いよいよ秋本番となってきた。これから晩秋までのイカダ&カセで狙うクロダイ釣りは、数が狙えて良型も出る最盛期。気候的にも釣り人に優しく、初挑戦するにも絶好のシーズンだ。そこで今回は、これからクロダイ釣りを始めたい人のために、入門編として最初の1匹を手にするまでの基本的な釣り方を紹介したい。
目次
寄せエサのダンゴはコントロールしやすいように作ろう
最大の特徴でもある「ダンゴ」には大事な役割がある。
サシエを速やかに海底まで送り届けるオモリ的な役割、中層のエサ取りからサシエを守るバリア的な役割、煙幕と匂いで魚を寄せる集魚剤としての役割などだ。
誰が考えたのかは知らないのだが、釣りの仕掛けというものは本当によくできていて、いつも感心させられる。
さてダンゴだが、集魚力もさることながら最も大事なのは割れのコントロールなのだが、割れるタイミングの調整が初心者にとっては最初の壁にもなるだろう。
従って、ダンゴは集魚力よりも割れのコントロールのしやすさで選んでほしい。
参考までに私の配合は『パワーダンゴチヌ/マルキユー』『大チヌスペシャル/マルキユー』、『速戦爆寄せダンゴ/マルキユー』、これにマキエ用のオキアミ3kg、『活さなぎミンチ激荒/マルキユー』3袋を混ぜて使用している。
サシエは種類を多く用意して様々な状況に対応
クロダイは雑食性なので、いろいろな種類のサシエを使用する。
オキアミ、サナギ、アケミ貝、ボケ、シラサエビなど挙げたら切りがない。
まずオキアミ、サナギ、コーンの3種類から始める。
当たりエサが他のエサだと事前に分かるようなら、これに1種類ほど足して持っていけばいいだろう。
ダンゴの釣り方「底トントン」と「ハワセ」
いよいよ釣り方だが、まずは基本となる一連の動作を覚えよう。
サシエをダンゴで包んで直径6~7cmを目安に握る。
水深1mにつき1回握るのを目安に始めてみて、以降は力の加減ではなく、握る回数で割れるタイミングを調整するといい。
握ったダンゴは一旦置いて手を洗ってから投入するが、手はタオルなどで拭いて常に乾いた状態にしておこう。
ダンゴが着底したら、穂先を胸の高さの位置で水平に構えてテンションをかける。
ダンゴが割れるとテンションが緩んで穂先が浮き上がるので、すぐに穂先を腰の高さまで下げよう。
こうすることでサシエの浮き上がりを防ぐことができる。
この状態でアタリを待つ。
これが「底トントン」と呼ばれる基本的な釣り方だ。
ダンゴの割れるタイミングが分かってきたら、割れを確認せず半ヒロ~1ヒロ(1.5m前後)余分にラインを出し、仕掛けをなじませる釣り方も食いがいいので試してみたい。
この釣り方を「ハワセ」と呼ぶ。
まずはこの2通りの釣り方からマスターしよう。
ヨリモドシを使わない仕掛けなので、扱いは丁寧に
数分待ってもアタリがなければ仕掛けを回収するが、穂先は繊細で折れやすいので、ハリやオモリを巻き込んでしまわないように注意。
この時、少し底を切ってから空アワセをして、サシエを切ってから回収するようにしよう。
ヨリモドシを使用しないため、サシエが残っていると回収する時に回転してラインがヨレてしまう。
放っておくと、ラインが穂先に絡んだり食いが落ちたりと良いことがない。
もしヨレてしまったら、仕掛けを手繰りながらヨレを直していくようにしよう。
ここまでの手順が基本動作。
この動作を繰り返すことでエサが底にたまっていき、自然と足元の海底にポイントが出来上がっていく。
初心者にありがちな失敗として、ダンゴがいつまで待っても割れないことがある。
握る回数を減らすなどしても割れない場合は、水の入れ過ぎが原因だろう。
ダンゴを作る際には、様子を見ながら少しずつ水分を足すようにしよう。
アタリの見極め方
次にアタリの見極め方だが、穂先を押さえ込んで戻らないアタリでアワせればいいと覚えておけばいいだろう。
それ以外の紛らわしいアタリは全てエサ取りだ。
イメージとしては、ハリが魚の口の中に入っていると判断したときがアワせ時だが、小アタリで掛けアワせる必要はない。
タイ系の魚は基本的にのませて釣る。
押さえ込みの本アタリを待ってから、力いっぱい腕とサオを振り上げよう。
魚が掛かったら、やり取りは必ずポンピング。
サオとラインの角度が直角になるように保ち、のされた時はラインを出して角度を修正する。
最近のラインは強いので、障害物にこすれない限り滅多に切られることはない。
短ザオでのダイレクトな引きを存分に楽しもう。
最後に
ここまで基本的なことだけを紹介してきたが、応用編や一日の組み立てについては、週刊つりニュース本紙掲載の釣行記なども参考にしてほしい。
私が初めてイカダに渡してもらったのは晩秋だった。
4回目の挑戦で初めて釣った20cm、同じ日の夕方に釣った43cmのクロダイは今でも鮮明に覚えている。
半年後に年無しを手にした時は、興奮して手の震えが1時間も止まらなかった。
初めて渡船店に電話する時は少し勇気がいるかもしれないが、一歩足を踏み出せば、美しい自然の中でゆったりと釣り糸を垂れるという、ぜいたくな一日が待っている。
この秋、皆さんが記憶に残る1匹に出会えるよう願いたい。
この記事は『週刊つりニュース中部版』2017年10月27日号に掲載された記事を再編集したものになります。