荒天での釣行中止時にオススメ『釣り映画』5選 自宅で釣り気分?

荒天での釣行中止時にオススメ『釣り映画』5選 自宅で釣り気分?

釣り映画といえば 「釣りキチ三平実写版」、「釣りバカ日誌」、ブラットピット主演の「リバー・ランズ・スルー・イット」など名作も多い。60歳間近の釣りオヤジが若い頃(1980~90 )年代に観て、最近再度鑑賞し若い釣り人にもみてほしいなと、なかば無理やり感もある映画を5つ選んでみた。

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS 編集部)

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釣り人にお勧め映画5選を独断と偏見で、もうすぐ還暦を迎える筆者釣りオヤジが選んでみた。釣りがテーマではなく海洋生物や、釣りのシーンが登場するいぶし銀の映画とは。

『うなぎ』

1997年公開された映画「うなぎ」は楢山節考、黒い雨などの世界的に評価の高い今村昌平監督作品。原作は吉村昭の小説「闇にひらめく」。主演は役所広司。カンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した。社会派作品が多い今村映画だが、この映画も重厚なテーマをウナギがいいアクセントになって物語を深め清々しい作品になっている。

冒頭、主人公が釣りに行って留守の間、妻が家で不倫をしている場面を目撃するシーンから始まるが、妻子ある釣り人なら心穏やかではない。映画の舞台となった佐原水郷地帯がのどかで美しい。今村監督は俳優、スタッフとひとつのロケ地で合宿生活をすることでも有名。

荒天での釣行中止時にオススメ『釣り映画』5選 自宅で釣り気分?佐原(撮影:週刊へらニュース 編集部・麻生)

小野川や利根川、新左衛門川の風景、主人公が川釣りや地元舟大工と一緒に和舟でウナギを獲るシーンも収録されていて、今の風景と比較するのもいい。「ウナギが2000kmの旅をして産卵し、親が誰とも知らずにこの日本の川の泥に帰ってくる」などウナギの生態も重要な意味をもつ台詞として語られる。そんな見方も釣り人なら更に楽しめる映画だ。

『老人と海』

まさに釣り人にとっては名作中の名作であり一度は観るべき映画だろう。1954年にノーベル文学賞を受賞したアーネスト・ヘミングウェイの小説を忠実に映像化した作品。1958年公開映画でジョン・スタージェス監督、主人公の老人漁師はスペンサー・トレーシーが演じる。とはいっても筆者の生まれる前だし、小説は読んだことがあっても正直映画を観たことがなかったので、これを機に鑑賞した。

冒頭から小説の文章が忠実に語られ、映像も小説のイメージそのもので、これほど原作と映画が一致した作品はかつて観たことがない。巨大ブルーマーリンとの48時間におよぶ戦いはまさに手に汗握るシーン。釣り好きなヘミングウェイだからこそ、魚とのかけ引きの細かい描写に釣り人の誰もが興奮する。

CG技術のなかった時代で、ブルーマーリンとの綱一本で挑む迫力あるシーンは特筆に値する。これほど観る人に深く示唆に富む作品は他にはないだろう。読む人、観る人によっていまだに語り継がれるも、正確な答えが出ない名画だ。

『白鯨』

ハーマン・メルビルの小説「モビィ・ディック」を映画化した数多い作品の中でもジョン・ヒューストン監督、主人公エイハブ船長を演じたグレゴリー・ペックの映画が最高だろう。と、実はこれ以外観たことがない…すみません。1954年公開で日本では白鯨のタイトルで有名。グレゴリー・ペックといえばオードリー・へプバーンと共演したローマの休日が有名。

他にも大いなる西部、ナバロンの要塞など理知的で正義を体現した俳優としてハリウッド映画黄金期のスター中のスターだ。そんな彼が一転して、白鯨への復讐に燃えるたエイハブ船長を演じたのは刺激的だった。CGのない時代に白鯨ことモビィ・ディックの動きと姿は、今観ても恐怖を覚える。特に白鯨のつぶらな目が、その恐怖に拍車をかける。神の言葉のような台詞と圧倒的存在感を放つグレゴリー・ペックの重厚な演技が冴えわたる。最後のエイハブ船長がモビィ・ディックに挑む場面は壮絶だ。

人類は千年も前よりクジラの恩恵を受けてきた。そして祈ることで感謝を捧げていた。

自然に対し人間はあまりにも無力で、傲慢な存在であるのか。この映画はそれだけにとどまらない重いメッセージが潜んでいる。今を生きる私たちに戒めをあたえている作品といえるかも。

『アトランティス』

1991年公開されたリュック・ベッソン監督の海洋生物ドキュメント映画。グラン・ブルーの姉妹版ともいわれる。全編エリック・セラの音楽が流れ、美しい海底の世界をダイバーだったベッソン監督の独特の映像美で展開されていく。まるでBGMのように海の藍色の世界が画面に広がる。最初に詩のようなセリフ(日本語訳は松任谷由実が担当)で始まるが、その後ラストまでいっさいのナレーションがない。

Light、Mind、Rhythm、Beat,Soul,Dark、Spilit、Tenderness,Love,Hate、Lastday,Birthとテーマごとに海の生き物を詩情豊かに見せていく。マリア・カラスの歌声とともにマンタがゆっくり泳ぐシーンは崇高だ。

「万物の源の地、広大な海が授けてくれる永遠の贈り物、愛と優雅さ、やさしさ、リズム、魂、そして精神…(松任谷由実訳)」のナレーションで始まり、マリンスノーが写し出される冒頭シーンは今観ると人類誕生の輝きのように思える。撮影地はバハマ、ガラパゴス諸島、ニューカレドニア、フロリダ、タヒチ他。釣りに行かない日に一度は見てみよう。眺めるだけで幸せになる映画だ。

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