チヌ『紀州釣り(ダンゴ釣り)』での代表的な3つのウキ下パターン解説

チヌ『紀州釣り(ダンゴ釣り)』での代表的な3つのウキ下パターン解説

梅雨が終わり海水温も急上昇してくると、魚の活性も急上昇だが、本命以外のエサ取りも高活性になる。そんな夏場以降のチヌ釣りで威力を発揮するのが紀州釣りと呼ばれるダンゴ釣りだ。今回はそんな紀州釣りで使う3つのウキ下について紹介してみたいと思う。

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(アイキャッチ画像提供:WEBライター・秦厚治朗)

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紀州釣りの概要

まずは紀州釣りの基本を紹介しよう。ヌカと砂を混ぜ合わせたダンゴ材でさしエサを包み、エサ取り地獄の海底を自分の好みの時間でダンゴを割り、チヌに食わせることが紀州釣りの醍醐味である。

また底に溜まった押し麦やコーンなどのダンゴ材でチヌが釘付けになると、とてつもなく爆釣する釣り方でもある。

紀州釣りのタックルとエサ

タックルは、サオは磯ザオもしくはチヌザオ4.5~5.3mで、できれば穂先がサオダレしない先調子の5mザオが最適と思われる。リールは2000~2500番でできればレバーブレーキ付きがなおよし。

ウキは専用の自立ウキ、玉ウキ、1番人気の寝ウキなど数多くある。ミチイトとハリスは極小サルカンで繋ぎ、ハリス2ヒロにチヌバリ1~3号がベーシックな仕掛けだ。

エサは生オキアミを基軸に、ボケなどの人気エサやコーン、虫エサ、ネリエなどのベーシックな物。かわり種にうどん、グリンピース、消ゴムも実績がある。

ダンゴのコントロール

紀州釣りをする上で重要な要因としてはダンゴの崩壊時間(割れ時間のコントロール)が上げられる。ヌカと砂をいつも同じ品質で維持できるように作る技術も必要だが、難しければ市販の紀州釣り用ダンゴ材を利用するのも手だ。

ラインは、釣り始めは底を切った状態でダンゴの割れ時間や水深の計測を行う。風や潮の流れを考慮しながら、トントン(ウキ下=水深)で釣りスタート。そこからさしエサが取られるならさしエサが残るまでウキ下を深くしていき、はわせてみる。

ただ、あまり深くし過ぎると、アタリが出ず魚が掛かる「居食い」になるのでアタリが出るタナまでまた浅くする。時々 トントンでアタリが出るか…の様子うかがいも大事だ。また時々、タナを切った状態に設定して、ダンゴの割れ時間の再確認や潮位変動での水深把握も重要である。

紀州釣りではウキ下の調整を分けると、前述のように「とんとん」「底を切った状態」「はわせ」と3つに大別できる。今回は3つのウキ下について、詳しく解説してみたい。

ウキ下1:底を切った状態とは…

海面から海底まで仮に3ヒロだったとして、ウキ止めの位置を3ヒロより浅くする状態が底を切った状態である。ダンゴが崩壊し、さしエサが高速で飛び出すことでの魚に対するアピールは最高だが、エサ取りに対してのアピールも最高なので、チヌ以外の魚にも捕食されやすい。

実釣時に底を切った状態で釣りを続ける場合はまずないが、海底が複雑で、チヌが浮く傾向がある、磯での紀州釣りまたは、夏の最盛期や秋の小型中心の数狙い時に底を切ることがある。ダンゴが割れてさしエサが5~30cm浮き上がる状態が通常で、それ以上浅く調整すると、紀州釣りではなく別の釣りになる。

チヌ『紀州釣り(ダンゴ釣り)』での代表的な3つのウキ下パターン解説底を切った状態(作図:TSURINEWS関西編集部・松村)

ただ、釣り開始時には必ず底を切った状態にウキ止めを設定してダンゴが割れたら海面にウキが飛び出す状態にして、自分の納得がいくまでダンゴの握り加減によって割れる時間を調整、確認する。

30秒、1分、1分半など、大きさや握り加減でダンゴが割れるのをコントロールする準備段階のタナだ。また、タナを徐々に深くしていきポイントの水深を計測するためにも重要なウキ下である。

釣りを開始してからダンゴ材の水分変化やボラなどのエサ取りがダンゴを割る時間に変化をもたらすので、時折、底を切ったタナ設定に戻して今現在のダンゴの割れ時間を確認するのにも必須なタナ設定である。

ウキ下2:トントンの釣りとは

仮に水深が5ヒロでウキ下を5ヒロにする事を分かりやすく説明するとトントンである。だが、正確に言うと机上の論理での話である。

注意点として、フィールドでは常に風や表層の滑り、底潮の加減など一定しないので、水深にウキ止めを設定してもまずトントンにはならない。海面が池のような状態で、ウキ下をトントンに設定しても、途中から風が吹いて表層が滑りウキが持っていかれ、ダンゴが割れるころには、さしエサがロケット発射する勢いで飛び出るので、タナを切った設定になっている場合が多い。

チヌ『紀州釣り(ダンゴ釣り)』での代表的な3つのウキ下パターン解説トントンの状態(作図:TSURINEWS関西編集部・松村)

もう一つの注意点として、自分のダンゴが割れる時間をコントロールできないと、トントンも維持し辛い。仮に30秒でダンゴが割れる設定で、トントンのウキ下を調整していても、割れるまでに1分かかれば、30秒分ウキが移動してラインを引っ張り、トントンでなくなっている場合が多々ある。

いづれにせよ、水深=ウキ下がトントンではなく、ダンゴが割れた状態で、さしエサがロケット発射で飛び出さない水深分の状態を維持できるのがトントンである。

ウキ下3:ハワせた状態とは

水深より深くウキ下を設定して、ハリスが底を這うイメージがハワセだが、トントンのパートでも述べたように、仮に4ヒロの水深のポイントで5ヒロのウキ下設定にしても、ハワセになるとは限らない。

風や潮流、ダンゴの割れ時間のコントロールができて、初めてハワセというウキ下設定が実現できる。ダンゴが割れ、さしエサが動かず、少しの間、さしエサの静止状態が維持できるウキ下状態が理想と思われる。

チヌ『紀州釣り(ダンゴ釣り)』での代表的な3つのウキ下パターン解説ハワせた状態(作図:TSURINEWS関西編集部・松村)

ダンゴが割れ、さしエサがウキに引きずられて動くと、フグなどの小型エサ取りの捕食になりやすいため、さしエサを安定させて止める釣り方でもある。

盛期の小型中心の数狙いでのトントン以外、ほぼハワセでのウキ下がメインの紀州釣りをされる方が多いと思われる。ハワせた方が大型のヒット率が高いのと、エサ取りを少しかわせる利点があるのも事実だ。

<秦厚治朗/TSURINEWS・WEBライター>