「投げ釣りでマダイを釣る」と言うと、多くの人が「本当に釣れるの?」と聞き返してくる。船釣りや磯釣りに比べると、投げのマダイ釣りはマイナーである。しかしマダイは夜になると沖の深みから岸近くの浅場にエサを求めて回遊してくるので、投げ釣りの射程圏に入ってくるのである。そして近年、投げ釣りでマダイが釣れるエリアが拡大しているように感じる。
時合い突入でマダイにチヌ!
そして午前2時前から潮が逆方向に動き出した。満潮前の込み潮が動き出したようだ。この流れがやがて激流になり、それが緩み始めた午前5時前に突然、時合いが訪れた。
やはり瀬戸内の魚は潮で食うというがまさにその通りとなった。まず皆川さんに32cmと35cmのチヌが連続でヒット。その報告を携帯で受けている最中に、私のサオがいきなり舞い込んだ。これもドラグを締めていたので危うくサオが海中にダイブするところだった。スマホを放り出し、慌ててサオ尻をつかんで体制を立て直す。
マダイの引きはサオ先を叩くような感触で、チヌの引きはマダイとは若干違って押し込むような感触であるが、この引きは間違いなく赤い方の引きである。
ガバッと海面を割った個体はピンクとブルーのアイシャドーが綺麗なマダイ。タモですくうと口の皮に掛かっていたユムシコウジがポロッと外れた。
危うくバラすところであったが運も味方したようだ。メジャーを当てると52cm。産卵後の魚体とは思えないくらいのボリュームで、流石に潮の速いところで育った魚だと感心した。
この時合いを皆川さんもとらえたようで、マダイの46cmと35cm級のチヌを追釣したようだ。好釣果とは言えないまでも、一時はほぼボウズを覚悟しただけに、なんとか格好がつく形となり安堵の気持ちで納竿とした。
今後の展望
エサとなる本コウジが7月以降は入手が困難になる。タイムシやマムシでも釣れなくはないが、アタリの数が圧倒的に少なくなる。本コウジが安定的に出回る10月以降が狙い目となる。
<長谷川靖之/TSURINEWS・WEBライター>