寒風吹きすさぶなかでも常に多くの釣り人でにぎわっているのが、伊勢湾のフグ釣りだ。それはやはり、高級魚であるフグをズシッと掛ける喜びと、それをおいしくいただける喜びとがダブルで味わえるからだろう。今回は冬の人気の沖釣りターゲット・フグについて、伊勢湾カットウ釣りを中心に紹介したい。
エサについて
カットウについては、基本的にはアオヤギだ。多くの船宿で用意されている。しかし置いていない船もあるため、予約の際に確認してほしい。船宿にない場合には釣具屋で仕入れて持参しよう。
凍ったアオヤギは、封を切らずに海水につけておくと素早く解凍できる。解凍し封を切ったアオヤギは百均などで販売されている水の切れるタッパーなどに入れて、塩などで締めるといいだろう。残ったらそのまま冷凍庫に入れておけばOK。
ブラックタイガーやバナメイエビ、アルゼンチン赤エビもお勧めだ。スーパーなどで値下がりしていたら、買っておいて冷凍しておくといい。ブラックタイガーやバナメイエビはぶつ切りにして使用する。その際塩や砂糖で締めるといい。
アルゼンチン赤エビは頭を落とし、殻を尾から2~3節残してむき、尾羽を3mmほど残して切る。そこからハリを刺し尾から1節目の硬い部分に抜き、ハリの向きを変えてもう一度刺し2~3節目の硬い部分に抜く。といっても慣れるまではコツがいるので、船長に教えてもらうといい。
食わせの場合は、ウタセエビやアサリ、小さめのアオヤギをコンパクトに付けることがポイントだ。
カットウの釣り方
ここではカットウの釣り方を説明したい。
まずはエサバリにアオヤギをたっぷりと縫い刺す。ハリをベロから刺し、ワタで止める。エサは気前よく2~3個をこんもりとおいしそうに付けること。またはエビを外れにくいように刺して準備完了となる。
仕掛け投入し、着底したら1~2度底を取り直し、50cmほど巻き上げアタリを待つ。
アタリがあれば軽くアワせる。ハリに掛かればサオ先が押さえ込まれ、重量感が感じられるかサオ先に変化が見られるので、一定の速度でテンションをかけたまま巻き上げる。フグは食い上げてくる場合もあり、その際はとにかく早く巻き上げる。
タイム釣りがおすすめ
フグはカワハギと並ぶエサ取り名人。アタリが感じられなくても、アオヤギのワタだけをかじり取られていることもしばしば。
それも踏まえてタイム釣りも有効だ。それは5~10秒に一度空アワセを入れるのだ。その際決してサオを大きくシャクったりせず、仕掛けの長さ分をシャープにシャクり、ゆっくりとサオを下げる。
なぜ大きくシャクってはいけないのか?それはオーバーに仕掛けを動かすとフグが散ってしまうからだ。あくまでも小さくアワせてゆっくりと戻す。それが基本だ。フグが仕掛けの近くにいるとイメージしてシャクってみよう。
また空アワセは誘いにもつながる。アタリが出るまでじっと待ったままよりは効果的に思われる。
もうひとつ大きな注意点がある。空アワセを入れていると、ときどき違和感を覚えることがある。その理由は海底のゴミを引っかけていたり、手前マツリをしていたり、エサがなくなっていたりとさまざまだ。
何かおかしいと思ったら、速やかに仕掛けを上げてチェックしよう。
エサ&ハリの付け替え
フグはアオヤギのワタを好むため、ワタだけが取られていたら速やかに付け替えよう。
ハリも常にベストな状態にしておきたい。開いていたり折れていたり、ハリ先が鈍っていたらハリを取り替えるかシャープナーで研ぐこと。
根掛かりをできるだけ避けるためには、こまめな底取りも必要だ。万が一根掛かった場合は、いったんラインを緩めてハリを根から外すイメージでサオを振ってみる。
角度を変えて上げ下げしてみるのも手だ。それでも外れない場合は、決して強くサオをあおったりせず、クラッチをフリーにしてラインを手に持つか巻き付けるかして、上げ下げしてみよう。その際素手でラインを引くと手を切る恐れがあるので、グローブか濡れたタオルなどで保護すること。またハリを伸びるタイプや折れやすいものにすれば高確率で回収できる。
奥深いカットウ釣り
カットウ釣りは単なる引っ掛け釣りではない。奥が深く慣れるまでは心が折れることもあるが、諦めずに続けていると必ず上達していくものだ。
そしておいしいフグをお腹いっぱい食べられるようになる日が必ずやってくる。満足な釣果を得られるようになるまで、頑張って続けてほしい。