釣り映画といえば 「釣りキチ三平実写版」、「釣りバカ日誌」、ブラットピット主演の「リバー・ランズ・スルー・イット」など名作も多い。60歳間近の釣りオヤジが若い頃(1980~90 )年代に観て、最近再度鑑賞し若い釣り人にもみてほしいなと、なかば無理やり感もある映画を5つ選んでみた。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS 編集部)
『たそがれ清兵衛』
え?たそがれ清兵衛って釣り映画じゃないでしょ。しかしながらこの映画では日本伝統和竿のひとつ庄内竿で釣りをするシーンが登場する。山形県出身の直木賞作家・藤沢周平の三つの短編をもとに映画化された2002年公開作品。
山田洋次脚本・監督で主演は真田広之。米国アカデミー賞外国作品賞を逃したが、日本では映画の賞を総なめにしているので、観た方も多いだろう。真田広之の実直さと宮沢りえのしとやかさ。ダンサー田中泯が敵役の凄味ある身体演技で、日本アカデミー賞新人男優賞を受賞した。
藤沢周平の小説に登場する架空の海坂藩は、庄内藩をモデルにしていると言われ、庄内藩が武士のたしなみとして奨励したのが、日本海での磯釣りだった。庄内地方特産の苦竹(にがたけ)で作った長さ三間(5.4m)の「のべ竿」でクロダイを釣り上げる。竹の根もそのまま使い、釣れると満月にしなる竿は腕力の鍛錬にもなったであろう。重い竿を担ぎ遠くの海まで歩いて魚釣りに行くことで足腰の鍛錬にもなった。藩士たちは刀と同等に名竿を求め大事にしたという。
映画中盤あたりに主人公真田広之と幼なじみとが庄内竿で川釣りをするシーンがある。釣り人ならその竿のしなり調子が気になり、そしてその時、主人公が語る台詞「釣ろう、釣ろうとするから釣れないのだ。刀と同じだ。」釣りの真髄をつくセリフに、釣り人はうなずくだろう。
いや、映画って本当に面白ですね、それではまた次回をお楽しみにサヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。
このセリフを知っている人も少なくなったかな。
<麻生/TSURINEWS・関東編集部>