例年、夏場になると大阪湾奥の波止で高級魚アコウが釣れる。今年も海水の色が真夏色に染まり始め、アコウが釣れ出した。8月10日は大阪北港の通称・関電波止でデイゲームのアコウ釣りを北港一筋の名手・新宅功治さんに案内して貰い、その狙い方を取材した。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
苦潮がアコウシーズンの合図
大阪湾でアコウが釣れる目安となるのが海水の色。春先には透明ではないが、澄み気味の海水なのが、梅雨を過ぎ、真夏の強烈な太陽にさらされると、赤茶色い海にかわる。一見、汚れた海水にも見えるのだが、これがアコウシーズン到来を告げるカラーだ。
8月10日はたまや渡船の1番船で通称・関電波止に渡ったが、まず海の色を見た新宅さんがひと言「先週よりはちょっと茶色くなってきたけど、まだまだやな」。聞いてみるとアコウがよく釣れるのは、いわゆる苦潮になる頃。
アコウは苦潮に強い?
苦潮とは水中の酸素が少ない水の塊の事で、これが広がると酸素が欠乏して魚の大量死を招く事もある厄介な潮だが、実は苦潮によって普段は根や障害物の中に潜むアコウが浅いタナへ出てくる事がよくある。
エサとなる小魚も苦潮によって水面近くに出てくる事も多く、アコウにとっては格好の捕食場所となるのだ。アコウは他の魚に比べるとかなり苦潮に強い魚で、苦潮が回っている時でもベイトが居れば食ってくるほどどん欲な魚である。
ノマセ釣りで狙う
新宅さんによると、本来はシラサエビを使ったエビまきで夜明けや宵の一時を狙うのだが、現状、アコウに適した大きさのシラサエビが入手困難で、ほとんどが小粒なのだと言う。そこで、考え出したのがノマセ釣りだ。
苦潮によってイワシなどが水面に浮いてきたところを目の細かいタモですくってエサにした事が始まりのようで、ちょうど現在はサビキ釣りで小アジが釣れ盛っている時期でもあり、現地調達で小アジやイワシを釣ってのノマセ釣りが主流なのだと言う。
まずはサビキで小型アジ確保
波止に渡ったらまずはサビキ釣りでエサにちょうどいいサイズのアジを狙う。夏場の小アジは日ごとに大きくなってくる。
波止のアコウ釣りの場合はできるだけ小さなアジの方がいいとの事で、入れ食いで釣れる小アジの中から、エサにできそうな小型だけを生かしバケツに入れてエアレーションして生かしておいたり、網のフタが付いた水汲みバケツに入れて海に浸けておく。
ノマセ釣りのタックル&仕掛け
ある程度、エサのアジが確保できたらノマセ釣りの準備にかかる。新宅流の仕掛けはいたってシンプル。磯竿1.5号5.3m前後に道糸は3号か4号を使用。オモリはできるだけ軽い方が食いがいいらしく、3、4号を使用した胴つき仕掛け。幹糸とエダス(10cmほど)は8の字結びで接続するだけの簡単なもの。
オモリよりもハリが少し上にくるくらいに調整する。仕掛けがセットできたらアジを鼻掛けにしてそっと沈める。
アコウがいるポイント
アコウのポイントは波止際、ケーソンの継ぎ目、波止回りの敷石など、波止の周囲のどこに潜んでいるか分からないので、とにかく攻め方はバリエーション豊富だ。
波止際のポイントは基本的に浅ダナと底狙い。浅ダナはイガイの付いている層のすぐ下くらいを目安とするため、沈めても2ヒロくらいまで。浅ダナでアタリがなければ徐々に沈めながら探っていき、今度は底を中心に探る。食い気のあるアコウが居れば、けっこう反応は速いので、アタリがなければその釣りを早々に見切るのがコツだ。
波止際の中でもケーソンの継ぎ目は好ポイントとなる。ここではケーソンの隙間が空いた部分を見つければしめたもの。ケーソンの隙間に潜む事が多いアコウが飛び出してくる事も多いとか。ただし、大型のアコウになるとエサを食った瞬間に、ケーソンの隙間へ強引に逃げ込もうとするので、油断をするとあっという間に潜られてラインブレイク…となる。
アタリの出る確率も高いが、潜られてしまうリスクも高いのがケーソンの継ぎ目だ。