イカダで狙うカワハギ釣果アップ5つのポイント 時合いを引き延ばそう

イカダで狙うカワハギ釣果アップ5つのポイント 時合いを引き延ばそう

カワハギ釣りは波止やイカダ、船、磯など数多くのジャンルで楽しまれて居るが、イカダからのカワハギ釣りは場所も動くことなく、カワハギを集めて釣るので数も出る釣り。ただ、場所移動ができない分、時合いが短いと言われている。ここでは秋のイカダカワハギを少しでも長く食わせる方法を紹介していきたい。

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

tsurinews編集部関西

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目次

カワハギは釣り方多彩

カワハギはそのおちょぼ口と、泳ぎながらその場で静止したり、後ずさりしたりと、仕掛けを引っ張ることなくエサをきれいに食べる技術を持っている。エサ取り名人たるゆえんなのだが、その出にくい、小さなアタリを取って掛けていくのはカワハギ釣りの醍醐味でもある。

関西圏のカワハギ釣りと言えば、明石海峡周辺や加太、日ノ岬沖に代表される船釣り、関西圏各地の波止や釣り公園などで楽しまれている波止釣り、紀北、中紀などに多い磯釣りのほか、淡路島・福良湾や中紀・津久野や衣奈などのイカダなど豊富なジャンルで楽しめるのが特長だ。

手軽に釣れるのがイカダのカワハギ

中でもイカダからのカワハギ釣りは一種独特。イカダに乗ってしまえば移動しなくとも数が釣れて、うまくいけば長時間釣れ続いて結果的に60~80尾、時には3ケタに迫る釣果も出る釣りだ。

イカダで狙うカワハギ釣果アップ5つのポイント 時合いを引き延ばそう本来は簡単に釣れるのがイカダカワハギ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

イカダで狙う際の長所と短所

カワハギが釣れるイカダは平均して、湾内などの波静かなエリアで、近くに岩礁帯や魚礁などがある場所。普段、チヌ釣りなどでまきエサのダンゴを打っているような場所なら、カワハギを専門に狙ってみると高確率で釣れる。

また、カワハギが溜まりやすい地形(イカダの場所)などもあるようで、実はチヌ釣り師に言わせると「カワハギなどのエサ取りが多くて、チヌが釣りにくい」場所ほど、カワハギ狙いにとってはありがたいポイントなのである。

ただ、このイカダから狙うカワハギ。メリットばかりではなく、デメリットもある。船ならポイント上を流して釣るし、波止や磯などでも、釣れなくなれば次々にポイントを移動する事ができるが、イカダに関しては乗っているイカダの周辺しか探る事ができないため、アタリが出ない時には皆目釣れないなんて事もある。

釣れる時合いを長くする方法

カワハギ狙いで渡る場合には、皆目釣れないイカダに上がる事は少ないが、よく遭遇するのは早朝に入れ食い状態になっていたのに、日が昇るとピタッと食いが止まってしまうと言う場面。

同じ場所で釣るのでカワハギがスレて警戒心を抱いたり、エサをたらふく食べてお腹が満たされる、または仕掛けに慣れてエサを取るのがうまくなるなどさまざまな理由が考えられる。

そんな、勝手極まるカワハギを、できる限り長時間釣り続ける方法をいくつか紹介したい。

1、ポイントの状況を踏まえる

イカダのカワハギ釣りではもっとも重要なのが、釣り場の傾向を事前に船長などに聞いておく事だ。具体的には連日のようにチヌ釣りなどで人が入っていて、常にまきエサがまかれている釣り場かどうか…である。

連日、人が上がっているイカダ

毎日のようにエサが入っているイカダなら、カワハギが常に集まっている可能性は高い。そのため、さらに大量のまきエサでカワハギを寄せる必要はなく、カワハギの活性を上げて、食いを誘発させる程度のまきエサで十分である。

大量のまきエサで満腹に

以前、チヌ釣りの名手に聞いた話では、カワハギなどのエサ取りが多い秋のシーズンの戦略として、大量のまきエサ(ダンゴ)を入れる事で、エサ取りを満腹にさせる…と言うのがある。カワハギ釣りに来て、カワハギが満腹してエサを取らなくなれば大きなデメリットになってしまう。

人が入っていないイカダでは

逆にあまり人が上がっていないイカダなど、カワハギが事前に集まっていない場所なら、最初に少し多めにまきエサを入れてやる。まきエサが必要な時は、イカダに上がったら一番最初にまく事をオススメする。カワハギが寄り切るのに、案外時間がかかるからだ。

どんなまきエサを用意する?

ちなみにまきエサに使用するのは市販のカワハギ用ダンゴ素材やチヌ用のダンゴにアミエビなど集魚効果の高い素材を混ぜたモノ。

イカダで狙うカワハギ釣果アップ5つのポイント 時合いを引き延ばそうチヌ用のダンゴでもOK(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

いずれにしてもカワハギが釣れ出せば、釣っている竿下にはあまりまきエサを入れないようにしたい。少量のまきエサを小さなダンゴにして潮上に時折投げ込む程度でいい。

カワハギはめざとい?

ダンゴの周りにはもちろん、カワハギが寄るのだが、近くにエサがあればカワハギはめざとく見つけるので、少し離れた場所にさしエサを置く事で、活発なカワハギがやる気満々で食いに来るため、アタリが大きく出て掛かりやすい傾向にある。

船のカワハギ釣りでは常識なのだが、アタリを大きく出させようと思えば、カワハギを動かす事である。

2、さしエサ=まきエサになる

カワハギが寄ってくると、仕掛けを下ろしてエサが海底付近に到達するやいなや、アタリが出る事が多い。特に早朝の時合いには活発なカワハギがたくさんいて、エサを取り合いするからだ。

カワハギが朝に活発な理由

カワハギは基本的に、夜間は活動しない魚である。夜が明けて水中が明るくなってくるとようやく目覚めてエサを食い出す。夜間も動き回ってエサを食べている魚に比べると、夜間にエサを食べていない分、明るくなって活動を始めた瞬間から集中してエサを食べる。これが朝の時合いである。

イカダで狙うカワハギ釣果アップ5つのポイント 時合いを引き延ばそう明るくなって活性急上昇(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

前述したまきエサを入れるなら、イカダに乗ってすぐに…と言うのは、この動き始めにまきエサでカワハギをイカダの下に寄せてしまいたいからである。
釣れた時に確認してみよう

アタリを出すカワハギは一部分

さて、カワハギが寄ってくるとエサを争って食うようなアタリが頻発して、最初のウチは3本バリにダブルでヒット…なんて事も珍しくない。その上、最初のアタリを取ったつもりでも、1尾釣ってみると残りのハリのエサはすっからかんになっている事も多い。

イカダで狙うカワハギ釣果アップ5つのポイント 時合いを引き延ばそうダブルヒットも珍しくない(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

これはカワハギのエサ取り名人たる部分で、実はアワせるに至るアタリをしっかりと出させてくれるカワハギは、一部分で、ほとんどの場合は、竿先に反応もないままエサをかすめ取っていく。この時のカワハギの食い方は、エサを吸い込んでは吐き出しながら、きれいにエサだけをハリから取ってしまう。

吐き出されたエサがまきエサに

実はこの時に、エサの破片がたくさん吐き出される。これが少量のまきエサとなって、さらにカワハギを集め、活性を上げてくれる。

となると、それ以上のまきエサは不要である。なので、活発に釣れている時間帯は、まきエサよりも手返しを多くして、さしエサから生まれるまきエサに頼るのがベスト。

3、ポイントを数カ所作っておく

カワハギは1カ所の釣り座でしばらく釣ると、すぐにスレてしまうのか、アタリが小さくなり、エサ取りもうまくなってくる。そこで、フレッシュなカワハギを求めて少しだけ釣り座を移動してみよう。

カワハギを分散させる

ただ、それまで釣っていた場所にはエサが散乱してカワハギも集まっている。イカダの周りのカワハギがほとんど釣り座の下に集まる事も考えられるので、それを分散するために、四辺あるイカダの2、3カ所にまきエサを打っておき、ポイントを作っておく。

それぞれのポイントには一定のペースで少量のまきエサを入れておき、ポイントごとにカワハギを釘付けにしておくのが理想だ。

最初に釣っている場所でアタリが減ってくれば、次の場所で仕掛けを入れてみる。するとそこには警戒心の薄いフレッシュなカワハギが再び、明確で釣りやすいアタリを出してくれるはずだ。

まきエサのまき過ぎ厳禁

数カ所を回る事で、ポイントを休ませる効果もある。朝からカワハギの活性を上げた(エサを入れた)ポイントは、以降はあまりエサを入れなくてもカワハギがある程度、寄ったままになっているので、場を休ませる事で多少は食いがよくなる。

玉ねぎネットにアミエビ?

これはちょっと反則的なのだが、以前、よくやっていたのが玉ねぎネットにアミエビを1ブロックと石などのオモリを入れて、各ポイントに沈めておく方法。これだと常にまきエサがあってニオイの成分は出続けるのだが、固形物が出ないため腹が満たされる事がなくまき過ぎる事がないのでご参考に!

順番にポイントを巡っていくと釣れるのだが、早朝ほどの活発さはないので、次はその動きの鈍ったカワハギを釣る作戦に出る。

4、さしエサの変化で目先をかえる

船からのカワハギ釣りなら基本はアサリがメインだろう。本格的に競技などをする人はほとんどがアサリオンリーで釣っているハズだが、カワハギの食性は幅広く、甲殻類やゴカイ類、貝類などいろいろなエサを食べる。

幅広い食性の持ち主

そこで、入手しやすいエサを数種類持参しておき、カワハギの目先をかえてやると、食いが持続する。具体的にはエサ店で手に入るオキアミ(生、ボイル)、シラサエビ(生きたものと冷凍の湖産エビ)、マムシ(ホンムシ)、イシゴカイ、アサリなどである。

イカダで狙うカワハギ釣果アップ5つのポイント 時合いを引き延ばそうカワハギ釣りでは定番のアサリ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

種類で硬さもかわる

オキアミは生とボイルでは硬さも違うので、アタリの出方や食い方にも変化を付ける事ができる。シラサエビはとにかくカワハギの大好物なので、生きていれば申し分ないが冷凍でも十分に使える。虫エサはハリを食わせやすい(細いので吸い込みやすい)特徴がある。

イカダで狙うカワハギ釣果アップ5つのポイント 時合いを引き延ばそう冷凍のシラサエビ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

甲殻類、虫エサ、オキアミ、アサリと全く種類の違うエサを用意してローテーションする事で、カワハギの食いが持続する。

イカダで狙うカワハギ釣果アップ5つのポイント 時合いを引き延ばそうマムシは小さくカット(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

5、誘いとタナの設定をかえる

早朝の時合いの時には、仕掛けが着底すると同時にアタリが出て「こんなに簡単に釣れるのか」と感心するほど釣りやすいカワハギだが、時間とともにアタリが出にくくなってくる。つまりは仕掛けに慣れたカワハギがエサをうまく取るようになる。

ここで変化を付けたいのは誘い。時合いの時は大して誘わなくても勝手にハリ掛かりしてくれるが、ジッとアタリを待っていると穂先に反応がないままエサだけが少しかじられている…と言った場面に出くわすようになる。

エサを吸い込むから掛かるはず

カワハギはエサを口先で突くような食い方はせず、基本的には吸い込んで吐き出すのを繰り返すので、実はちょっとかじられたように見えるのも吸い込み、吐き出しを繰り返しているうちにエサがボロボロになっている事が多いのだ。

つまり、吸い込む限りはハリ掛かりさせる事もできるハズ…なのだ。そこで、前述の話。カワハギは動かした方がアタリが明確に出る…と言う事。工夫が欲しいのはその動かし方である。

誘う速度が決め手だ

カワハギ釣りの誘いは何よりも、カワハギが興味を持ってエサを追いかけてくれる速度で、エサを動かす誘いをする事に尽きると言っていい。イカダの釣りでは竿を上下させて、エサを上下動させる事が多くなるのだが、この時も速すぎず遅すぎずエサを動かす事に神経を集中させる。

イカダで狙うカワハギ釣果アップ5つのポイント 時合いを引き延ばそう肝は誘いの速度(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

速度が合えばアタリ明確

この動きの速度には定番はなく、速く動かした方が活性が上がる時や、ごくごくゆっくりした方がいい時など、さまざまだ。工夫と言うのはその時のカワハギに合った誘いの速度を探す…と言う事だ。速度が合えば、比較的簡単にそれまで小さかった、もしくは出なかったアタリが明確に出るようになる事も多々ある。

時として中層に浮く

タナの設定については、基本的にカワハギは底付近のエサを取るが、時として中層に浮いてきてエサを取る事もある。と言っても数mも浮く事はなく、浮いてもせいぜい1mくらいまでなので、竿を上げたくらいまででタナを探る事ができる。

オモリを底に付けた状態を基本として、誘いの途中で浮かせて止めてみると、小さなアタリが出る事もあるので、底一辺倒ではなく、少しタナを探る事もやってみよう。

イカダのカワハギ釣りは比較的簡単に釣れてしまうのが魅力でもあるが、さらに数を求めてたくさん釣ろうと思えば、いくつかの工夫が必要になってくる。今回紹介したのはそのごく一部で、まだまだ快適にカワハギを数釣る工夫はあるので、釣れる時、釣れない時でいろいろと試してほしい。

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>