のほうが釣りやすい。
ともかく切られない道糸の太さで仕掛けをつくる意識を持ち、根ズレに強いフロロカーボン素材にするなどの対策をしてほしい。
<週刊へらニュース 加賀三義/TSURINEWS編>
北利根川
入釣無料、釣り台必携。