へらぶなプライムフィッシング:冬&渋には段差の底釣り③

へらぶなプライムフィッシング:冬&渋には段差の底釣り③

伊藤さとしのプライムフィッシング。その日その釣り場で最良の釣りを目指す。1か月をメドに釣り方、エサ紹介などを伊藤の実釣を交えて解説する。第3回は埼玉県さいたま市にある武蔵の池での段差の底釣り。厳寒期の食い渋りに威力を発揮するこの釣りを、シーズンイン前に復習を兼ねて今一度おさらいしておこう。3週目は、おもにテンション誘いについて考えてみよう。

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淡水の釣り ヘラブナ釣り

テンション誘いとは

実釣時、伊藤さんは竿掛けの右側にウキを立たせてましたよね。

なぜ正面ではないのですか?

伊藤 さとし

「そのほうがテンション誘いがやりやすいから」

テンション誘い?

伊藤 さとし

「食わせを動かすことが目的ではなく、ラインを一時的に張ってその後瞬時にフリーにする誘いのことだね」

それとウキを立たせる位置との関係は?

伊藤 さとし

「私は右利きだから竿尻を右に振れば、当然竿先は左に振れるよね。つまり横方向のテンション掛けになるわけだけど、これがもし竿掛け正面にウキが立っていると、かなり大きく横に振らないと糸にテンションが掛からないでしょ」

なるほど。

ウキが竿掛けの右に立っていれば、少しの振り幅でテンションが掛かる。つまりやりやすいと?

伊藤 さとし

「そういうこと。だから左利きの人は竿掛けの左側にウキを立たせるとやりやすくなるよね。あと当然だけど、ウキを立たせる位置の底ダテは完了済みだよ」

へらぶなプライムフィッシング:冬&渋には段差の底釣り③テンション誘い例(右利き)

ハリの着底角度に変化をつける

ところでテンション誘いの目的は?

伊藤 さとし

動かないウキを動かすためだよね。渋いからこの釣りをやっているのだから、ウキが動かないのも当然。それを動かすための〝きっかけ作り〟とも言えばいいかな」

テンションを掛けると動くのですか?

伊藤 さとし

「それもあるけどかけたテンションをフリーにした直後に反応することが多いよね」

反応とはアタリのことですか?

伊藤 さとし

「それもあるし、テンションの抜き差しをしたことで触りが出始めることもある。またテンションが掛かった状態でアタってくることもあるね」

なぜそれで動くようになるでしょうか?だって食わせを動かすわけではないんですよね?

伊藤 さとし

「食わせの位置そのもを変える誘いもあるけど今回のケースでは位置そのものは変わらない。でもラインテンションを掛けるということは、微妙だけど食わせ(ハリ)の立ち姿を変えることになると私は思っている。つまりテンションを抜いた状態ではハリが地底にベタッと寝た状態で、ラインを張るとハリが起き上がるみたいな状態だね」

微妙な動きですね?

伊藤 さとし

「そう。でも厳寒期の食い渋りでは、このような微妙な誘いが効くことが多いんだよね。逆に大きく動かし過ぎると、魚が驚いて逃げてしまうことも少なくない」

このような誘いを多用するべきだと?

伊藤 さとし

「そうは言っていないよ。触りが出ているならむやみに動かさずにジッとアタリを待つほうがいいこともある。動かないならやってみよう。その程度のことだよね」

だからウキ止め~穂先の間隔は詰め気味にしろと言っていたのですね?

伊藤 さとし

「そうだね。間隔を取ったとしてもウキ全長1本分が限界。それより長くしてしまうと、どのような方法にしろ誘いがかけづらくなるからね」

自分の基準でスタートする

ところで最後にバラケについてなんですが。ブレンドって状況に応じて替えるのですか?

伊藤 さとし

「私の場合はいつもほぼ同じだよ。自分が自信を持って使えるブレンドがあれば、それで一日通す。問題はブレンドではなく付け方だよ。持たせるのか抜くのか、ジワジワ抜くのか、それともオツリバラケか。これらはハリ付け時の圧の掛け方や形状で何とでもなる。逆にそこにブレンド変更まで加えてしまうと、パズルの組み合わせが複雑になりかえって難しくなるでしょう」

へらぶなプライムフィッシング:冬&渋には段差の底釣り③バラケのブレンドはほぼ固定で

つまりブレンドはいつも同じ。ハリスの長さもハリの大きさも、スタート時はいつも同じで自分なりの基準値を作り、そこからどうウキの動きに対してアジャストするかでしょうか?

伊藤 さとし

「そういうこと。あとはたとえ下バリだけだとは言え、底釣りと変わらないのだから、タナの調整も忘れないことだね。底ダテもそうだし、ズラシ幅とかもね」

次回は「真冬でも浅ダナセット?」です。

「冬・渋には段差の底釣り①」から読む。

<週刊へらニュース 伊藤さとし/TSURINEWS編>

▼この釣り場について
武蔵の池
この記事は『週刊へらニュース』2018年12月21日号に掲載された記事を再編集したものになります。